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今回のテーマは、法学研究科の研究計画書が評価される理由・落ちる理由です。


「法律は分かっているのに落ちる」最大の原因

法学研究科の受験で、
もっとも多い不合格パターンは次のタイプです。

  • 学部成績は悪くない
  • 判例・学説も一通り理解している
  • 文章もそれなりに書けている

それでも、不合格。

このとき多くの人は、

筆記試験が足りなかった
面接でうまく話せなかった

と考えます。

しかし、結論から言います。

法学研究科の合否は、
ほぼ「研究計画書」で決まっています。


法学研究科の研究計画書は「研究の可否判定書」

まず押さえておくべき前提があります。

法学研究科の研究計画書は、

  • 勉強計画
  • 興味関心の表明

ではありません。

教員が見ているのは、

この人は、
法学として研究を成立させられるか

という一点です。

  • 修士研究として成立するか
  • 指導可能か
  • 2年間で形になるか

その判断材料が、研究計画書です。


評価される計画書①「問いが法学になっている」

評価される研究計画書に共通する最大の特徴は、

問いが“法学の問い”として立っている

ことです。

  • この制度は問題だ
  • この判例はおかしい

だけでは、研究になりません。

評価されるのは、

  • どの規範構造に問題があるのか
  • どの学説的前提が争点なのか
  • どこに理論的な緊張があるのか

まで言語化できている計画書です。


落ちる計画書①「意見表明で終わっている」

非常に多い失敗がこのタイプです。

  • 私はこう考える
  • この解釈が妥当だと思う

しかし、

  • なぜそれが問題になるのか
  • どの学説とどう対立するのか

が書かれていない。

これは、

研究ではなく、意見文

と判断されます。


評価される計画書②「先行研究との関係が整理されている」

法学研究科で評価される計画書は、

  • 先行研究をたくさん挙げている
    よりも
  • 先行研究の整理ができている

という特徴があります。

  • 通説は何か
  • 少数説は何を問題にしているか
  • どこがまだ十分に検討されていないか

この整理ができていると、

研究の必然性が見える

と評価されます。


落ちる計画書②「先行研究が紹介で終わる」

  • A説はこう言う
  • B説はこう述べている

と並べているだけでは、

文献まとめ

にしか見えません。

法学研究科では、

先行研究をどう使うのか

が示されていない計画書は、
評価されません。


評価される計画書③「研究範囲が現実的」

法学研究科では常に、

修士2年で終わるか

が意識されています。

評価される計画書は、

  • 対象となる条文・制度が限定されている
  • 時代・判例範囲が明確
  • 論点が絞られている

という特徴があります。


落ちる計画書③「何でも扱おうとする」

  • 条文も
  • 判例も
  • 比較法も
  • 歴史も

すべて盛り込もうとする計画書は、

研究が散漫になる

と判断されます。

意欲が高いことと、
研究として成立することは別です。


評価される計画書④「指導可能性が見える」

法学研究科の教員は、

この研究は、自分の専門で見られるか

を必ず考えます。

評価される計画書は、

  • 専攻分野が明確
  • 指導教員の研究領域と重なる
  • 方法論が共有できる

この点が自然に伝わります。


社会人受験生が特に落ちやすい点

社会人受験生に多いのが、

  • 実務上の違和感
  • 現場での問題意識

をそのまま研究計画にしてしまうケースです。

これでは、

実務レポート

に見えてしまいます。

評価されるのは、

  • 実務 → 法学的問い
    への変換ができているかです。

研究計画書で「完成度」は求められていない

重要な誤解があります。

法学研究科では、

  • 完璧な研究計画
    は求められていません。

求められているのは、

研究として正しい方向を向いているか

  • 問いが立っている
  • 方法が妥当
  • 範囲が現実的

これが揃っていれば、
細部は入学後に修正されます。


面接・筆記との関係

研究計画書は、

  • 筆記試験
  • 面接

の「基準点」になります。

  • 筆記で何を書いたか
  • 面接で何を話したか

が、研究計画書とズレていると、

この人は自分の研究を理解していない

と評価されます。


まとめ

法学研究科の研究計画書で、

評価されるのは

  • 法学的な問い
  • 先行研究との関係
  • 現実的な研究範囲

落ちるのは

  • 意見表明止まり
  • 文献紹介止まり
  • 欲張りすぎ

という違いがあります。

研究計画書は、
法学研究科入試の核心です。

次回は、
法学研究科で評価される研究テーマの作り方
を解説します。

ここで、
「通るテーマ」と「落ちるテーマ」の差を
具体的に掘り下げます。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。