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今回のテーマは
修士論文で「問いが弱い」と言われる本当の理由
です。


「問いが弱い」は最も多く、最も分かりにくい指摘

修士論文の指導で、非常によく出てくるコメントがあります。

「問いが弱いですね」

この一言に対して、多くの院生は次のように感じます。

  • 何が弱いのか分からない
  • もっと難しくすればいいのか
  • 専門性が足りないという意味なのか

しかし実際には、
「問いが弱い」という指摘は、難易度や知識量の話ではありません。

原因は、もっと構造的なところにあります。


問いが弱い論文に共通する特徴

「問いが弱い」と言われる論文には、共通点があります。

  • 問いが説明文になっている
  • 問いと結論が最初から見えている
  • 問いが広すぎて焦点がない

つまり、
問いとして機能していないのです。

問いとは本来、

  • 調べなければ答えが出ない
  • 論文を書き切ることで初めて答えられる

ものでなければなりません。


原因① 「問い」がただのテーマになっている

最も多い原因がこれです。

問い:〇〇について明らかにする

これは問いではなく、テーマの言い換えです。

このタイプの問いは、

  • 何が分かれば終わりなのか分からない
  • 問いとしての焦点が存在しない

結果として、
「で、何が問題なの?」
という評価になります。


原因② 問いが「説明」で終わっている

次に多いのが、

問い:〇〇の特徴は何か

という形式です。

一見問いのように見えますが、多くの場合、

  • 既存研究で説明されている
  • 新しさがどこにあるか不明

という状態になっています。

「それはすでに分かっているのでは?」
と思われる問いは、評価されません。


原因③ 問いが「答えありき」になっている

問いが弱くなるもう一つの原因は、最初から結論が決まっている問いです。

  • 〇〇は△△であることを示す
  • 〇〇が重要であることを明らかにする

この形式は、

  • 反証の余地がない
  • 議論の広がりがない

ため、研究として評価されにくくなります。

問いには、揺らぎや不確実性が必要です。


強い問いは「ズレ」や「違和感」から生まれる

評価される問いには、共通点があります。

  • 先行研究と現実のズレ
  • 説明しきれていない部分
  • 当たり前とされてきた前提への疑問

強い問いは、

なぜこれまで説明されてこなかったのか
どこに見落としがあるのか

という違和感を起点にしています。


指導教員が「問いが弱い」と言う本当の意図

指導教員がこの指摘をするとき、本当に言いたいのは次のことです。

  • この問いに答えても、新しい知見が見えない
  • 論文としての必然性がまだ弱い
  • もう一段深く考えられるはず

問いを捨てろという意味ではありません。

「今の問いを、もう一段階掘り下げてほしい」
というサインです。


問いを強くするための3つのチェック

問いを見直すときは、次の3点を確認してください。

  1. この問いに答える必然性は何か
  2. 先行研究では、どこが未解決なのか
  3. 答えに複数の可能性が残っているか

これらに答えられない問いは、修士論文として弱くなります。


まとめ

修士論文で「問いが弱い」と言われる理由は、

  • 難易度が低いから
  • 知識が足りないから

ではありません。

  • 問いがテーマ止まりになっている
  • 既存研究の説明で終わっている
  • 結論ありきになっている

この構造的な問題にあります。

問いを一段深くすること。
それが、修士論文を「研究」に変える決定的な一歩です。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。