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今回のテーマは
健康マネジメント研究科における『研究』と『実務経験』の正しい関係です。

健康マネジメント研究科の受験生の多くは、

  • 医療職としての実務経験
  • 企業での健康経営・人事・労務の経験
  • 行政・福祉・地域医療の現場経験

といった、豊富な実務背景を持っています。

しかしその一方で、
実務経験がある人ほど不合格になりやすい
という逆説的な現象も起きています。

その理由は、
実務経験そのものではなく、
実務と研究の関係を取り違えてしまうこと
にあります。


1. 実務経験は「評価項目」ではない

まず、最も重要な前提から確認します。

健康マネジメント研究科の院試において、

  • 医療職であること
  • 現場経験が長いこと
  • 実績や成果があること

これらは、それ自体が加点対象になるわけではありません。

入試で評価されているのは、

  • その経験をどう研究対象として捉えているか
  • 経験を前提にせず、相対化できているか

という点です。


2. 実務が強すぎると「研究が消える」

実務経験が豊富な受験生ほど、
研究計画書や面接で次のような語り方をしがちです。

  • 現場ではこういう問題がある
  • 実際にこの方法がうまくいった
  • 自分はこう改善してきた

この語り方は説得力がある一方で、
研究としては危険です。

なぜなら、

  • 結論がすでに出ている
  • 正解が決まっている
  • 検討の余地が見えない

という印象を与えてしまうからです。


3. 研究とは「現場を疑うこと」

健康マネジメント研究科で求められている研究姿勢は、

現場で正しいとされていることを、
研究対象として一度疑ってみること

です。

たとえば、

  • なぜその制度が採用されているのか
  • 他の条件では同じ効果が出るのか
  • 別の説明は可能ではないか

といった問いを立てられているかが重要です。

実務の正当性を守る姿勢は、
研究の場では評価されません。


4. 評価されるのは「実務を材料にした問い」

健康マネジメント研究科で評価されるのは、

  • 実務経験を持っている人
    ではなく
  • 実務経験から問いを立てられる人

です。

具体的には、

  • 自分の現場を一般化して考えられている
  • 成功・失敗を条件として分解できている
  • 他の文脈と比較できる視点を持っている

といった点が見られています。


5. 実務経験者がやりがちなNG設計

ここで、実務経験者が特にやりがちなNGを整理します。

  • 改善策を研究テーマにしてしまう
  • 実践計画を研究方法として書く
  • 自分の経験を前提に議論を進める

これらはすべて、
研究ではなく実務報告として読まれてしまいます。


6. 「研究者として学び直す姿勢」が評価される

健康マネジメント研究科では、

  • 専門職としての完成度
    よりも
  • 研究者として学び直せるか

が重視されます。

面接でも、

  • 指摘を受け止められるか
  • 考え直す余地を残しているか
  • 結論を一度保留できるか

といった点が、
非常に重要な評価ポイントになります。


まとめ 実務経験は「強み」ではなく「素材」

健康マネジメント研究科の院試において、
実務経験は強力な武器に見えます。

しかし実際には、

  • そのまま出すと研究を壊す
  • うまく加工すれば研究を支える

という、扱いの難しい素材です。

評価されるのは、

実務経験を一度手放し、研究として再構成できているか

という一点です。

現場を語るのではなく、
現場を対象化する。
そこに、健康マネジメント研究科の合否ラインがあります。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。