
小論文で差がつく論理力と多角的視点の鍛え方|慶應SDM入試に向けた日々の練習法
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今回のテーマは「小論文で差がつく論理力と多角的視点の鍛え方|慶應SDM入試に向けた日々の練習法」です。
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、通称慶應SDMの1次選考に向けて小論文対策を始めたものの、何をどのように練習すればよいのか分からない方も多いのではないでしょうか。
小論文では、文章をきれいにまとめる力だけでなく、設問の意図を正確に読み取り、自分の主張を根拠とともに説明する論理力が必要です。また、一つの立場だけで問題を捉えず、異なる立場や将来への影響まで考える多角的な視点も欠かせません。
こうした力は、試験直前に文章の型を暗記するだけでは身につきません。日頃からニュースや身近な出来事を題材に、考えを整理し、短い文章へまとめる練習を続けることが大切です。
論理力とは主張と根拠を正しくつなぐ力
論理的な文章とは、難しい言葉や専門用語が多い文章ではありません。自分が何を主張しているのか、その主張を支える理由は何かが明確で、読み手が無理なく内容を理解できる文章です。
例えば、「企業は生成AIを積極的に導入すべきだ」と主張するのであれば、業務効率の向上、人手不足への対応、情報整理の迅速化など、具体的な根拠を示す必要があります。
一方で、「便利だから導入すべきだ」という説明だけでは、個人の感想にとどまります。導入によってどのような変化が起きるのか、その変化がなぜ必要なのかまで説明しましょう。
文章を書いた後は、各段落について「この内容は直前の主張を支えているか」と確認すると、論理の飛躍を見つけやすくなります。
小論文の基本構成を身につける
小論文は、主張、根拠、反対意見、再検討、結論という流れで整理すると、説得力を持たせやすくなります。
最初に、設問に対する自分の立場を明確にします。次に、その立場を取る理由や社会的な背景を説明します。
続いて、自分の主張に対して想定される反対意見や問題点にも触れます。反対意見を無視すると、一方的な文章に見えてしまう可能性があります。
その上で、懸念を解消する方法や条件を示し、最後に自分の結論を改めてまとめます。
ただし、この構成を毎回機械的に当てはめる必要はありません。設問に応じて順番や分量を調整しながら、自分の考えが最も伝わりやすい形に整えましょう。
多角的な視点は関係者を書き出して鍛える
多角的な視点を身につけるには、一つのテーマに関係する人や組織を書き出す練習が有効です。
例えば、大学教育への生成AI導入を考える場合、学生だけでなく、教員、大学職員、保護者、企業、サービス提供者など、さまざまな関係者がいます。
学生にとっては学習を効率化できる一方、教員には評価方法の見直しが必要になるかもしれません。企業はAIを使いこなせる人材を求める一方で、基礎的な思考力の低下を懸念する可能性もあります。
同じ制度や技術でも、立場によってメリットとデメリットは変わります。それぞれの関係者が何を求め、何を不安に感じるのかを整理することで、偏りの少ない答案を書けるようになります。
短期的な効果と長期的な影響を分けて考える
社会課題を考えるときは、すぐに現れる効果だけでなく、数年後に生じる影響も検討しましょう。
例えば、人手不足への対応として業務の自動化を進めれば、短期的には効率化やコスト削減につながります。
一方で、長期的には従業員が専門性を身につける機会が減ったり、特定のシステムに依存したりする可能性があります。
目の前のメリットだけで結論を出さず、「短期的にはどうか」「長期的には何が起きるか」と時間軸を分けて考えると、答案に深みが生まれます。
部分的な効果と社会全体への影響を考える
ある企業や個人にとって良い解決策が、社会全体にとっても良いとは限りません。
例えば、観光客を増やす施策は、宿泊施設や飲食店にとって利益になります。しかし、住民にとっては混雑、騒音、家賃上昇などの負担につながる可能性があります。
小論文では、特定の立場だけでなく、社会全体へどのような影響が広がるのかを考えることが重要です。
「誰にとっての利益なのか」「別の場所に負担を移していないか」という問いを持つことで、より多角的な分析ができます。
毎日できる賛成・反対の書き分け練習
多角的な視点を鍛えるために、一つのテーマについて賛成と反対の両方の立場から理由を書く練習をしてみましょう。
例えば、「大学の授業を全面的にオンライン化すべきか」というテーマを選びます。
賛成の立場では、場所を選ばず学べること、通学時間を減らせること、録画を活用できることなどが考えられます。
