
KMDの面接官は事前予想できる?誰が相手でも伝わる面接対策の考え方
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「KMDの面接官は事前予想できる?誰が相手でも伝わる面接対策の考え方」です。
KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)の二次選考を前にすると、「どの先生が面接官になるのだろう」「自分の研究テーマに近い先生が担当するのだろうか」と気になる方も多いでしょう。
面接官を事前に想定できれば、その教員の研究分野や関心に合わせて対策できるように思えます。しかし、実際には志願者側が面接担当者を正確に予測することは難しく、特定の教員だけを想定した準備に偏るのはおすすめできません。
大切なのは、「誰が面接官でも、自分の研究テーマや志望理由を分かりやすく説明できる状態」をつくることです。今回は、面接官を予想しすぎないほうがよい理由と、多様な専門分野の教員を想定した面接準備について解説します。
面接官を事前に決め打ちしない
KMDには、テクノロジー、デザイン、ビジネス、コンテンツ、社会など、さまざまな専門分野を持つ教員が在籍しています。
そのため、「自分はAIについて研究したいから、AIを専門とする先生が面接官になるはず」「このリアルプロジェクトに興味があるから、その担当教員が面接するだろう」と考えて準備するのは危険です。
仮に自分のテーマに近い教員が面接に参加したとしても、その教員だけに向けて話すわけではありません。異なる専門性を持つ相手にも、自分の研究の背景や価値が伝わるように説明する必要があります。
面接官を当てることに時間を使うよりも、誰に対しても説明できる研究計画へ磨き上げるほうが、実際の面接対策としては有効です。
「完全ランダム」と断定する必要はない
一方で、「KMDの面接官は完全にランダムで決まる」と断定するのも避けたほうがよいでしょう。
面接官の具体的な選定方法は、受験生向けにすべて公開されているわけではありません。そのため、どのような基準で担当教員が決められているのかを外部から正確に判断することはできません。
受験対策として重要なのは、選定方法を推測することではなく、「自分の希望する教員とは異なる専門分野の先生から質問される可能性もある」と考えておくことです。
面接官の組み合わせを予想することではなく、多様な視点から研究について問われる可能性を想定して準備しましょう。
専門用語に頼りすぎる説明は危険
自分の専門分野について詳しく勉強しているほど、面接では専門用語を使いたくなるものです。
もちろん、研究に必要な専門用語を使うこと自体に問題はありません。しかし、その言葉を知らない人には何を言っているのか分からない説明になってしまうと、研究の魅力も伝わりにくくなります。
たとえば、専門的な技術名を最初から並べるのではなく、「この技術を使うことで、これまでできなかった○○が可能になります」と目的から説明すると、専門外の相手にも理解されやすくなります。
特にKMDは多分野横断を重視する研究科です。異なる専門性を持つ人にも自分の考えを伝えられることは、入学後のリアルプロジェクトでも必要になる力です。
「中学生にも説明できるか」でチェックする
自分の説明が難しくなりすぎていないか確認する簡単な方法があります。それは、専門知識のない人に説明してみることです。
友人や家族などに、「私が研究したいことを1分で説明するから、分かったか教えて」とお願いしてみましょう。
そのとき、「言葉は分かったけれど、結局何をしたいの?」と聞かれた場合は、研究テーマの本質がまだ伝わっていない可能性があります。
専門外の人でも、「今はこういう問題があって、この研究ではここを変えたいのだな」と理解できる説明を目指してください。
英語面接でも同じです。難しい専門用語を大量に使うより、シンプルな英語で問題、方法、価値を説明できるほうが、会話を進めやすくなります。
同じ研究を複数の視点から説明する
面接対策としておすすめしたいのが、自分の研究テーマを異なる専門分野から見直してみることです。
たとえばAIを活用した教育サービスについて研究するのであれば、技術の視点だけではなく、教育、利用者体験、ビジネス、倫理などの視点から質問を考えます。
技術系の教員からは「なぜその技術を使う必要があるのか」、デザイン系の教員からは「利用者にどのような体験を提供するのか」、ビジネス系の教員からは「継続的に運用できるのか」、社会科学系の教員からは「誰が不利益を受ける可能性があるのか」と問われるかもしれません。
実際にどの質問が出るかを予想するのではなく、このように研究テーマを複数の方向から考えておくことで、想定外の質問にも対応しやすくなります。
知らない視点を指摘されたときはどうする?
