
【教員紹介】加藤朗教授|日本のインターネット黎明期を支えたWIDE Projectのパイオニア
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今回のテーマは「【教員紹介】加藤朗教授|日本のインターネット黎明期を支えたWIDE Projectのパイオニア」です。
KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)教員紹介シリーズの第14回では、コンピュータネットワークやインターネット基盤技術を専門とし、日本のインターネット黎明期から研究・運用に携わってきた加藤朗教授を紹介します。
KMDというと、デザインやコンテンツ、XR、ロボティクスなどを思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、それらのサービスや技術の多くは、安定したネットワークがあって初めて成り立ちます。加藤教授の研究は、私たちが日常的に利用しているインターネットそのものを支える領域です。今回は、加藤教授の経歴やWIDE Projectとの関わり、研究テーマを通じて、KMDにおけるネットワーク研究の位置づけを見ていきます。
加藤朗教授はどのような研究者なのか

加藤朗教授の専門分野は、コンピュータネットワーク、インターネット基盤技術、運用技術、計測技術です。1982年に国立東京工業高等専門学校電子工学科を卒業した後、東京工業大学工学部電気電子工学科へ編入し、1984年に卒業しました。さらに1986年には同大学院で工学修士を取得しています。
加藤教授の経歴で注目したいのは、インターネットが現在のように一般社会へ普及するよりも前から、ネットワーク研究に携わってきたことです。学生時代から、日本の初期の学術ネットワークとして知られるJUNETに関わり、1987年からはWIDE Projectに参画しています。
その後、東京工業大学大学院での博士課程を経て、慶應義塾大学環境情報学部の助手、東京大学大型計算機センターの助手、助教授などを歴任しました。2004年には慶應義塾大学で博士(政策・メディア)の学位を取得し、2008年にKMDの教授に就任しています。
同じ2008年には文部科学大臣表彰科学技術賞の研究部門を受賞するなど、長年にわたるインターネット基盤技術の研究が評価されています。
日本のインターネット黎明期からWIDE Projectに参画
加藤教授を理解する上で欠かせないのが、WIDE Projectとの関わりです。WIDE Projectは、日本におけるインターネット研究の先駆的な取り組みとして知られ、ネットワーク技術の研究や実験、運用、人材育成などに長く関わってきました。
現在ではインターネット接続は生活の一部となり、スマートフォンやクラウドサービス、動画配信、オンライン会議などを当たり前のように利用できます。しかし、日本でインターネットの利用が広がる以前には、大学や研究機関を結ぶネットワークを実際に構築し、どのような技術で安定して通信させるのかを研究する段階がありました。
加藤教授は、こうした時代からWIDE Projectに参画し、現在もBoard Memberとして関わっています。完成したインターネットを研究対象として見るのではなく、その仕組みが作られ、社会へ広がっていく過程そのものに関わってきた研究者だといえます。
ネットワーク技術を学びたい受験生にとっては、現在使われている技術だけでなく、なぜ現在の仕組みになったのかという歴史的な背景まで理解することが、研究テーマを深める手がかりになります。
インターネットという社会基盤を支える研究

加藤教授の研究対象は、インターネットという社会基盤そのものです。コンピュータネットワークの技術だけでなく、実際の運用やネットワーク状態の計測など、安定した通信を維持するために必要な幅広い課題を扱っています。
利用者から見ると、インターネットは接続できて当然の存在です。しかし、通信量の増加や障害、機器の故障、ネットワーク構成の変化など、現実の運用ではさまざまな問題が発生します。そのため、ネットワークがどのような状態にあるのかを正確に把握し、問題があれば原因を分析して改善する技術が必要になります。
近年は、動画配信、クラウド、IoTなど、ネットワークを利用するサービスも増えています。社会のデジタル化が進むほど、表からは見えにくいネットワーク基盤の重要性は高まります。
以前紹介した杉浦一徳教授もインターネット基盤技術を専門分野のひとつとしていますが、加藤教授は日本のインターネットが形成されてきた初期の段階から、この分野に携わってきた点が特徴です。
ネットワーク技術の知識を広げる活動にも貢献
加藤教授は研究だけでなく、ネットワーク技術に関する知識を広める活動にも関わってきました。そのひとつが、ネットワーク技術について扱った書籍『インターコネクションズ―ブリッジ、ルータ、スイッチとさまざまなプロトコル』の日本語版です。
ネットワークを理解するには、単に機器の操作方法を覚えるだけでなく、データがどのように送られ、複数のネットワークがどのようにつながり、通信経路がどのように決まるのかを理解する必要があります。
こうした基礎的な仕組みは、技術が進歩しても重要です。最新のサービスに関心を持つことはもちろん大切ですが、そのサービスを成り立たせている通信やネットワークの原理を理解することで、より根本的な問題を研究できるようになります。
KMDで技術系の研究を考えている受験生も、目に見えるアプリケーションだけでなく、その背後で動く基盤技術まで視野を広げることで、研究テーマの選択肢が増えていくでしょう。
受験生は「何を作るか」だけでなく「何が支えているか」を考える

加藤教授の研究に関心がある受験生は、ネットワークを単なる通信手段として見るのではなく、社会を支えるインフラとして考えてみることが大切です。
たとえば、オンライン教育、遠隔医療、動画配信、メタバース、IoTなどを研究したい場合、それらが安定して動作するためには通信環境が欠かせません。利用者が増えたときにも品質を維持できるのか、障害が発生したときにどのように復旧するのか、ネットワークの状態をどのように測定するのかといった問いも研究テーマになります。
研究計画や志望理由では、「インターネットに興味がある」という説明だけでなく、自分がネットワークのどの問題に関心を持っているのかを具体化することが必要です。運用、計測、通信品質、ネットワーク構成など、対象を絞ることで研究上の問いが見えやすくなります。
また、面接では、研究したい技術が社会のどのような場面で必要とされるのかまで説明できると、自分の研究の意義を伝えやすくなります。表から見えにくい基盤技術だからこそ、それが社会にどのような影響を与えているのかを自分の言葉で説明できるようにしておきたいところです。
まとめ
加藤朗教授は、日本のインターネット黎明期からJUNETやWIDE Projectに関わり、コンピュータネットワーク、インターネット基盤技術、運用技術、計測技術の研究を長年続けてきた研究者です。
現在では当たり前になったインターネットも、多くの研究者や技術者が基盤を作り、運用し、改善を積み重ねてきたことで社会に定着しています。加藤教授の経歴は、そうした日本のインターネットの発展と深く重なっています。
KMDへの進学を検討している方で、ネットワークやインターネットインフラに関心がある場合は、目に見えるサービスだけでなく、それを支えている技術にも目を向けてみてください。自分がどのような社会基盤上の課題を解決したいのかを整理することが、研究計画や志望理由、面接の準備にもつながります。
※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員の所属・役職・研究内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


