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今回のテーマは「加島潤教授の研究室と中国近現代経済史」です。


慶應義塾大学大学院への進学を目指す皆さん。現在の世界経済において、中国は非常に大きな存在感を持っています。しかし、中国経済を理解するためには、現在のニュースや統計を見るだけでは十分ではありません。

その背景には、長い歴史の中で形成されてきた制度や政策、地域社会の変化があります。こうした歴史的な流れを、経済学の視点から読み解く研究を行っているのが、経済学部および経済学研究科で教授を務める加島潤教授です。

本記事では、中国近現代経済史を専門とする加島教授の研究内容と、研究室を目指す受験生に求められる力について整理していきます。


中国近現代経済史を通じて制度と社会を読み解く

加島教授の専門分野は、中国近現代経済史および東アジア経済史です。

経済史と聞くと、昔の出来事を時系列で学ぶ分野という印象を持つ人もいるかもしれません。しかし、加島教授の研究は、単なる歴史の整理ではありません。制度や政策が地域の経済や社会にどのような影響を与えたのかを、経済学の視点から分析するものです。

特に、中国の社会主義体制や計画経済のもとで、地方政府や企業がどのように機能していたのかを丁寧に検討しています。上海の産業や毛沢東時代の工業化などを対象に、歴史資料をもとに実証的な研究を進めています。

つまり、加島教授の研究は「過去を知る」ためだけのものではありません。現在の中国経済や東アジア経済を理解するための土台を明らかにする研究だと言えます。


歴史学と経済学を行き来する研究

加島教授の研究の大きな特徴は、歴史学と経済学を組み合わせている点です。

歴史資料を読み解く力はもちろん重要ですが、それだけでは研究として十分ではありません。そこから得られた事実を、経済学の概念や分析枠組みを使って解釈することが求められます。

例えば、ある政策が企業の行動にどのような影響を与えたのか、地方政府がどのようなインセンティブで動いていたのか、産業の発展が地域社会にどのような変化をもたらしたのかといった問いが考えられます。

このように、史料を丁寧に読み込みながら、経済学の視点で再解釈していくところに、経済史研究の面白さがあります。


東アジア全体を見渡す視点

加島教授の研究は、中国一国にとどまりません。日本、中国、台湾などを含む東アジア全体の経済発展にも関心が向けられています。

特に、繊維産業や工業化の過程を比較することで、東アジアの国や地域がどのように関わり合いながら発展してきたのかを分析しています。

この視点は、現代のサプライチェーンや国際経済を理解する上でも重要です。現在の経済関係は突然生まれたものではなく、長い歴史の中で積み重ねられてきたものだからです。

そのため、東アジアを舞台に研究やビジネスに関わりたい人にとって、経済史の知識は大きな武器になります。


求められるのは史料を読む力と経済学の基礎

加島教授の研究室を志望する場合、まず必要となるのは歴史資料を丁寧に読む力です。中国近現代史を扱う以上、中国語文献や一次資料に向き合う姿勢は欠かせません。

ただし、それだけでは十分ではありません。経済学研究科で学ぶ以上、経済学の基礎的な考え方も重要になります。ミクロ経済学やマクロ経済学の視点を使って、歴史的事象を分析する力が求められます。

また、経済史の研究では、単に「何が起きたか」を説明するだけでなく、「なぜそうなったのか」「その制度や政策にはどのような意味があったのか」を考える必要があります。

歴史への関心と、経済学的な分析力の両方を持つことが、加島研究室を目指す上で大切になります。


研究計画書で意識すべきポイント

加島教授の研究室を目指す場合、研究計画書では自分の研究が中国または東アジアの経済史に関わるものであることを明確にする必要があります。

まず、どの時代、どの地域、どの制度や産業を対象にするのかを具体的に示しましょう。中国近現代史といっても範囲は広いため、研究対象を絞ることが重要です。

次に、その歴史的事象をどのような経済学の視点で分析するのかを説明します。単なる歴史の紹介ではなく、制度、政策、企業行動、産業発展などの観点から問いを立てることが大切です。

さらに、その研究が現代の中国経済や東アジア経済の理解にどうつながるのかを示すと、研究の意義が伝わりやすくなります。

過去を扱う研究であっても、現代につながる問題意識を持つことが、研究計画書の説得力を高めます。


まとめ:歴史を経済学で読み直す力

加島教授の研究は、中国や東アジアの歴史を、経済学の視点から読み直すものです。

歴史資料を丁寧に読み込み、そこに経済学の分析枠組みを重ねることで、これまでとは異なる見方が生まれます。これは、単なる知識の蓄積ではなく、社会の成り立ちを深く理解するための学びです。

中国経済や東アジアの発展に関心がある人、制度や政策が社会に与える影響を歴史的に考えたい人にとって、加島教授の研究室は非常に魅力的な選択肢になるでしょう。

まずは関連する著書や論文に触れ、自分自身がどの時代や地域に問いを持つのかを考えてみてください。


※本記事の内容は執筆時点の情報をもとに整理しています。最新の募集要項や研究内容については、必ず公式サイトをご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。