院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する
「慶應義塾大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。
今回のテーマは
メディアデザイン研究科の先行研究・理論整理の考え方です。
メディアデザイン研究科の受験生が、
研究計画書の中でも特に悩みやすいのがこのパートです。
- 参考文献が少なく、どう整理すればいいか分からない
- 芸術理論・メディア論・社会学など、どこまで書くべきか迷う
- 論文を並べても「研究っぽくならない」
結論から言うと、
MDの先行研究整理は「網羅」ではなく「位置づけ」を示す作業です。
1. MDでは「正解の理論」は存在しない
まず押さえておきたいのは、
メディアデザイン研究科には、
- この理論を書けば正解
- この学派を押さえれば十分
といった定番セットが存在しないという点です。
なぜならMDは、
- メディア論
- 表象論
- デザイン理論
- 技術論
- 社会理論
などが交差する、
学際性の高い研究科だからです。
そのため評価されるのは、
- 何を知っているか
ではなく - どの理論文脈に自分の研究を置こうとしているか
という点です。
2. 評価されない典型例①「理論の紹介で終わる」
MDの先行研究整理で最も多いNGが、
- ○○理論とは何か
- △△論の概要
といった説明だけの文章です。
これでは、
- 勉強していることは分かる
- しかし研究との関係が分からない
という評価になります。
先行研究整理は、
理論の要約を書く場ではありません。
3. 評価されない典型例②「自分の作品を正当化するためだけに使う」
もう一つ多いのが、
- 自分の表現やコンセプトを
- 理論で後付け補強する
書き方です。
この場合、
- 理論が結論ありきで使われている
- 批判的距離がない
と判断され、
研究としての深みが出ません。
MDでは、
- 理論を使って
- 自分の前提を疑う
姿勢が重視されます。
4. 評価される先行研究整理の基本構造
メディアデザイン研究科で評価される先行研究整理には、
共通する構造があります。
- この問題は、どの分野で議論されてきたか
- 既存研究は、どこまでを明らかにしているか
- どこが十分に扱われていないのか
- 自分の研究は、どこを問い直そうとしているのか
この流れがあれば、
- 文献数が少なくても
- 理論が断片的でも
研究として成立します。
5. MD特有の「理論との距離感」
MDでは、理論を
- 絶対的な正解
として扱うことは、ほとんどありません。
むしろ重要なのは、
- この理論は、どこまで説明できるのか
- どこから先は説明しきれないのか
という、理論の限界を意識した整理です。
理論に寄りかかりすぎると、
- 表現が縛られる
- 問いが閉じてしまう
という逆効果も生まれます。
6. 論文が少ない分野での整理の考え方
MDのテーマによっては、
- 学術論文が少ない
- 研究として新しい
というケースもあります。
その場合は、
- 隣接分野の理論
- 技術史・メディア史
- 批評・レビュー
などを使いながら、
- 何が議論されてきて
- 何がまだ言語化されていないのか
を示せれば十分です。
「ないこと」自体が、研究の動機になる
場合もあります。
まとめ|MDの先行研究整理は「思考の立ち位置」を示す
メディアデザイン研究科における先行研究・理論整理は、
- 知識量を競うパート
- 理論をたくさん並べる場所
ではありません。
それは、
自分の研究を、
どの文脈に置き、
どこから先を問い直そうとしているのか
を示すためのものです。
理論を「使う」よりも、
理論と距離を取りながら考えているか。
この姿勢が、
MD研究科での評価を大きく左右します。
志樹舎
では、大学院入試の各種対策に特化した専門性の高いサポートを行っています。
院試受験でお困りの方は、
無料相談
にお気軽にお申し込みください。
※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


