
【教員紹介】Kai Kunze教授|アイウェアコンピューティングで「人間をよりスマートにする」研究者
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今回のテーマは「【教員紹介】Kai Kunze教授|アイウェアコンピューティングで「人間をよりスマートにする」研究者」です。
KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)教員紹介シリーズ、特任教員編の第3回では、ウェアラブルコンピューティングやヒューマンコンピュータインタラクションの分野で研究を続けるKai Kunze教授を紹介します。
Kunze教授の研究で特徴的なのは、コンピュータを単に便利な道具として使うだけではなく、人間の認知状態を理解し、必要に応じて能力を支援したり拡張したりする技術を考えている点です。特に眼鏡型デバイスを利用するアイウェアコンピューティングを中心に、人の視線や行動、認知状態とデジタル技術を結びつける研究に取り組んでいます。ウェアラブルデバイス、機械学習、人間拡張などに関心のある受験生にとって、KMDで考えられる研究テーマの広さを知る上でも参考になる教員です。
Kai Kunze教授はどのような研究者なのか

Kunze教授の専門分野は、ウェアラブルコンピューティング、応用機械学習、ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)、知覚認知コンピューティングです。
2011年にはMITメディアラボで訪問研究員として活動し、同年にドイツのパッサウ大学でウェアラブルコンピューティング分野の博士号を取得しました。その後、大阪府立大学で特任助教を務め、2014年にはKMDの特任准教授に就任しています。
また、米国のパロアルト研究所、フランスのSunlabs Europe、ドイツ証券取引所など、複数の国の研究機関や企業において研究訪問やインターンシップを経験しています。一つの大学や研究室だけで研究を続けるのではなく、異なる研究文化や産業の現場に触れながら専門性を深めてきた点も特徴です。
UbiComp、PERCOM、ICDARなどの国際的な学術の場でも研究成果を発表し、最優秀論文賞やデモ賞などを受賞してきました。長年にわたり、ウェアラブル・ユビキタスコンピューティング分野で研究を続けています。
アイウェアコンピューティングで人の認知を捉える
Kunze教授が特に力を入れている研究領域が、アイウェアコンピューティングです。これは、眼鏡型のウェアラブルデバイスにセンサーや情報処理技術を組み込み、人間の視線や行動、認知状態などを把握しようとする研究です。
眼鏡は日常的に身につけることができ、目や顔の近くに位置するため、人が何を見ているのか、どのような行動をしているのかを捉えるためのデバイスとして活用できます。そこで得られる情報を機械学習などで分析すれば、人が現在どのような状態にあるのかを推定し、それに応じて情報を提示するといった仕組みにつなげることができます。
Kunze教授は、人間の認知活動をトラッキングし、その状態を理解した上でコンピュータ側が振る舞いを変える、コグニション・アウェア・コンピューティングの研究にも取り組んでいます。
目標として掲げられている「人間をよりスマートにするテクノロジー」は、人の能力を単純に機械へ置き換えるという意味ではありません。人が何を必要としているのかを技術側が理解し、学習や判断、日常生活などを支援するという考え方につながっています。
教育やアクセシビリティにも広がる研究

アイウェアコンピューティングや認知拡張の研究は、特定の一つの用途に限定されていません。記事案では、視覚障害の状態を疑似体験するための調光レンズを使った老眼のリアルタイムシミュレーションや、子どもの幾何学学習を支援するデジタル教育ツールなどが研究例として挙げられています。
たとえば、見え方の変化を疑似体験できれば、視覚上の困難を抱える人がどのような状況に直面しているのかを理解する手がかりになります。また、学習場面で子どもの視線や行動を捉えることができれば、どの部分で理解につまずいているのかを把握し、より適切な支援につなげる可能性も考えられます。
このように、同じウェアラブル技術でも、教育、アクセシビリティ、身体・認知の拡張など、研究の応用先は幅広く存在します。技術そのものを目的にするのではなく、誰のどのような課題を解決するために使うのかによって、研究テーマは大きく変わります。
KMD内外の研究者との共同研究も特徴
Kunze教授の研究では、複数の研究者との共同研究も重要な位置を占めています。これまでの記事で紹介したGiulia Barbareschi特任准教授、山岡潤一准教授、南澤孝太教授などとも研究成果を発表してきました。
それぞれの研究分野を見ると、Barbareschi特任准教授は障害とテクノロジー、山岡准教授はデジタルファブリケーションやインタラクティブメディア、南澤教授は触覚や身体性メディアを専門としています。Kunze教授のウェアラブルコンピューティングや認知拡張と組み合わせることで、一人の研究者だけでは扱いにくい複合的なテーマに取り組むことができます。
ACM SIGGRAPH 2025のEmerging Technologiesで発表された研究や、AI・ロボティクス・XRなどによって人間の身体的・認知的能力を拡張する可能性と、そのリスクについて考える研究など、扱うテーマも広がっています。
KMDを志望する場合、自分と完全に同じ研究テーマを持つ教員一人だけを見るのではなく、関連する複数の教員がどのように共同研究をしているのかまで確認すると、入学後の研究環境をより具体的にイメージできます。
受験生は「何を拡張したいのか」を具体化する

Kunze教授の研究に関心がある受験生は、「ウェアラブルデバイスを研究したい」「AIを使って人間を支援したい」というところから一歩進み、自分が人間のどの能力や行動を支援したいのかを考えることが大切です。
たとえば、学習中の集中状態を把握したいのか、視覚的な困難を補いたいのか、日常生活の記憶を支援したいのかによって、取得するデータも利用するデバイスも評価方法も変わります。
また、人の認知状態をセンサーで取得する研究では、技術的に可能かどうかだけではなく、プライバシーや利用者の心理的な負担についても考える必要があります。常に身につけるデバイスだからこそ、「どの情報まで取得してよいのか」という問題も生まれます。
研究計画や志望理由では、利用したい技術を先に並べるのではなく、誰のどのような課題を解決したいのか、そのためになぜウェアラブル技術や機械学習が必要なのかを順番に整理すると、研究目的が伝わりやすくなります。
まとめ
Kai Kunze教授は、ウェアラブルコンピューティング、機械学習、HCI、知覚認知コンピューティングなどを専門とし、特にアイウェアコンピューティングを通じて人間の認知活動を理解し、支援・拡張する研究に取り組んでいます。
MITメディアラボでの研究経験をはじめ、世界各地の研究機関や企業で活動し、KMDでも複数の研究者との共同研究を進めてきました。その研究は、認知拡張だけでなく、教育、アクセシビリティ、人間拡張など幅広い領域へ広がっています。
KMDへの進学を検討している方で、ウェアラブルデバイス、機械学習、人間の認知、HCIなどに関心がある場合は、まず「人の何を理解し、どの能力をどのように支援したいのか」を具体的に考えてみてください。その問題意識を技術と結びつけることが、研究計画や志望理由を深める第一歩になります。
※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員の所属・役職・研究内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。

