慶應SDMの猪熊浩子教授とは ― 公認会計士の視点で経済システムをデザインする

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今回のテーマは「慶應SDMの猪熊浩子教授とは ― 公認会計士の視点で経済システムをデザインする」です。

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、いわゆる慶應SDMには、工学系だけでなく、さまざまな専門分野を持つ教員が所属しています。その中でも猪熊浩子教授は、会計・財務・監査といった分野を背景に、経済社会の仕組みをシステムとして捉える研究者です。今回は、猪熊教授の経歴や研究分野を確認しながら、会計や経営の実務経験を持つ受験生がどのように研究テーマへつなげられるのかを考えていきます。


公認会計士としての実務経験を持つ猪熊浩子教授

猪熊浩子教授は、EY新日本有限責任監査法人を経て、東北大学大学院経済学研究科会計専門職専攻の准教授、武蔵大学国際教養学部の教授を歴任し、現職に至っています。武蔵大学では、ロンドン大学およびLSEが関わるプログラムを担当していました。

また、日本の公認会計士資格を持つ実務家研究者でもあります。監査法人での実務経験と大学での教育・研究経験の両方を持っていることが、猪熊教授の大きな特徴です。著書には『グローバリゼーションと会計・監査』などがあり、企業活動の国際化と会計・監査制度の関係についても研究してきました。

大学院で研究する際には、実務で感じてきた疑問を学術的な問いへ変えていく必要があります。猪熊教授の経歴は、実務と研究を結びつけたい社会人受験生にとって、教員選びを考える一つの参考になるでしょう。

会計や監査を経済社会のシステムとして捉える

猪熊教授の専門分野には、国際会計、財務・経営会計、監査論、税務会計、経済システムなどがあります。会計というと、企業の売上や利益を数字で記録する専門分野という印象を持つ方もいるかもしれません。しかし、猪熊教授の研究を理解するには、会計や監査を社会の中で機能する一つの仕組みとして見ることが重要です。

企業の財務情報は、経営者だけが利用するものではありません。投資家、金融機関、取引先をはじめ、多くの関係者が企業の状態を判断するために利用します。その情報がどのようなルールに基づいて作られ、どのように信頼性を確保するのかは、経済活動そのものにも影響します。

さらに、企業活動が国境を越えて広がると、国ごとの会計基準や監査制度の違いも無視できません。こうした制度を個別のルールとして見るのではなく、企業、投資家、監査人、行政など複数の関係者が関わる経済システムとして捉えるところに、SDMとの接点があります。

理工系以外の経験もSDMの研究テーマにつながる

SDMという名称から、システム開発や工学の経験がなければ受験しにくいのではないかと感じる方もいるでしょう。しかし、猪熊教授の研究領域を見ると、SDMで扱われるシステムが技術的なものだけではないことが分かります。

会計士や税理士として働いている方はもちろん、企業の経理・財務、経営企画、内部統制、コーポレートガバナンスなどに関わってきた方も、自分の仕事の中から研究課題を見つけられる可能性があります。例えば、社内の管理制度が実際の業務とうまく合っていない、内部統制を整えても現場で十分に機能しない、海外拠点との間で会計上の考え方に違いが生じるといった経験も、研究テーマを考える材料になります。

重要なのは、単に会計の知識を深めたいと考えるだけではなく、その仕組みが組織や社会の中でどのように機能しているのかまで視野を広げることです。自分が実務で経験した課題を複数の関係者や制度とのつながりから捉え直すことで、SDMで研究する意味がより明確になります。

研究計画では実務上の課題を一段広い視点から考える

猪熊教授のもとでの研究を検討する場合、自分の専門知識や職務経験を出発点にしながら、より広い経済システムの中で問題を捉えることがポイントになります。

例えば、会計不正について研究したい場合、不正事例を集めるだけではなく、なぜ既存の監査や内部統制で防げなかったのか、企業文化や組織構造、監査制度などがどのように関係していたのかまで考えると、研究の問いが深まります。同様に、国際会計をテーマにする場合も、基準の違いそのものだけでなく、その違いが企業行動や投資家の判断にどのような影響を与えるのかまで検討できます。

海外勤務やグローバル企業での業務経験がある方であれば、その経験も研究テーマの材料になります。自分が現場で感じてきた違和感や問題を、個人的な経験として終わらせず、社会や制度の仕組みとして捉え直せるかどうかが重要です。

こうした整理は、研究計画だけでなく、志望理由や面接にもつながります。なぜその問題を研究したいのか、なぜSDMで学ぶ必要があるのかを説明するとき、自分の経験と研究の視点が一本につながっていると、内容を伝えやすくなります。

事前コンタクトでは研究との接点を具体的に伝える

猪熊教授への事前コンタクトを検討する際には、大学が公開している教員紹介だけでなく、これまで発表された論文やエッセイ、著書などにも目を通しておきたいところです。専門分野の名称が自分と近いという理由だけで連絡するのではなく、どの研究テーマや問題意識に関心を持ったのかを整理しておきましょう。

そのうえで、自分が実務の中でどのような課題を経験し、それを大学院でどのように研究したいと考えているのかを簡潔に伝えることが大切です。例えば、財務部門で経験した問題を研究したい場合でも、業務内容の紹介だけで終わらせず、どのような制度上の課題があると考えているのかまで言葉にすると、研究との接点が伝わりやすくなります。

また、猪熊教授の研究を調べることは、SDMという研究科そのものを理解するうえでも役立ちます。技術だけでなく、会計や監査、経済制度も社会を構成するシステムとして研究対象になり得ることが分かれば、自分の専門分野をSDMの中でどう位置づけるかも考えやすくなるでしょう。

まとめ

猪熊浩子教授は、公認会計士としての実務経験を持ち、国際会計、財務・経営会計、監査論、税務会計、経済システムなどを研究しています。会計や監査を単なる専門的なルールとして扱うのではなく、企業活動や社会の信頼を支える仕組みとして捉えている点が特徴です。

会計、財務、経営企画、内部統制、コーポレートガバナンスなどの経験を持つ方は、自分の仕事の中に研究につながる問題がないか振り返ってみるとよいでしょう。実務上の課題を一段広い視点から捉え直し、なぜその問題をSDMで研究したいのかを整理することが、研究計画や事前コンタクト、面接の準備につながります。


※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員情報などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および対象研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。