
KMDが求める4つの創造性とは?あなたの強みの見つけ方
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「KMDが求める4つの創造性とは?あなたの強みの見つけ方」です。
前回の記事では、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科、通称KMDが掲げる「メディア・イノベータ」という考え方についてご紹介しました。今回はさらに一歩踏み込み、KMDで重視される「創造性」について考えていきます。
創造性という言葉を聞くと、「新しいアイデアを思いつく力」「人にはない発想ができる力」をイメージする方も多いのではないでしょうか。しかし、KMDを目指すうえでは、創造性を単純なアイデアの面白さだけで考えないことが大切です。アイデアを形にする力、利用する人の体験を考える力、社会に広げる仕組みを考える力、そして実際に人を巻き込みながら動かしていく力など、さまざまな能力が新しい価値の創出につながります。
自分がこれまでどのような場面で力を発揮してきたのかを振り返ることは、KMDの志望理由書や面接で自分の強みを伝える際にも役立ちます。
なぜKMDでは創造性を幅広く考えるのか
どれほど斬新なアイデアがあっても、それを実際に形にできなければ社会に届けることはできません。一方で、高度な技術があっても、それを誰がどのような場面で使うのかが考えられていなければ、利用者に受け入れられない可能性があります。
さらに、技術とデザインの両方が優れていても、継続的に提供するための仕組みや、社会の中で実際に利用してもらうための働きかけがなければ、一時的な試みで終わってしまうかもしれません。
新しい価値を社会に生み出すためには、発想することから実現するところまで、さまざまな力が必要になります。そして、それらをすべて一人で完璧に備えている必要があるわけではありません。異なる強みを持つ人たちが協力し、それぞれの得意分野を持ち寄ることで、一人では生み出せないものを実現していく。この考え方は、多様なバックグラウンドを持つ学生が集まるKMDを理解するうえで重要なポイントです。
技術を使ってアイデアを形にする創造性
ひとつ目に考えたいのが、頭の中にあるアイデアを実際に動くものへと変えていく力です。プログラミングやシステム開発、ハードウェア、映像制作、デジタルコンテンツなど、方法はさまざまです。
ここで大切なのは、単純に「プログラミングができる」「最新技術について詳しい」とアピールすることではありません。その技術を使って、どのような課題を解決したのか、あるいは何を新しく生み出したのかまで考える必要があります。
たとえば、仕事で業務システムを開発した経験がある場合、「システム開発経験があります」だけでは、自分の強みは十分に伝わりません。利用者の課題をどのように発見し、どのような機能を考え、実際にどう改善したのかまで振り返ることで、KMDで活かせる経験として整理しやすくなります。
人の体験を考えるデザインの創造性
ふたつ目は、人がどのように感じ、どのように行動するのかを考えながら、新しい体験を生み出していく力です。デザインというと、見た目を美しく整えることを想像する方もいるかもしれませんが、それだけではありません。
誰が利用するのか、どこで使うのか、どのような不便や悩みを抱えているのかを考え、その人にとってより良い体験をつくることも重要です。
デザインを専門的に学んだ経験がなくても、これまでの活動の中にその要素が隠れていることがあります。たとえば、接客業でお客様の行動を観察してサービスを改善した経験や、社内で分かりにくかった業務の流れを見直した経験なども、人を起点に課題を考えた経験として振り返ることができます。
社会に届ける仕組みを考える創造性
三つ目は、新しいアイデアやサービスを社会の中で継続的に成り立たせるための仕組みを考える力です。優れた技術や魅力的なサービスであっても、それを必要としている人に届け、継続して利用してもらう仕組みがなければ、広く社会に定着させることは難しくなります。
事業企画、マーケティング、営業、新規事業、サービス運営などの経験を持つ社会人受験生は、これまでの仕事の中に活かせる経験がないか振り返ってみましょう。
「売上を伸ばした」という結果だけではなく、「顧客のどのような課題に気づいたのか」「どのような仕組みを考えたのか」「周囲とどのように協力して実現したのか」と分解して考えることで、自分の強みがより具体的に見えてきます。
人を巻き込み社会で実現していく創造性
四つ目は、考えたアイデアを実際の社会や現場へ持ち込み、関係する人たちと協力しながら実現していく力です。現実の社会では、良いアイデアだからといって、そのまま受け入れてもらえるとは限りません。
企業、行政、地域住民、利用者など、それぞれ異なる立場や考え方を持つ人たちとの調整が必要になることもあります。その中で相手の意見を聞き、目的を共有し、プロジェクトを前へ進めていく力も、新しい価値を実現するためには欠かせません。
学生であれば、ゼミやサークル、ボランティア、学園祭などの経験にも注目してみましょう。社会人であれば、チームマネジメントやプロジェクト推進、社内外との調整などの経験が、自分の強みにつながっている可能性があります。
自分の強みは過去の経験から見つける
KMDの受験を考える際に、「自分には特別な創造性がない」と不安になる必要はありません。まずは、自分がこれまで取り組んできたことを具体的に書き出してみることをおすすめします。
学生時代の研究、授業、アルバイト、サークル、趣味、仕事で担当したプロジェクトなどを振り返り、「何が課題だったのか」「自分は何を考えたのか」「どのように行動したのか」「結果として何が変わったのか」を整理してみましょう。
この作業をすると、自分では当たり前だと思っていた経験の中から強みが見つかることがあります。技術的な問題を解決することが得意だったのか、人の意見をまとめることが得意だったのか、新しい企画を考えることが多かったのか。実際の行動を振り返ることで、自分らしい特徴が見えやすくなります。
強みだけでなくKMDで伸ばしたい力も考える
院試対策では、自分がすでに持っている強みだけではなく、「KMDで何を身につけたいのか」まで考えておくことが大切です。
たとえば、「技術を使って形にすることは得意だが、利用者の視点からサービスを考える経験が不足している」「事業企画の経験はあるものの、自分自身でプロトタイプをつくる力を身につけたい」といった形です。
自分に足りない部分があることは、必ずしもマイナスではありません。むしろ、現在の強みと今後身につけたい力が明確になれば、「だからKMDで学びたい」という志望理由につなげることができます。
まとめ
KMDを目指すうえでは、創造性を単純な発想力だけで捉えず、技術によって形にする力、人の体験を考える力、社会に届ける仕組みを考える力、そして人を巻き込みながら実現していく力など、幅広い視点から考えることが重要です。
そして、最初からすべての力を持っている必要はありません。自分がこれまで培ってきた強みは何か、反対にこれから身につけたい力は何かを整理することで、KMDで学ぶ理由も明確になっていきます。
2027年度入学を目指す方は、志望理由書を書き始める前に、まずこれまでの経験を振り返ってみてください。「自分は何ができる人なのか」「KMDで何を伸ばしたいのか」を自分の言葉で説明できるようにすることが、今後の出願書類や面接対策の土台になります。
※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。KMDの教育方針、カリキュラム、入試制度、募集要項などは年度によって変更される場合があります。受験を検討される際は、必ず慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイトおよび最新の募集要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


