院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。
今回のテーマは、医学研究科の研究計画書が評価される理由・落ちる理由です。
医学研究科では「研究計画書」がほぼすべてを決める
医学研究科の入試において、
合否を最も強く左右するのが研究計画書です。
これは誇張ではありません。
医学研究科では、
研究計画書の時点で
合否の大枠がほぼ決まります。
筆記試験や面接は、
その確認に近い位置づけです。
なぜ医学研究科は研究計画書を重視するのか
理由は明確です。
医学研究科が選抜したいのは、
- 優秀な臨床医
- 経験豊富な実務家
ではなく、
研究者として育つ可能性のある人
だからです。
その可能性は、
研究計画書に最もはっきり表れる
という前提で、
評価が行われています。
医学研究科で評価される研究計画書の本質
医学研究科で評価される研究計画書は、
一言で言うと、
「医学的関心が、
研究の問いに変換されている計画書」
です。
逆に言えば、
- 問いになっていない
- 仮説がない
計画書は、
どれだけ熱意があっても評価されません。
評価される研究計画書の共通構造
高く評価される研究計画書には、
共通した構造があります。
- 医学的背景が簡潔に整理されている
- 先行研究で分かっていることが明確
- まだ分かっていない点が特定されている
- その「空白」を埋める問いが設定されている
- 検証可能な方法が示されている
この流れが自然につながっていると、
評価は安定します。
医学研究科で「落ちる計画書」の典型例①
臨床疑問のままで止まっている
非常に多い失敗が、
- 臨床現場での違和感
- 症例の経験
を、そのまま書いてしまうケースです。
「この治療は有効だと思った」
「この症例が印象に残った」
これは研究テーマではありません。
医学研究科が求めているのは、
なぜそう言えるのかを
検証する問い
です。
典型例② 仮説が存在しない
次に多いのが、
- 調べてみたい
- 明らかにしたい
で終わっている計画書です。
研究計画書では、
「こうではないか」という仮説
が不可欠です。
仮説がない計画書は、
研究として設計されていない
と判断されやすくなります。
典型例③ 方法論が曖昧・過剰
医学研究科では、
- 方法が雑
- 逆に、過剰に盛りすぎている
どちらも評価を下げます。
- 現実的に実施できるか
- 修士・博士期間内に終わるか
この視点が欠けていると、
研究が完走できない
と判断されます。
典型例④ 先行研究の整理が弱い
評価が伸びない計画書の多くは、
- 引用は多いが
- 整理されていない
という状態です。
医学研究科で見られているのは、
どの議論を踏まえ、
どこを更新しようとしているか
です。
文献数の多さは、
評価に直結しません。
典型例⑤ 「大きすぎる問い」
意欲的に見えて、
実は危険なのがこのタイプです。
- 医学の根幹に迫る
- 画期的な治療法を示す
しかし、
問いが大きすぎる研究は、
未設計と見なされます。
医学研究科では、
- 小さく
- 検証可能で
- 積み上げられる問い
が、最も評価されます。
医学研究科で評価される「問い」の特徴
評価される問いには、
次の特徴があります。
- 医学的に意味がある
- 先行研究の文脈上にある
- 方法で検証できる
- 結果の解釈が想定できる
派手さよりも、
研究としての強度
が重視されます。
社会人・医師受験生が特に注意すべき点
社会人や医師の受験生は、
- 経験が豊富
- 語れる材料が多い
という強みがあります。
しかし同時に、
経験に引っ張られすぎる
リスクもあります。
研究計画書では、
- 経験 → 問い
- 実感 → 仮説
への変換が、
必須です。
医学研究科の研究計画書は「未完成」でよい
重要なポイントを一つ。
医学研究科では、
完成された研究計画は求められていません。
評価されるのは、
- 伸びる余地
- 指導で深まる余白
です。
固めすぎた計画は、
修正がきかない
と判断され、
逆に評価が下がることもあります。
研究計画書で最も大切な姿勢
医学研究科の研究計画書で
最も大切なのは、
「まだ分からないこと」を
正しく把握していること
です。
研究は、
- 正解を示すこと
ではなく - 未知を扱うこと
だからです。
まとめ
医学研究科の研究計画書が
評価される理由・落ちる理由を整理します。
評価される計画書
- 医学的関心が問いになっている
- 仮説と方法が対応している
- 先行研究が整理されている
- 規模が現実的
落ちる計画書
- 臨床報告に近い
- 仮説がない
- 方法が曖昧または過剰
- 問いが大きすぎる
医学研究科の研究計画書は、
研究者として考えられているか
その一点を、
極めてシビアに見ています。
次回は、
医学研究科で評価される研究テーマの作り方
を解説します。
ここで、
「良いテーマ」と「落ちるテーマ」の違いを
さらに具体化していきます。


