【教員紹介】加藤大弥特任助教|KMD博士課程修了生がセキュリティと触覚伝送技術を両立

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今回のテーマは「【教員紹介】加藤大弥特任助教|KMD博士課程修了生がセキュリティと触覚伝送技術を両立」です。

KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)教員紹介シリーズ、特任教員編の第2回では、KMDで修士課程・博士課程を学び、現在は特任助教として研究に携わる加藤大弥特任助教を紹介します。

加藤特任助教の特徴は、コンピュータセキュリティやネットワーク運用技術と、触覚情報を伝送する身体性メディアという、一見すると異なる二つの領域を研究してきた点です。情報を安全に届けるための基盤技術と、人間の身体的な体験そのものを届ける技術を横断していることから、KMDでどのように複数の専門性を組み合わせられるのかを考える上でも参考になる研究者です。


加藤大弥特任助教はどのような研究者なのか

加藤大弥特任助教の専門分野は、コンピュータセキュリティ、システム・ネットワークの運用技術、触覚伝送技術です。2015年に東京電機大学情報環境学部を卒業した後、KMDへ進学し、2017年に修士課程を修了しました。その後も博士課程で研究を続け、2020年に後期博士課程を単位取得退学しています。

KMDで学んだ経験を持つ教員としては、これまで紹介してきた佐藤千尋准教授や沈熙明特任助教なども挙げられます。加藤特任助教もまた、学生としてKMDの研究環境を経験しながら専門性を深め、その後教育・研究に携わっている教員のひとりです。

大学院進学後に一つのテーマだけを追い続けたのではなく、ネットワークやセキュリティという情報基盤の研究と、人の身体感覚に関わる研究を組み合わせてきたところに特徴があります。


認証認可とネットワーク運用を支えるセキュリティ研究

加藤特任助教が取り組んできた研究の一つが、コンピュータセキュリティとネットワーク運用技術です。特に、認証認可の基盤技術や、それを実際のシステムでどのように管理・運用していくのかを研究してきました。

認証とは、システムを利用しようとしている人が本人であることを確認する仕組みです。一方の認可は、その利用者にどこまでの操作を許可するかを決める仕組みです。オンラインサービスや組織内システムでは当たり前のように使われていますが、利用者が増え、複数のサービスが連携するほど管理は複雑になります。

加藤特任助教は、こうした認証認可基盤を実際に運用しやすくするための研究に取り組んできました。博士研究では、実践的な認証認可基盤を実現するための管理・運用に関するアーキテクチャを扱っています。

また、2017年からは実践セキュリティ人材育成コースであるSecCapの実践演習の開発・実施にも携わり、研究だけでなくセキュリティ人材の育成にも取り組んできました。2017年度には異能(ジェネレーション)アワードも受賞しています。


触覚情報をインターネットで伝える研究

加藤特任助教のもう一つの研究領域が、触覚情報の符号化と伝送です。これは、人が物に触れたときに感じる振動や力などの身体的な情報を、デジタル情報として扱い、離れた場所へ届けようとする研究です。

映像や音声であれば、インターネットを通じて遠くにいる人へ送ることができます。しかし、触った感覚まで共有しようとすると、どのような情報を取得し、どのような形で変換し、どのようなタイミングで再現するのかという新しい課題が生まれます。

加藤特任助教は、触覚体験を共有するためのプラットフォームや、インターネットを経由して物理的な入出力を扱う技術について研究してきました。南澤孝太教授らとの共同研究を通じて、国際会議でも研究成果を発表しています。

この領域は、南澤教授が率いるEmbodied Media Projectとも関係が深く、身体的な経験を記録・伝達・共有するというKMDの研究テーマの一部につながっています。


セキュリティと身体性メディアをどう結びつけるか

コンピュータセキュリティと触覚メディアは、最初は別々の研究分野に見えるかもしれません。しかし、遠隔地へ身体的な情報を送ることを考えると、ネットワークやセキュリティの知識は欠かせません。

たとえば、遠隔医療や遠隔操作の場面で触覚情報を送る場合、通信が途中で途切れたり、第三者に不正に操作されたりすれば、大きな問題につながる可能性があります。誰がシステムへアクセスできるのかを管理し、情報を安全かつ安定的に伝える技術が必要になります。

つまり、触覚体験を実現するためには、ユーザーが直接触れるデバイスだけを見るのではなく、それを支える通信基盤まで含めて考える必要があります。加藤特任助教が持つ二つの専門性は、こうしたところで接点を持ちます。

KMDの多分野横断とは、単に異なる分野を並べることではありません。自分が実現したいことに対して、複数の分野の知識をどう組み合わせるのかを考えることが重要です。加藤特任助教の研究は、その一例といえるでしょう。


受験生は技術の表側と裏側の両方を考える

加藤特任助教の研究に関心がある受験生は、自分が作りたいサービスや体験だけでなく、それを支える基盤技術まで考えてみるとよいでしょう。

たとえば、遠隔地に触覚を伝えるシステムを研究したい場合、「触覚を共有したい」という目的だけでは研究テーマとして広すぎます。どのような触覚を、誰と誰の間で、どのような場面で伝えるのか、その際に通信の遅延や安全性をどのように扱うのかまで考える必要があります。

一方、セキュリティを研究したい受験生も、「安全性を高めたい」というだけではなく、どのようなシステムで、誰を何から守るのかを具体化することが大切です。認証認可、ネットワーク運用、身体性メディアなど、自分の問題意識と加藤特任助教の研究領域がどこで重なるのかを整理すると、研究計画を考えやすくなります。

また、KMDの修士課程や博士課程を経験した研究者であることから、KMDで研究を続けた先にどのようなキャリアが考えられるのかを見る上でも参考になる存在です。


まとめ

加藤大弥特任助教は、KMDで修士課程・博士課程を学び、コンピュータセキュリティやネットワーク運用技術と、触覚情報の符号化・伝送という二つの領域を研究してきた研究者です。

認証認可のようにインターネットサービスを安全に支える技術と、身体的な経験をネットワーク越しに共有する技術は、一見すると異なります。しかし、実際に新しいメディア体験を社会で利用できる形にするためには、どちらの視点も必要になります。

KMDへの進学を検討している方で、セキュリティ、ネットワーク、触覚メディア、遠隔体験などに関心がある場合は、自分が実現したい体験と、それを安全かつ安定して支える技術の両方から研究テーマを考えてみてください。複数の専門分野を一つの問題意識につなげることが、研究計画や志望理由を具体化する手がかりになります。


※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員の所属・役職・研究内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。