院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。
今回のテーマは、法学研究科における外国語(英語・独語・仏語等)の位置づけです。
「語学はどこまで必要ですか?」というズレた問い
法学研究科の受験相談で、
語学について必ず出てくる質問があります。
- 英語はどれくらいできればいいですか
- 独語・仏語は必須ですか
- 語学が弱いと不利ですか
この質問自体は自然です。
しかし実は、この問い方そのものが
法学研究科の評価軸と少しズレています。
結論から言います。
法学研究科における外国語は、
「点を取る科目」ではなく
「研究ができるかを測る道具」です。
法学研究科で語学が課される本当の理由
法学研究科で外国語が求められる理由は、
非常にシンプルです。
法学研究は、日本語文献だけでは完結しない
からです。
- ドイツ法
- フランス法
- 英米法
をはじめ、
法学の多くの理論は外国法研究を土台にしています。
そのため教員が確認したいのは、
- 語学が得意か
ではなく - 外国語文献を使って研究が進められるか
という一点です。
英語は「基礎インフラ」
まず英語について整理します。
法学研究科において英語は、
できると有利な能力
ではなく
できていて当然の基礎能力
に近い位置づけです。
- 英語論文
- 英語の判例研究
- 国際的議論
これらを避けて研究を進めることは、
ほぼ不可能です。
英語試験で見られているポイント
英語試験がある場合、
教員が見ているのは次の点です。
- 難解な英文を速く読めるか
ではなく - 学術的な英文を正確に理解できるか
- 構文を追えるか
- 用語の意味を取り違えていないか
スピードや語彙量より、
正確さと読解姿勢が重視されます。
独語・仏語が求められる理由
独語・仏語が課される専攻では、
理由が明確です。
- 主要な先行研究が
独語・仏語で書かれている - 理論の原典が
日本語に翻訳されていない
この場合、
読めない=研究が止まる
という判断になります。
ここで重要なのは、
- 流暢に話せるか
ではありません。
- 辞書を使いながらでも読めるか
- 研究目的で使えるか
が評価基準です。
「語学が苦手です」は致命傷になり得る
面接や書類で、
語学はあまり得意ではありません
とだけ言ってしまうと、
評価は一気に下がります。
なぜなら、
研究が進まないリスクが高い
と判断されるからです。
語学が不安な場合でも、
- どの言語が必要か
- どの文献を読む予定か
- どう補強するつもりか
まで説明できれば、
評価は大きく変わります。
語学が強みとして評価されるケース
一方で、語学が明確に評価されるケースもあります。
- 外国法研究をテーマにしている
- 原典を直接扱う計画になっている
- 比較法研究を行う予定
この場合、
- 語学力
= 研究の実行可能性
として、非常に強いプラス要素になります。
研究計画書と語学の関係
法学研究科では、
- 語学力単体
よりも - 研究計画との整合性
が重視されます。
- 研究テーマに必要な言語が明確か
- その文献をどう使うのか
これが書けていないと、
語学をどう使う研究なのか分からない
と評価されます。
社会人受験生が特に注意すべき点
社会人受験生の場合、
- 語学から離れていた
- 読解に時間がかかる
という人も少なくありません。
この場合、
- 完璧を目指さない
- 研究テーマに必要な文献に絞る
という戦略が有効です。
「研究で使える最低限」
を示すことが、何より重要です。
語学対策でやるべきこと・やらなくていいこと
やるべきこと
- 研究テーマに関係する文献を読む
- 法学用語の使われ方に慣れる
- 辞書を引きながらでも読み切る
やらなくていいこと
- 会話力の強化
- 無関係な試験対策
- 点数アップだけを目的にする勉強
法学研究科における語学の本質
最後に、最も重要な視点を伝えます。
法学研究科における語学は、
研究を前に進めるための手段
です。
- 語学が目的化している
- 点数ばかり気にしている
この状態は、
研究者養成という目的からズレています。
まとめ
法学研究科における外国語の位置づけは、
- 加点科目
ではなく - 研究インフラ
です。
- 読めるか
- 使えるか
- 研究計画とつながっているか
この3点を示せれば、
語学は十分に評価されます。
次回は、
法学研究科の研究計画書が評価される理由・落ちる理由
を解説します。
ここから、
法学研究科対策の核心に入ります。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


