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今回のテーマは「経済学研究科の先行研究レビューで見られている視点」です。


「文献はたくさん読んだのに評価されない」理由

経済学研究科の受験生から、非常によく聞く悩みがあります。

  • 英語論文も含めて結構読んだ
  • 有名な論文は一通り押さえた
  • 引用数もそれなりに多い

それでも、

研究計画書の評価が伸びない
面接で突っ込まれる

この原因は明確です。

経済学研究科の先行研究レビューでは、
「どれだけ読んだか」ではなく
「どう整理しているか」だけが見られています。


経済学研究科における先行研究レビューの役割

まず前提を整理します。

経済学研究科で先行研究レビューが求められる理由は、

  • 勉強量を測るため
  • 知識量を競うため

ではありません。

教員が確認しているのは、

この人は、
研究分野の地図を把握しているか

という一点です。

  • どんな議論があり
  • どこで意見が分かれ
  • どこに未解決点があるのか

これが見えているかどうかが、レビューの評価を左右します。


評価される先行研究レビュー①「分類ができている」

評価されるレビューには、必ず「整理の軸」があります。

たとえば、

  • 理論モデル別
  • 分析手法別
  • データ別

などです。

単に、

  • Aはこう言っている
  • Bはこう述べている

と並べるだけでは、

文献の要約集

にしか見えません。

分類できて初めて、研究レビューになります。


落ちるレビュー①「時系列に並べているだけ」

非常に多い失敗がこれです。

  • 古い研究
  • 新しい研究

を、発表年順に紹介しているだけ。

これは一見、丁寧に見えますが、

研究の構造が見えない

という評価になりやすいです。

経済学研究科では、

  • どの研究が基礎になっているのか
  • どこで議論が分岐したのか

が重要です。


評価される先行研究レビュー②「論争点が明確」

評価されるレビューでは、

  • 研究者同士が
    何をめぐって議論しているのか

が明確に示されています。

  • 効果がある/ない
  • 正の影響/負の影響
  • 結果が分かれる理由

こうした論争点の整理ができていると、

この人は、
研究の核心を理解している

と評価されます。


落ちるレビュー②「自分の立ち位置が見えない」

先行研究をきれいに整理していても、

  • 自分はどこを見るのか
  • 何を明らかにしたいのか

が書かれていないと、評価は下がります。

経済学研究科では、

レビューはゴールではなく出発点

です。

  • ここまで分かっている
  • しかし、この点は十分に検証されていない

という流れがないと、

で、あなたは何をやるの?

という疑問が残ります。


評価される先行研究レビュー③「方法との接続がある」

評価されるレビューは、

  • 文献紹介
    で終わらず
  • 方法選択とつながっています。

たとえば、

  • なぜ実証が必要なのか
  • なぜ理論モデルを拡張するのか

が、先行研究の限界から自然に導かれています。

これができると、

研究計画全体が一つの流れになる

と評価されます。


英語論文の扱い方で差がつく

経済学研究科では、英語論文の扱い方も見られています。

評価されるのは、

  • 難しい論文を読んでいるか
    ではなく
  • 自分の研究に必要な論文を選べているか

です。

  • 有名だから引用
  • 引用数が多いから採用

ではなく、

この論文は、
この問いにどう関係するのか

を説明できることが重要です。


社会人受験生が注意すべきポイント

社会人受験生の場合、

  • 文献を読む時間が限られる
    という事情があります。

その場合、

  • 数を追わない
  • 核となる論文を深く読む

方が、はるかに評価されます。

浅く多くより、深く少なく
が原則です。


先行研究レビューは「研究者としての会話」

最後に、大切な視点を伝えます。

先行研究レビューとは、

  • 勉強の成果発表
    ではなく
  • 研究者同士の会話への参加

です。

  • これまで何が言われてきたか
  • どこに疑問が残っているか
  • 自分は何を付け加えるのか

この姿勢が伝わるレビューは、必ず評価されます。


まとめ

経済学研究科の先行研究レビューで見られているのは、

  • 読書量
    ではなく
  • 整理力と立ち位置

です。

  • 分類できているか
  • 論争点が明確か
  • 自分の研究につながっているか

この3点を意識するだけで、レビューの質は大きく変わります。

次回は、
経済学研究科における指導教員の選び方と注意点
を解説します。

ここで、研究テーマと研究環境をどう結びつけるかが見えてきます。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。