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今回のテーマは
修士論文で「背景説明」が長くなりすぎる理由 です。


なぜ多くの修士論文は「背景が長くなる」のか

修士論文の添削で、ほぼ必ず出てくる指摘があります。

  • 背景説明が長すぎる
  • どこからが本論なのか分かりにくい
  • 前置きで疲れてしまう

これは特定の人だけの問題ではありません。
修士論文を書く人の大半が、一度は通る罠です。

そしてこの問題は、
文章力の問題ではありません。
思考の構造に原因があります。


背景が長くなる人の共通した思考

背景説明が長くなりすぎる人には、共通点があります。

それは、

分かってもらわないと先に進めない

という不安です。

  • この分野の重要性を伝えたい
  • なぜこの研究が必要か理解してほしい
  • 勉強してきたことを示したい

この気持ち自体は、決して悪くありません。
むしろ真面目な研究者ほど、強く持っています。

ただし修士論文では、
この不安が背景肥大の原因になります。


背景説明は「説得」ではなく「前提共有」

修士論文における背景説明の役割は、

読み手を納得させること
ではなく
最低限の前提を共有すること

です。

指導教員や審査委員は、

  • その分野の専門家
  • 少なくとも基本的な知識は持っている

という前提で読んでいます。

にもかかわらず、

  • 教科書的な説明
  • 分野全体の歴史
  • 周辺領域まで含めた網羅的説明

を書いてしまうと、

本題に入らない論文

という印象を与えてしまいます。


「調べた量」と「書く量」を混同している

背景が長くなりすぎる最大の原因は、

調べた量=書く量

だと思ってしまうことです。

  • たくさん文献を読んだ
  • 勉強に時間をかけた
  • 理解が深まった

これらは研究としては正しいプロセスです。

しかし、
調べたことすべてを論文に書く必要はありません。

修士論文に必要なのは、

  • 読み手が迷わず
  • 本論に到達できる

ための背景だけです。


背景説明が長い論文が評価されない理由

背景説明が長すぎる論文は、
次のように評価されがちです。

  • 研究の焦点が見えない
  • 何が新規性なのか分からない
  • 本論に自信がないように見える

つまり、

背景が厚いほど、本論が弱く見える

という逆転現象が起きます。

これは非常にもったいない評価の落とし方です。


適切な背景説明の判断基準

背景説明が適切かどうかは、
次の質問で判断できます。

  • この説明がなくても、本論は理解できるか
  • この説明は、研究の問いに直接つながっているか
  • 指導教員に「なぜ必要か」説明できるか

1つでも怪しければ、
その背景説明は削る候補です。


背景は「最短距離」で本論につなぐ

良い修士論文の背景説明は、

  • 短い
  • 的確
  • すぐ本論に入る

という特徴があります。

背景説明のゴールは、
「本論に入る許可を取ること」です。

許可が取れたら、
それ以上話し続ける必要はありません。


背景を削ると、研究は一段階レベルアップする

多くの院生が恐れているのは、

背景を削ったら、論文が薄くなるのでは?

という不安です。

実際は逆です。

  • 本論の存在感が増す
  • 研究の主張が際立つ
  • 論文全体が締まる

結果として、
研究レベルが一段上がった印象になります。


まとめ

修士論文で背景説明が長くなりすぎる理由は、

  • 説得しようとしすぎる
  • 調べた量を見せようとする
  • 本論への不安を背景で補おうとする

この3点に集約されます。

背景説明は、
研究の価値を示す場所ではありません。

研究の価値は、
本論で示すものです。

背景は最短距離で。
この意識が、修士論文の完成度を大きく変えます。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。