反対の立場では、学生同士の交流が減ること、実験や実習に向かないこと、通信環境による格差が生まれることなどが挙げられます。
自分が普段支持していない立場についても、できるだけ説得力のある理由を考えることがポイントです。異なる意見を理解する力が身につきます。
「確かに、しかし」で反論処理を練習する
反対意見を踏まえた文章を書く練習として、「確かに、しかし」という形で短文を作る方法があります。
例えば、「リモートワークは通勤負担を減らし、柔軟な働き方を可能にする。確かに、社員同士の交流が減るという問題はある。しかし、定期的な対面会議や雑談の場を設けることで、柔軟性を保ちながら交流不足を補える」とまとめます。
この練習では、反対意見を形式的に挙げるだけでなく、その懸念へどのように対応するかまで考えることが重要です。
一日一つのテーマについて100字から200字程度で作成すれば、小論文に必要な論理展開を無理なく練習できます。
一つのニュースを五つの質問で考える
日常的なトレーニングとして、気になったニュースに対し、五つの質問へ答える方法も有効です。
最初に、何が問題なのかを一文でまとめます。次に、なぜその問題が起きているのかを考えます。
その後、誰が関係しているのか、誰が利益を得て誰が負担を負うのかを整理します。そして、どのような解決策が考えられるか、実施した場合に新たな問題が起きないかを検討します。
この五つの質問を習慣にすると、ニュースを受け身で読むのではなく、自分で構造を考えられるようになります。
論理力とシステム思考は役割が異なる
論理力とシステム思考は、似ているようで役割が異なります。
論理力は、主張と根拠を正しくつなぎ、読み手に分かりやすく伝えるための文章の基礎です。
一方、システム思考は、問題に関係する複数の要素や相互作用を整理し、全体の構造を捉えるための考え方です。
課題分析が深くても、文章の論理が崩れていれば、考えは採点者に伝わりません。反対に、文章の形が整っていても、原因や影響の分析が浅ければ、内容に説得力が生まれません。
論理的に書く力と、課題を多角的・構造的に見る力を、両方鍛えることが大切です。
公式の過去問で練習の成果を確認する
慶應SDMの公式サイトでは、小論文試験の過去問題が案内されています。
日々のトレーニングで考え方の幅が広がってきたら、実際の過去問を使って答案を作成しましょう。
最初は時間を計らずに構成を考え、主張、根拠、反対意見、解決策を整理します。慣れてきたら、本番を想定した時間内で答案を書き上げます。
書き終えた後は、設問に答えているか、主張に根拠があるか、複数の立場を考慮できているか、結論まで一貫しているかを確認してください。
出願準備も同時に進める
小論文対策に取り組む一方で、出願書類や事前コンタクトの準備も進める必要があります。
慶應SDMでは、修士課程・後期博士課程ともに、出願前に教員との事前コンタクトを行います。
申込みフォームでは希望教員を1名選択しますが、送信内容は専任教員全員に共有されます。志望理由や研究テーマに一貫性を持たせましょう。
また、教員からの返信には時間がかかる場合があり、各期の出願締切日から2次選考の合格発表までは、事前コンタクト申込みフォームが閉鎖されます。
小論文、研究計画書、志望理由、事前コンタクトは別々の準備ではありません。社会課題をどのように捉え、何を明らかにしたいのかという共通の軸を持って進めましょう。
まとめ
小論文で差がつく論理力と多角的な視点は、日々の小さな練習によって鍛えることができます。
主張と根拠を正しくつなぎ、反対意見にも触れた上で自分の結論を示すことが、論理的な文章の基本です。
また、関係者、短期と長期、部分と全体という視点を切り替えることで、一方的ではない分析ができるようになります。
ニュースを使った賛否両論の整理や、「確かに、しかし」を使った短文作成を習慣にしましょう。
基礎的な論理力と、慶應SDMにつながる構造的・多角的な思考を組み合わせることで、初めて見るテーマにも対応できる答案へ近づきます。
注意事項:本記事は、慶應SDMの小論文に向けた一般的な論理力・思考力のトレーニング方法を含めて作成しています。小論文の出題形式、試験時間、過去問題の公開範囲、選考方法、事前コンタクト、事前審査、提出書類などは変更される場合があります。受験準備を進める際は、必ず慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の公式サイト、最新の入学試験要項および公式に公開されている小論文試験過去問題をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


