院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。

今回のテーマは、法学研究科の専攻別試験内容一覧と対策の考え方です。


「法学研究科は、どの専攻を選んでも同じ」は大きな誤解

法学研究科の受験相談で、非常によく出てくる誤解があります。

  • 法学研究科なら試験内容はだいたい同じ
  • どの専攻でも法学の知識があれば対応できる
  • 専攻は研究計画書だけの違い

しかし、これはかなり危険な認識です。

結論から言います。

法学研究科の入試では、
「どの専攻を選ぶか」で、
試験の中身も評価の視点も大きく変わります。


法学研究科は「専攻前提」で選抜されている

第91回で整理したとおり、
法学研究科は研究者養成を目的とした大学院です。

そのため入試では、最初から

この受験生は、
どの分野で研究を進めるのか

が強く意識されています。

  • 専攻が曖昧
  • どの分野にも当てはまりそう

この状態は、

研究の方向性が見えない

と判断され、評価が下がりやすくなります。


法学研究科の主な専攻区分

慶應義塾大学法学研究科では、大きく次の系統に分かれます。

  • 公法系(憲法・行政法など)
  • 民事法系(民法・商法・民事訴訟法など)
  • 刑事法系(刑法・刑事訴訟法など)
  • 基礎法学系(法哲学・法史学・比較法など)
  • 政治学系(政治理論・政治過程論など)

※年度や専攻名は変更されることがあるため、
必ず最新の募集要項で確認してください。


公法系専攻の試験内容と対策の考え方

試験の特徴

  • 論述式試験が中心
  • 憲法・行政法の基礎理解
  • 条文・判例を使った論理展開

見られているポイント

  • 規範構造を理解しているか
  • 判例の射程を把握しているか
  • 問題に即した論点整理ができるか

対策の考え方

  • 判例暗記ではなく、論点理解
  • 学説対立を「整理して説明」できる力
  • 自分の研究テーマと結びつく視点を持つ

民事法系専攻の試験内容と対策の考え方

試験の特徴

  • 民法・商法を中心とした論述
  • 事例問題が出題されることも多い

見られているポイント

  • 条文の趣旨理解
  • 事実関係から法的評価を導く力
  • 学説の使い分け

対策の考え方

  • 条文操作の理由を説明できるようにする
  • 結論より「思考過程」を重視
  • 実務的視点ではなく、理論的整理を意識する

刑事法系専攻の試験内容と対策の考え方

試験の特徴

  • 刑法・刑事訴訟法の論述
  • 構成要件・違法性・責任の整理

見られているポイント

  • 理論構造の正確さ
  • 学説の位置づけ
  • 問題設定に対する一貫した立場

対策の考え方

  • 網羅型ではなく、筋の通った答案
  • 学説を「知っている」ではなく「使える」状態
  • 自分の研究関心と理論を結びつける

基礎法学系専攻の試験内容と対策の考え方

試験の特徴

  • 論文読解
  • 抽象度の高い論述問題
  • 思想・理論背景の理解

見られているポイント

  • 概念理解の深さ
  • 論理的な文章構成
  • 独自の問題意識

対策の考え方

  • 暗記型対策は通用しない
  • 原典・主要文献の精読
  • 「自分は何を問うのか」を明確にする

政治学系専攻の試験内容と対策の考え方

試験の特徴

  • 政治理論・政治史・政治過程に関する論述
  • 時事的テーマが絡むこともある

見られているポイント

  • 理論枠組みの理解
  • 概念の正確な使用
  • 問題設定の妥当性

対策の考え方

  • 意見を書く試験ではない
  • 理論を使って説明する力を養う
  • 研究テーマとの接続を意識する

「どの専攻でも通用する勉強」は存在しない

ここで強調しておきたいのは、

専攻別試験に万能な対策はない

という点です。

  • 民事法の勉強量
  • 基礎法学で評価される
    ことはありません。

だからこそ、

  • 専攻を決める
  • 研究テーマを固める
  • それに合わせて試験対策を設計する

この順序が非常に重要です。


専攻選択と研究計画書は完全に連動する

法学研究科では、

  • 試験
  • 研究計画書
  • 面接

が、専攻を軸に一体で評価されます。

  • 専攻と研究テーマがズレている
  • 試験対策と計画書が噛み合わない

この状態は、
合否以前に「不安定」と判断されます。


社会人受験生が特に注意すべき点

社会人受験生は、

  • 実務経験
  • 現場の感覚

を強みにしたくなりますが、

法学研究科では、

実務的正解
ではなく
理論的説明

が評価対象です。

  • なぜその解釈なのか
  • 学説上どう位置づけられるのか

ここを意識しないと、評価は伸びません。


まとめ

法学研究科の専攻別試験対策では、

  • 専攻ごとの試験特性を理解する
  • 研究テーマと整合させる
  • 論理構造を重視する

この3点が極めて重要です。

  • 知識量勝負
  • 判例暗記勝負

に持ち込むと、
研究科入試としては評価が下がります。

次回は、
法学研究科で求められる学生像とは何か
を解説します。

ここで、
「どんな人が法学研究科に選ばれるのか」を
明確にします。

志樹舎 では、大学院入試の各種対策に特化した専門性の高いサポートを行っています。
院試受験でお困りの方は、 無料相談 にお気軽にお申し込みください。


※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。