
KMD入試の英語レベル「CEFR B2」とは?換算の目安と対策法
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「KMD入試の英語レベル『CEFR B2』とは?換算の目安と対策法」です。
前回の記事では、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科、通称KMDの英語対策について解説しました。KMDでは2026年度から英語による入試が実施され、授業についても英語での開講が原則となっています。その中で、受験生が知っておきたいキーワードが「CEFR B2」です。
「B2と言われても、どのくらいの英語力なのか分からない」「TOEFLやIELTSでは何点くらいなの?」という方も多いのではないでしょうか。今回はCEFR B2がどの程度の英語力なのかを整理しながら、KMD受験に向けた学習目標の立て方を解説します。
そもそもCEFRとは?
CEFRとは「Common European Framework of Reference for Languages」の略称で、日本語では「ヨーロッパ言語共通参照枠」と呼ばれています。外国語をどの程度使うことができるのかを示す国際的な指標です。
CEFRでは、語学力をA1、A2、B1、B2、C1、C2の6段階で示します。大きく分けると、A1・A2は基礎段階、B1・B2は自立して言語を使える段階、C1・C2はより高度に言語を使える段階と考えると分かりやすいでしょう。
単純に単語を何個知っているか、文法問題を何問解けるかという基準ではありません。「読む」「聞く」「書く」「話す」といった力を含め、実際にその言語を使って何ができるのかという視点からレベルを考えるのが特徴です。
KMDが示しているCEFR B2とは?
KMDでは、2026年度から英語を原則とするカリキュラムへ移行するにあたり、CEFR B2レベルの英語運用能力を求める方針を示しています。
B2は、簡単な日常会話ができるというだけのレベルではありません。ある程度複雑な内容を理解し、自分の考えについて理由を示しながら説明したり、相手とやり取りしたりする力が求められる段階です。
KMDで考えると、授業の内容を英語で理解するだけではなく、自分の研究テーマについて説明したり、教員からの質問に答えたり、異なる国籍や専門性を持つ学生とプロジェクトについて議論したりすることが想定されます。
そのため、「旅行先で英語を話せる」というレベルからもう一歩進み、「自分の専門や研究について英語でコミュニケーションできる」ことを目標にするとよいでしょう。
CEFR B2を英語試験に換算すると?
CEFRと各英語試験のスコアは完全に一対一で対応するものではないため、換算値はあくまで目安として考える必要があります。
TOEFL iBTについては、2026年1月21日から新しい1〜6のスコア尺度が導入されました。ETSが公表しているCEFRとの対応では、B2は新しいスコア尺度の4〜4.5に相当します。旧来の0〜120点尺度では、ETSが公表していた対応表でB2の目安は72点以上とされていました。
IELTSについては、CEFRとの関係を単純な一点で示すことはできませんが、B2の目安を考える際には、おおむねIELTS 5.5〜6.5程度の範囲が参考になります。特に大学院で英語を使って学ぶことを考えるのであれば、総合点だけでなく、Speaking、Listening、Reading、Writingのバランスにも目を向けることが大切です。
なお、TOEFLは2026年にスコア表示が変更されているため、インターネット上に残っている「TOEFL○点=CEFR B2」という古い情報を見る際には注意してください。受験する時期に対応した最新の換算情報を確認しましょう。
まず自分の現在地を確認しよう
KMDの英語対策を始める際に、最初に行いたいのが現在の英語力の確認です。
すでにTOEFLやIELTSなどを受験した経験がある方は、現在のスコアとB2の目安を比較してみましょう。ただし、総合点だけを見るのではなく、どの技能が弱いのかまで確認することがポイントです。
たとえば、Readingは得意でもSpeakingが苦手という方は珍しくありません。大学受験で英語をしっかり勉強してきた方でも、英語で自分の研究について話した経験がなければ、KMDの面接では苦労する可能性があります。
まだ英語試験を受けたことがない場合は、公式のサンプル問題や模擬試験などを利用して、一度自分の実力を確認してみるとよいでしょう。最初から高得点を取る必要はありません。大切なのは、現在地と目標との距離を知ることです。
B1程度ならアウトプットを増やしていく
すでにB1程度の基礎力があり、英文を読んだり日常的な会話をしたりすることに大きな抵抗がない方は、KMD受験を意識したアウトプット練習を増やしていきましょう。
特に重要なのが、自分の専門分野について話す練習です。「なぜこの研究テーマなのか」「どのような社会課題を解決したいのか」「なぜKMDなのか」「リアルプロジェクトで何をしたいのか」といった内容を英語で説明してみてください。
最初から長く話す必要はありません。30秒、1分、2分と少しずつ説明できる時間を伸ばしていくと、面接対策にもつながります。
基礎に不安があるなら面接対策を急ぎすぎない
一方で、基本的な英文を読むことや、相手の英語を聞き取ることにも不安がある場合は、いきなり英語面接の回答を丸暗記する方法はおすすめできません。
まずは基本的な語彙や文法を確認し、短い英文を正確に理解できる力を身につけましょう。同時に、英語を毎日聞く時間をつくり、少しずつ英語そのものに慣れていくことも大切です。
面接回答だけを暗記すると、想定していた質問には答えられても、少し違う角度から質問された瞬間に答えられなくなることがあります。KMDの英語面接を考えるのであれば、「英文を覚える」のではなく、「自分の考えを英語で組み立てる」ことを最終的な目標にしましょう。
KMD対策では専門用語も英語で整理する
一般的な英語学習とKMDの院試対策で異なるのが、研究や専門分野に関する語彙です。
たとえば、AI、教育、医療、デザイン、地域課題、エンターテインメントなど、自分の研究テーマに関連する単語や表現については、英語でも説明できるようにしておく必要があります。
研究テーマのタイトル、研究目的、問題の背景、研究方法、想定する対象者、社会的な意義などについて、日本語と英語の両方で整理しておくとよいでしょう。
一般的な英単語を大量に覚えるだけではなく、「自分が面接で使う可能性の高い英語」を優先して身につけることで、限られた準備期間を有効に使うことができます。
まとめ
KMDが英語運用能力の目安として示しているCEFR B2は、単純な日常会話だけではなく、自分の考えや専門的な内容について、ある程度自立して英語でコミュニケーションできる水準と考えると分かりやすいでしょう。
TOEFL iBTでは、2026年1月21日以降の新しい1〜6のスコア尺度で4〜4.5がB2に対応しています。旧尺度の情報を見る場合には、スコア制度の変更に注意が必要です。IELTSについても換算はあくまで目安であり、ひとつの数字だけで英語力を判断しないことが大切です。
KMD受験に向けては、まず自分の現在地を把握し、基礎英語、英語試験対策、そして研究テーマや志望理由を英語で説明する練習を並行して進めていきましょう。CEFR B2という言葉に必要以上に身構えるのではなく、「KMDで学び、議論するために必要な英語力」という視点から準備することが重要です。
※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。CEFRとの換算値は試験実施団体や資料によって示し方が異なる場合があり、TOEFL iBTについても2026年1月から新しいスコア尺度が導入されています。また、KMDが求める英語力、提出可能な英語能力試験、選考方法などは年度によって変更される場合があります。受験を検討される際は、必ず慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科および各英語試験実施団体の公式サイトで最新情報をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