面接では、自分がまったく考えていなかった角度から質問されることもあります。
そのときに避けたいのが、無理に答えを作ってしまうことです。知らないことを知っているように話すと、追加質問を受けたときに説明が破綻する可能性があります。
自分が十分に検討していなかった視点であれば、「その点については十分に検討できていませんでした。重要な視点だと思うので、今後の研究計画に取り入れて考えたいです」と伝える方法もあります。
もちろん、何を聞かれても「分かりません」で終わってよいわけではありません。自分がその場で考えられる範囲を示したうえで、知らない部分は正直に認めることが大切です。
面接は、すべての質問に完璧な正解を答える試験ではありません。質問を受けて考え、自分の意見を伝える姿勢も重要です。
厳しい質問を「否定」と受け取らない
面接官から「その研究は本当に必要ですか」「既に似たサービスがありますよね」「2年間では難しいのではないですか」といった厳しい質問を受けることも考えられます。
このような質問を、自分の研究そのものを否定されたと受け取ってしまうと、防御的な回答になりやすくなります。
しかし、研究では自分の仮説や計画に対して批判的な質問を受けることは珍しくありません。むしろ、その質問をきっかけに、自分が見落としていた課題に気づくこともあります。
「なぜそう思うのですか」と聞かれたときには、感情的に反論するのではなく、根拠を整理して説明しましょう。また、指摘に納得できる部分があれば、それを認めたうえで研究計画をどう改善できるか考える姿勢も大切です。
面接官を「攻略する相手」にしない
面接対策というと、「この先生にはこの答えが刺さる」「この専門ならこの言葉を使う」といった攻略方法を考えたくなることがあります。
しかし、KMDの面接では、相手に合わせて自分の考えを変えるより、自分自身の研究テーマと志望理由を一貫して説明できることのほうが重要です。
面接官は、自分を落とそうとしている敵ではありません。自分の研究について質問を投げかけ、その考えをより詳しく確認する相手です。
「評価されるために正解を言わなければ」と考えすぎるより、「自分の研究について異なる専門性を持つ人と対話する」と考えたほうが、自然な受け答えにつながります。
複数の人に模擬面接をしてもらう
誰が面接官になるか分からない状況への対策として、同じ人と何度も練習するだけでなく、複数の人に模擬面接をしてもらう方法があります。
研究内容に詳しい人だけでなく、専門外の人にも質問してもらいましょう。
専門家からは研究方法や新規性について深く質問される一方、専門外の人からは「そもそも何のための研究なの?」という本質的な質問が出ることがあります。
志樹舎で面接対策を行う場合も、想定質問の回答を覚えるだけでなく、研究計画をさまざまな角度から質問し、答え方をその場で組み立てる練習を行うことが重要です。
最終的に必要なのは「研究の軸」
想定外の質問にも対応できる人には共通点があります。それは、自分の研究の軸を理解していることです。
なぜこのテーマなのか、誰のどのような課題を解決したいのか、既存研究と何が違うのか、なぜKMDなのか。この中心部分が整理されていれば、質問の言い方が変わっても答えを組み立てることができます。
反対に、想定質問への回答だけを暗記していると、少し質問の角度を変えられただけで答えられなくなることがあります。
面接官を予想するより、自分自身の研究を深く理解すること。それが結果として最も幅広い面接対策になります。
まとめ
KMDの面接では、どの教員が担当するのかを受験生側が事前に正確に予測することは難しいため、特定の面接官だけを想定した対策に偏る必要はありません。
また、面接官の選定が「完全ランダム」であると外部から断定することもできません。大切なのは、さまざまな専門性を持つ教員から質問される可能性を考え、誰に対しても研究の本質が伝わる説明を準備しておくことです。
専門用語に頼らず研究の目的を説明すること、技術、デザイン、社会、ビジネスなど複数の角度から自分の計画を見直すこと、そして想定外の指摘を受けたときに柔軟に考えることを意識しましょう。
面接官を攻略しようとするのではなく、異なる専門性を持つ相手と自分の研究について対話する。そう考えることで、予定外の質問にも落ち着いて向き合いやすくなります。
最終的に最も重要なのは、「誰に聞かれても、自分はなぜこの研究をしたいのかを説明できる」という状態です。面接官を予想する時間があるなら、その分、自分の研究テーマとKMDを志望する理由をもう一段深く掘り下げておきましょう。
※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。KMDの面接官の選定方法、担当人数、質問内容、面接の運営方法、評価の観点などは年度や入試期によって変更される場合があります。また、本記事では面接官の選定が完全にランダムであることを示すものではありません。受験の際は、必ず慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイトおよび最新の募集要項をご確認ください。
志樹舎
では、大学院入試の各種対策に特化した専門性の高いサポートを行っています。
院試受験でお困りの方は、
無料相談
にお気軽にお申し込みください。
※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


