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今回のテーマは
「修士論文はいつから書き始めるべきか」です。


修士論文は「完成してから書く」ものではない

修士論文について、多くの院生が最初に抱くのは、次のような感覚です。

  • まだ研究テーマが完全に固まっていない
  • データも出揃っていない
  • 結論が見えていない

だから、

  • 「書ける状態になってから書こう」
  • 「2年目の後半に一気に書けばいい」

そう考えてしまいます。

しかし結論から言うと、
この考え方は、修士論文ではほぼ確実に失敗します。

修士論文は、

  • 書き始めることで研究が固まり
  • 書き進めることでテーマが洗練されていく

ものだからです。


「書き始める」とは、何をすることなのか

まず重要なのは、
「書き始める=本文を完成形で書く」ではない
という点です。

修士論文において、最初に書くべきものは、たとえば次のようなものです。

  • 問題意識を文章で説明してみる
  • 仮の章構成を書き出す
  • 先行研究を要約し、自分の立ち位置を整理する
  • 「まだ分かっていないこと」を明文化する

これらはすべて、
立派な「論文執筆」の一部です。

Wordファイルを開き、
文章として言語化を始めた時点で、
修士論文はすでに始まっています。


ベストな書き始め時期は「修士1年目の秋」

では、具体的にいつから始めるべきなのでしょうか。

答えは明確です。

修士1年目の秋。
遅くとも冬には必ず書き始めているべきです。

この時期を逃すと、
2年目は想像以上に時間がなくなります。

  • 実験・調査の追い込み
  • 学会発表
  • 就職活動や進路選択
  • 修了後の準備

これらが同時に押し寄せ、
「落ち着いて考えながら書く時間」が消えていきます。

結果として、

  • 書きながら考える余裕がなくなる
  • 指導教員の修正が精神的に重くなる
  • 締切に追われて論文の質が下がる

という悪循環に入ります。


早く書き始めた人に起きる変化

修士1年目から書き始めた人には、
共通する変化があります。

  • 論点の弱さに早く気づける
  • 先行研究の不足が明確になる
  • 不要な研究の枝葉を切れる
  • 指導教員との議論が具体化する

つまり、
書くこと自体が「研究の質を上げる作業」になる
のです。

逆に、書かずに考え続けている人は、

  • 研究が進んでいるようで進んでいない
  • 何が問題なのか自分でも分からない
  • 指導教員から抽象的な指摘しかもらえない

という状態に陥りがちです。


「どうせ全部書き直す」は正しい

よくある不安に、こんなものがあります。

「今書いても、どうせ全部書き直しますよね?」

結論を言うと、
ほぼ確実に書き直します。

しかし、それでいいのです。

修士論文は、

  • 最初から完成度を求めるものではなく
  • 書き直しを前提に積み上げていくもの

だからです。

むしろ、

  • 書き直す前提で書く
  • 捨てる前提で文章を出す

この姿勢を持てない人ほど、
最後に筆が止まります。


書き始められない人の典型パターン

最後に、修士論文で行き詰まる人に共通するパターンを挙げます。

  • 研究が完全に固まるのを待つ
  • データが揃うまで書かない
  • 指導教員に「書け」と言われてから動く

この「待ち」の姿勢は、
研究においては致命的です。

修士論文は、

2年目に「書く」ものではなく、
1年目から「育てる」もの。

この認識を持てるかどうかが、
論文の完成度と精神的余裕を大きく左右します。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。