【教員紹介】Guillaume Gourmelen特任助教|Hondaのアバターロボット研究を経てKMDで自在化を追求

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今回のテーマは「【教員紹介】Guillaume Gourmelen特任助教|Hondaのアバターロボット研究を経てKMDで自在化を追求」です。

KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)教員紹介シリーズの第6回では、ロボティクスや遠隔操作、身体拡張技術を専門とするGuillaume Gourmelen特任助教を紹介します。フランスで研究者としての基礎を築いた後、日本の大学や企業で研究を続けてきた、国際的な経歴を持つ研究者です。

Gourmelen特任助教の研究を理解する上で重要なのは、ロボットを単に人間の代わりに作業する機械として捉えていない点です。人間の身体能力を技術によって広げ、これまでできなかった行動を可能にするという「自在化」の考え方が研究の中心にあります。今回は、これまでの経歴、研究テーマ、KMDのCybernetic Being Projectとの関係などから、受験生が研究との接点をどのように考えればよいのかを見ていきます。


Guillaume Gourmelen特任助教はどのような研究者なのか

Gourmelen特任助教の専門分野は、ロボティクス、テレオペレーション、インピーダンス制御、人間の身体能力を技術によって拡張する自在化などです。フランス南部のモンペリエにあるLIRMM(モンペリエ情報科学・システム・通信研究所)で電子工学と自動化に関するエンジニアリング学位を取得した後、ロボティクスと制御の分野で博士号を取得しています。

博士号取得後は、モンペリエ大学で臨時講師を務め、その後、早稲田大学でポスドク研究員として研究活動を行いました。さらにHonda Researchでは、アバターロボットプロジェクトに研究者として参加しています。

フランスの大学・研究機関で研究を始め、日本の大学でアカデミックな研究を経験し、企業の研究開発現場にも携わってきた点が特徴です。ひとつの環境だけで研究してきたのではなく、国や組織の異なる研究環境を経験しているため、基礎研究と応用研究の双方に接点を持っていることが分かります。


人とロボットの境界を広げる自在化の研究

Gourmelen特任助教の研究では、ヒューマン・ロボット・インタラクション(HRI)やヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)が大きなテーマになっています。人間とロボットがどのように関わり、どのように意図を伝え合うことができるのかを研究する領域です。

具体的には、ハプティクスと呼ばれる触覚技術、コンピュータービジョンを利用したAI、アドミタンス制御やインピーダンス制御、遠隔操作など、複数の技術を扱っています。また、人間の腕の動きの特性を推定する技術や、通常の2本の腕とは別に追加のロボットアームを身体に装着するスーパーニューメラリ・ロボティック・アームなども研究対象です。

ここで共通しているのは、人間とロボットを完全に別の存在として考えるのではなく、ロボット技術を人間の身体の延長として利用しようとする発想です。たとえば追加のロボットアームを自在に扱えるようになれば、人間が従来持っていた身体の制約そのものを変えられる可能性があります。

このような考え方が「自在化」です。道具を操作するという関係からさらに一歩進み、技術を自分の身体の一部のように扱える状態を目指す研究と考えると理解しやすいでしょう。


Cybernetic Being Projectとつながる研究領域

KMDが代表機関を務める科学技術振興機構(JST)のムーンショット型研究開発事業「Cybernetic Being Project」では、人が身体、脳、空間、時間などの制約から解放される社会を目指し、サイバネティック・アバター技術の研究開発が進められています。

サイバネティック・アバターとは、人間が離れた場所から操作したり、自分の身体能力を拡張したりするための技術です。Gourmelen特任助教が研究しているテレオペレーションや身体に追加するロボットアームは、こうした研究領域と深く関係しています。

たとえば、遠隔地にあるロボットを自分の身体のように操作できれば、物理的にその場所へ移動しなくても作業を行える可能性があります。また、身体に新しいロボットアームを追加し、それを自然に操作できるようになれば、人間が従来持っていなかった身体能力を獲得することにもつながります。

こうした研究は、単に高性能なロボットを作るだけでは成立しません。人間がどのように動きを理解し、どの程度の力を感じ、どのように操作すれば自然に感じられるのかまで考える必要があります。そのため、ロボティクスだけでなく、触覚、人間の運動特性、AIなどを組み合わせた研究が重要になります。


Honda Researchでのアバターロボット研究経験

Gourmelen特任助教の経歴の中で注目したいのが、Honda Researchでアバターロボットプロジェクトに携わった経験です。大学の研究では新しい理論や技術の可能性を追究することが重要ですが、企業の研究開発では、それを現実の利用環境にどうつなげるかという視点も求められます。

研究成果が技術として成立していても、実際に人が操作しにくければ利用につながらない場合があります。また、安全性や安定性、利用場面なども考える必要があります。企業での研究経験を持つことは、このような実際の利用を意識した研究を考える上でも大きな特徴といえます。

KMDへの出願を考えている受験生にとっても、研究を論文として完成させるところだけを目標にするのではなく、社会の中で誰がその技術を利用するのかまで考えることは大切です。ロボット技術を何のために使いたいのかを具体的に考えることで、研究テーマの意味も明確になります。


受験生は技術と人間の関係から研究テーマを考える

Gourmelen特任助教の研究に関心がある場合、「ロボットを研究したい」というところからもう一段階掘り下げて考えてみることが重要です。どのような人の能力を拡張したいのか、どのような場面で遠隔操作が必要なのか、人とロボットがどのような関係になれば使いやすいのかという問いを持つことで、研究テーマが具体的になります。

たとえば、危険な場所での作業、離れた場所からの協働、人間の身体能力では難しい作業など、自分が問題だと感じている具体的な場面から考える方法があります。その上で、触覚技術やAI、遠隔操作、追加のロボットアームなど、どの技術がその問題と結びつくのかを検討していきます。

出願書類や面接でも、最新のロボット技術に興味があるという説明だけではなく、自分がどのような課題を解決したいのか、そのためになぜ身体拡張や自在化という考え方が必要なのかまで整理しておくとよいでしょう。

また、Gourmelen特任助教のように複数の国や研究機関で活動してきた教員のもとで研究することを考える場合、異なる専門性や文化的背景を持つ研究者と協働する姿勢も重要になります。技術力だけではなく、自分の研究内容を他分野の人に説明する力も意識しておきたいところです。


まとめ

Guillaume Gourmelen特任助教は、フランスでロボティクスと制御を学び、早稲田大学やHonda Researchでの研究経験を経て、人間とロボットの新しい関係を研究しています。テレオペレーション、ハプティクス、インピーダンス制御、追加のロボットアームなどを通して、人間の身体能力を拡張する自在化を追究している点が特徴です。

また、Cybernetic Being Projectが目指すサイバネティック・アバター技術とも深く関係する研究領域であり、人間の身体や空間の制約をテクノロジーによってどのように乗り越えるかという大きなテーマにつながっています。

KMDへの出願を検討している方は、ロボットそのものへの興味だけではなく、人間のどのような能力や行動を拡張したいのかまで考えてみてください。自分の経験や問題意識と、遠隔操作や身体拡張技術との接点を具体的に整理することが、研究計画や志望理由、面接の準備を深めることにもつながります。


※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員の所属・役職・研究内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。