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今回のテーマは「沖本竜義教授の研究室と計量経済学」です。
慶應義塾大学大学院への進学を目指す皆さん。近年、ビジネスや研究の現場では「ビッグデータ」や「データサイエンス」という言葉を耳にする機会が増えています。しかし、それらを経済や金融の分析に正しく応用できている人は決して多くありません。
本連載で扱っているカリキュラム・ポリシーの「領域Ⅰ:経済理論、計量・統計」の最前線で、金融市場からマクロ経済、さらにはエネルギー問題までをデータから読み解く研究者がいます。それが、経済学部および経済学研究科で教授を務める沖本竜義教授です。
本記事では、計量経済学を武器に社会の不確実性と向き合う沖本教授の研究内容と、研究室が求める力について整理していきます。
「真実はデータの中にある」:計量ファイナンスの本質
沖本教授の専門分野は、計量ファイナンス、マクロ計量経済学、エネルギー経済学です。
研究の根底にある考え方は非常にシンプルで、「真実はデータの中にある」というものです。ただし同時に、データから得られる結論には常に不確実性が伴うという点も強調されています。
単にデータを分析するだけでは意味はありません。重要なのは、分析結果がどの程度信頼できるのか、その不確実性を評価することです。そして、その上で現実の経済問題にどう応用できるかを考える姿勢が求められます。
この「データの解釈力」こそが、沖本教授の研究の核心にあります。
金融政策からESGまで:実社会に直結する研究領域
沖本教授の研究は、理論だけでなく実社会への応用に強く結びついています。扱うテーマも非常に幅広く、現代の経済課題と直結しています。
例えば、マクロ金融政策の分析では、日本銀行やアメリカの中央銀行による金融政策が市場にどのような影響を与えたのかを、データに基づいて検証しています。
また、エネルギー経済の分野では、石油市場の変動や再生可能エネルギー企業のリスクを分析し、環境問題と金融の関係を明らかにしています。
さらに近年では、ESG評価や女性活躍といった社会的なテーマについても、株式市場のデータを用いてその効果を検証しています。
これらの研究に共通しているのは、「感覚」ではなく「データ」で判断するという姿勢です。だからこそ、投資家や政策担当者にとって実用的な示唆を与える研究となっています。
求められるのは「統計と英語」の基礎力
沖本教授の研究室を目指す場合、大学院入試の段階で求められる水準は決して低くありません。
担当科目には、計量経済学演習、時系列分析、統計学など、データ分析の中核となる内容が並びます。これらはすべて、経済学研究科の「領域Ⅰ」に位置づけられる重要科目です。
そのため、受験生には統計学や計量経済学の基礎をしっかり理解していることが前提となります。特に時系列分析の基礎は重要です。
さらに、英語論文の読解力も不可欠です。最新の研究は英語で発表されるため、論文を正確に読み、自分の研究に活かす力が求められます。
つまり、沖本研究室を目指す場合は「数学的思考力」と「英語読解力」の両方をバランスよく準備する必要があります。
研究計画書で差がつくポイント
沖本教授の研究室を志望する場合、研究計画書の完成度が合否を大きく左右します。
まず重要なのは、自分の研究がデータ分析を軸としていることを明確にすることです。単なる興味ではなく、どのようなデータを使い、何を明らかにするのかを具体的に示す必要があります。
次に、そのデータに対してどのような分析手法を用いるのかを説明します。例えば時系列分析など、計量経済学の手法をどのように適用するのかを論理的に記述することが求められます。
そして最後に、その研究が社会にどのような価値を持つのかを示します。金融市場への応用、政策への示唆、企業活動への貢献など、現実との接点を意識することが重要です。
単にデータを扱うのではなく、「その分析が何を意味するのか」まで踏み込めているかが評価の分かれ目になります。
まとめ:データと向き合う覚悟があるか
沖本教授は、日常の中でデータに触れたときに「そこから何が分かるのか」「どれくらい確かなのか」「社会にどう役立つのか」を考えてほしいと述べています。
これは、単なる受験対策にとどまらず、研究者としての基本姿勢そのものです。
もしあなたが、データを通じて経済や金融の不確実な世界を理解したいと考えているなら、この研究室は非常に魅力的な選択肢になります。
まずは関連する論文に触れ、自分なりの問いを持つことから始めてみてください。その問いが、研究計画書の核になります。
※本記事の内容は執筆時点の情報をもとに整理しています。最新の募集要項や研究内容については、必ず公式サイトをご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。

