【教員紹介】武田秀太郎准教授|核融合スタートアップ創業者にしてマルタ騎士団の騎士

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今回のテーマは「【教員紹介】武田秀太郎准教授|核融合スタートアップ創業者にしてマルタ騎士団の騎士」です。

KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)教員紹介シリーズの第20回では、核融合工学、サステナビリティ、エネルギー社会経済分析を専門とする武田秀太郎准教授を紹介します。今回で専任教員の紹介はいったん区切りとなります。

武田准教授は、大学での研究だけでなく、核融合スタートアップの創業、国際機関での勤務、社会貢献活動など、複数の領域で経験を積んできた研究者です。エネルギー問題や気候変動に関心がある方はもちろん、研究成果を社会へ届ける方法や、研究と起業をどのようにつなげるのかを考えたい受験生にとっても、注目したい教員のひとりです。


武田秀太郎准教授はどのような研究者なのか

武田秀太郎准教授の専門分野は、核融合工学、計量サステナビリティ学、エネルギー社会経済分析です。京都大学大学院エネルギー科学研究科へ進学し、2018年には研究科史上初となる1年の飛び級で博士号(エネルギー科学)を取得しました。その後、ハーバード大学ではサステナビリティ学の修士号も取得しています。

研究歴だけでなく、学生時代から社会と直接関わる活動を経験している点も特徴です。東日本大震災の際には京都大学を休学し、陸上自衛隊の予備自衛官として任官しました。また、復学後には青年海外協力隊員としてバングラデシュへ赴任しています。

こうした経験から見えてくるのは、社会課題を研究室の中だけで考えるのではなく、実際の現場や異なる国の状況から捉えようとする姿勢です。エネルギーやサステナビリティは、技術だけで解決できる問題ではありません。経済、政策、生活、地域社会など多くの要素が関係するため、複数の視点から課題を見ることが重要になります。


核融合スタートアップを創業し研究を産業へつなげる

武田准教授の経歴の中でも特に注目されるのが、2019年に京都フュージョニアリング株式会社を創業したことです。記事案では、日本初の核融合スタートアップとして紹介されています。

核融合エネルギーは、次世代のエネルギー技術として世界的に研究が進められている領域です。しかし、研究成果が得られたからといって、そのまま社会で利用できるわけではありません。実証のための設備を整え、技術を検証し、事業として継続できる形にしていく必要があります。

武田准教授は、研究者として核融合を研究するだけでなく、企業を立ち上げ、世界に先駆けた実証実験施設の構築や発電実証計画にも携わってきました。基礎的な研究成果を、産業としてどのように成長させるのかという課題に自ら向き合ってきたことになります。

KMDを目指す受験生にとっても、この点は参考になります。研究計画を考える際には、「何を明らかにしたいのか」だけでなく、その成果が将来誰に使われ、どのような社会的価値につながるのかまで考えることで、研究の位置づけをより具体的に説明できるようになります。


国際機関での経験とエネルギー政策への視点

武田准教授は、IAEA(国際原子力機関)で国連職員として勤務した経験も持っています。その後、2021年には京都大学の特定准教授に就任し、九州大学准教授を経て、2025年からKMDの准教授を務めています。また、KMD研究所フュージョンインダストリー研究センターのセンター長にも就任しています。

エネルギー技術は、一つの国だけで完結するテーマではありません。エネルギー安全保障、環境問題、国際的な技術協力、産業政策などとも密接に関わります。そのため、技術的な性能だけでなく、どのような制度の中で導入されるのか、社会がその技術をどのように受け入れるのかを考える必要があります。

国際機関、大学、スタートアップという異なる環境を経験していることは、研究成果を社会へ広げる過程を複数の立場から考えられる強みにつながります。エネルギー政策や国際協力に関心がある受験生にとっても、武田准教授のキャリアは研究テーマを考える材料になるでしょう。


計量サステナビリティ学で見えにくい問題を可視化する

武田准教授が提唱・推進する研究領域のひとつが、計量サステナビリティ学です。持続可能性という抽象的になりやすいテーマを、ビッグデータ、定量分析、データビジュアライゼーションなどを用いて可視化し、科学的な根拠に基づいて考えることを目指しています。

たとえば脱炭素化を進めること自体は重要でも、その過程で特定の地域や労働者へ負担が集中する可能性があります。環境によい政策だからといって、すべての人に同じような利益が生まれるとは限りません。

記事案では、リアルプロジェクト「Invisible Future」との関連が挙げられています。そこでは、脱炭素社会への移行の中で見えにくくなりやすい途上国の労働者や地域社会などに目を向け、人権影響評価の方法や大規模言語モデルなどを活用しながら分析する研究が進められているとされています。

重要なのは、サステナビリティを単に環境負荷の削減として考えるのではなく、社会の中で誰が利益を得て、誰が不利益を受けるのかまで考えることです。データによって見えにくい問題を明らかにし、公正な社会移行につなげようとする視点が、武田准教授の研究の特徴です。


異なる経験を一つの研究テーマにつなげる

武田准教授は、研究者、起業家、国際機関での勤務、社会貢献活動など、複数の経験を持っています。また、2022年にはマルタ騎士団によってナイトに叙任され、聖ヨハネ騎士勲章を受勲したという経歴もあります。

こうした肩書きそのものに注目するだけではなく、研究、実業、国際活動、社会貢献を別々のものとして扱わず、一つの問題意識の中でつなげてきた点を見ることが大切です。

KMDを受験する際も、これまでの専門分野や職歴が一つの分野にまとまっていなくても、それ自体が不利になるとは限りません。むしろ、「なぜ異なる経験をしてきた自分が、この研究テーマに取り組むのか」を説明できれば、独自の志望理由につながります。

エネルギー、気候変動、サステナビリティ、起業などに関心がある方は、自分がどの問題を解決したいのか、そのために技術、ビジネス、政策のどの視点が必要なのかを整理してみるとよいでしょう。研究計画や面接でも、単に関心分野を挙げるのではなく、それらがどのようにつながっているのかを説明することが重要です。


まとめ

武田秀太郎准教授は、核融合工学を基礎としながら、サステナビリティ、社会経済分析、起業、国際機関での経験などを横断して研究と実践を続けてきた研究者です。京都フュージョニアリングの創業を通じて核融合技術の産業化に携わる一方、計量サステナビリティ学では、データを用いて社会の中で見えにくい問題を明らかにしようとしています。

KMDへの進学を検討している方で、エネルギー問題、気候変動、サステナビリティ、新しい産業の創出などに関心がある場合は、技術だけでなく、政策、経済、社会への影響まで含めて研究テーマを考えてみてください。研究成果を社会へつなげたい方にとっても、武田准教授の歩みは参考になるでしょう。

今回でKMDの専任教員20名の紹介はいったん完了です。次回からは、特任教員の研究分野や経歴について紹介していきます。


※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員の所属・役職・研究内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。