院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。
今回のテーマは、法学研究科の先行研究レビューで見られている視点です。
「文献は読んでいるのに評価されない」理由
法学研究科の受験生から、非常によく聞く声があります。
- 文献はかなり読んだ
- 有名な論文も一通り押さえた
- 先行研究欄も埋めた
それでも、
先行研究の整理が弱い
研究として見えない
と言われてしまう。
結論から言います。
法学研究科で評価されない先行研究レビューの多くは、
「量」の問題ではなく
「読み方」の問題です。
法学研究科における先行研究レビューの役割
まず大前提として押さえておくべきことがあります。
法学研究科における先行研究レビューは、
- 勉強量アピール
- 文献リストの網羅
のためのものではありません。
教員が見ているのは、
この受験生は、
既存研究を材料として
研究を前に進められるか
という一点です。
「紹介」になっているレビューは評価されない
評価が伸びない先行研究レビューには、
典型的な特徴があります。
- A説はこう述べている
- B説はこう主張する
- C説はこれを批判している
これ自体は間違いではありません。
しかし、
それで、何が問題なのか
どこがまだ未整理なのか
が書かれていないと、
文献紹介で終わっている
と判断されます。
評価されるレビュー①「対立構造が見えている」
法学研究科で評価される先行研究レビューは、
学説や判例の対立構造
が明確に整理されています。
- 何が争点になっているのか
- なぜ意見が分かれているのか
- 前提はどこで異なるのか
この構造が見えると、
議論の全体像を把握している
と評価されます。
「通説・少数説」の羅列は弱い
よくある失敗が、
- 通説
- 有力説
- 少数説
を順番に並べるだけの整理です。
これでは、
なぜ対立しているのか
が分かりません。
評価されるのは、
- 争点ごとに
- 立場を整理する
というレビューです。
評価されるレビュー②「射程と限界を指摘できている」
法学研究科で高く評価されるのは、
先行研究の射程と限界
に触れているレビューです。
- この議論は、どこまで説明できるのか
- どこから説明できなくなるのか
ここに触れられると、
この研究には続きがある
と判断されます。
落ちやすいレビュー①「自分の意見が早すぎる」
先行研究レビューでよくあるミスが、
- いきなり自説を出す
- 結論を急ぐ
ことです。
レビュー段階で、
私はこの説が正しいと思う
と書いてしまうと、
まだ整理できていないのに結論に飛んでいる
と見なされます。
法学研究科では、
まず整理、次に問い
が基本です。
評価されるレビュー③「研究テーマとの接続が明確」
評価される先行研究レビューは、
- 自分の研究テーマ
と
先行研究
の関係がはっきりしています。
- どの議論を前提にするのか
- どの部分を引き継ぐのか
- どこに疑問を持つのか
これが書けていると、
なぜこの研究をやるのか
が自然に伝わります。
「たくさん読んだ」は評価軸ではない
法学研究科では、
- 文献を何本読んだか
- 有名論文を押さえているか
は、評価軸ではありません。
むしろ、
少数の文献を、
深く正確に理解しているか
の方が評価されます。
- 主要論文を2〜3本
- 丁寧に整理
これだけでも、
十分に研究の土台になります。
社会人受験生が特に注意すべき点
社会人受験生に多いのが、
- 実務経験を前提に
- 文献を読んでしまう
という読み方です。
その結果、
現場感覚との違い
ばかりが目についてしまい、
- 学説上の争点
- 理論的前提
を見落としがちになります。
法学研究科で評価されるのは、
理論として何が問題か
を整理できているかです。
先行研究レビューは「問いの準備」
最も重要なことを伝えます。
先行研究レビューの目的は、
自分の問いを立てる準備
です。
- 先行研究を読んで
- 整理して
- それでも残る違和感
この違和感こそが、
研究テーマにつながります。
まとめ
法学研究科の先行研究レビューで見られているのは、
- 読んだ量
ではなく - 整理の質
です。
評価されるレビューは、
- 対立構造が見えている
- 射程と限界を指摘できている
- 研究テーマと接続している
この3点を満たしています。
次回は、
法学研究科における指導教員の選び方と注意点
を解説します。
ここで、
「合わない指導教員を選ぶと何が起きるのか」を
はっきりさせます。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


