
KMDの実績書(Achievement Record)には何を書くべき?アピールになる「実績」の捉え方
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「KMDの実績書(Achievement Record)には何を書くべき?アピールになる『実績』の捉え方」です。
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科、通称KMDの出願準備を進める中で、「実績書に何を書けばいいのか分からない」「自分には人に見せられるほどの実績がない」と不安になる方は少なくありません。
実績と聞くと、受賞歴やコンテスト入賞、論文発表、起業経験など、分かりやすく華やかな成果を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、実績書で大切なのは、肩書きや成果の派手さだけではありません。これまでどのような活動に取り組み、その中で自分が何を考え、どのような役割を果たしてきたのかを、具体的な事実として伝えることが重要です。
今回は、KMDの実績書を考える際に意識したいポイントと、自分の経験の中からアピール材料を見つける方法について解説します。
実績書は「これまで何をしてきた人なのか」を伝える書類
実績書は、自分のこれまでの活動や成果を客観的に示すための書類です。
Statement of Purposeでは、なぜKMDを志望するのか、どのような問題意識を持っているのか、入学後に何をしたいのかといった考えを中心に説明します。一方、実績書では、それまでの活動や経験を通じて、どのような力を培ってきたのかを具体的に示していきます。
たとえばSoPで「私はユーザーの課題を発見し、新しいサービスを生み出したい」と書いているのであれば、実績書に過去のサービス改善や顧客調査、プロジェクト経験などが示されていると、その志望理由にも説得力が生まれます。
つまり、実績書は単独で考えるのではなく、SoPやCreative Challengeなど、ほかの出願書類とあわせて自分の人物像を伝えるものと考えると整理しやすくなります。
「実績=受賞歴」と考えない
実績書を作成する際に、最も避けたいのが「受賞歴がないから書くことがない」と考えてしまうことです。
もちろん、学会発表やコンテスト入賞、資格取得、表彰、作品制作などがあれば、重要な実績として整理できます。しかし、実績として考えられるものはそれだけではありません。
社会人であれば、担当したプロジェクト、新規事業への参加、業務改善、商品やサービスの開発、顧客対応、チームマネジメント、後輩育成なども候補になります。
学生の場合は、卒業研究、ゼミでの活動、インターンシップ、学生団体、サークル、ボランティア、個人制作なども振り返ってみましょう。
大切なのは、その経験の中で自分がどのように関わり、どのような価値を生み出したのかです。
「参加した」だけではなく自分の役割を書く
実績を書く際には、「○○プロジェクトに参加した」という説明だけで終わらせないことが重要です。
同じプロジェクトに参加していても、企画を考えた人、利用者への調査を担当した人、技術開発を担当した人、関係者との調整を担った人では、示せる力が異なります。
そのため、「何に参加したか」に加えて、「自分は何を担当したのか」を明確にしましょう。
たとえば、「新サービス開発プロジェクトに参加」だけではなく、「顧客インタビューの設計と実施を担当し、得られた意見をもとにサービス改善案を提案した」と書くことで、その人が具体的にどのような行動をしたのかが見えてきます。
KMDでは多様な専門性を持つ人との協働が重要になるため、チームの中で自分がどのような役割を果たしたのかという視点も意識してみてください。
可能であれば成果を数字や事実で示す
実績をより具体的に伝えるためには、数字や客観的な事実を使う方法も有効です。
たとえば「売上向上に貢献した」という表現だけでは、どの程度の成果だったのかが分かりません。「施策実施後、申込数が前年同期比で増加した」「5人のチームをまとめてプロジェクトを完了した」など、事実として示せる内容があれば説得力が高まります。
ただし、数字を無理につくる必要はありません。また、会社の機密情報や顧客情報など、外部へ公開できない内容を書かないよう注意が必要です。
数字を出せない場合でも、「新しい業務フローを提案して社内運用に採用された」「自分が制作した成果物が実際のイベントで使用された」など、客観的に確認できる変化を示すことができます。
実績の「大きさ」よりKMDとのつながりを考える
実績書では、過去の経験をすべて詰め込めばよいわけではありません。自分がKMDで何をしたいのかを考えたうえで、特に関連性の高い経験を選ぶことも大切です。
たとえば、教育に関する研究をしたい人であれば、教育サービスの企画経験や学習支援のボランティア経験などは、研究テーマとの接点を示しやすいでしょう。
一方で、自分の研究テーマと直接関係していない経験でも、チームをまとめた経験や新しい取り組みを形にした経験など、KMDでのプロジェクト活動につながる強みとして示せるものがあります。
「この実績は有名だから書く」という考え方よりも、「この経験を通じて、自分のどのような強みが伝わるのか」という視点から選びましょう。
失敗した経験も整理の仕方次第で意味がある
実績書という名前から、成功したことだけを書かなければならないと思う方もいるかもしれません。
しかし、実際のプロジェクトではすべてが成功するわけではありません。新しい企画がうまくいかなかった経験や、途中で方針を変更した経験から得られる学びもあります。
重要なのは、失敗したこと自体をアピールするのではなく、そこで何を考え、どのように改善したのかです。
たとえば、「最初の施策では利用者が集まらなかったため、ヒアリングを行って企画内容を修正した」といった経験であれば、課題を受け止め、柔軟に改善した姿勢を伝えることができます。
KMDでは試行錯誤しながら新しい価値を生み出していくことが重要になるため、こうした経験も自分を理解してもらう材料になり得ます。
実績が少ないと感じたら「経験の棚卸し」をする
「自分には実績がない」と感じる方は、まずこれまでの経験を時系列で書き出してみましょう。
大学の授業や卒業研究、アルバイト、仕事、趣味、個人活動、資格取得、イベントへの参加など、最初は評価を気にせず並べてみます。
そのうえで、「自分から提案したこと」「最後までやり遂げたこと」「人から頼られたこと」「問題を改善したこと」「新しいことを学んだ経験」に印をつけてみてください。
本人にとっては日常的な仕事でも、他の人から見ると十分に特徴的な経験であることがあります。特に社会人の場合、自分にとって当たり前になっている業務経験の中に、研究テーマやKMDでの学びにつながる材料が隠れていることは珍しくありません。
SoPと実績書の内容を一致させる
実績書が完成したら、Statement of Purposeと並べて確認することをおすすめします。
SoPで強調している問題意識と、実績書で示している経験がまったくつながっていないと、出願書類全体の印象がばらばらになる可能性があります。
反対に、「この経験をしてきたから、この問題に関心を持った」「これまでこのような力を培ったから、KMDでは次の挑戦をしたい」という流れが見えれば、書類全体に一貫性が生まれます。
すべての実績を研究テーマへ無理につなげる必要はありませんが、読み手が「これまでの経験がKMDへの進学につながっている」と理解できる状態を目指しましょう。
まとめ
KMDの実績書を作成する際は、「華やかな受賞歴がなければ書けない」と考える必要はありません。
仕事で担当したプロジェクト、学生時代の研究、チームで取り組んだ活動、業務改善、自主的な学習など、これまで積み重ねてきた経験の中から、自分の役割や成果を具体的に整理していくことが大切です。
そして、何をしたのかだけではなく、その中で自分がどのように考え、どのような行動を取り、何を生み出したのかまで振り返ってみましょう。
実績書は、自分を必要以上に大きく見せるための書類ではありません。これまで何をしてきた人なのかを、具体的な事実から伝えるための書類です。SoPやCreative Challengeとのつながりも意識しながら、自分らしい経験を丁寧に整理していくことが重要です。
※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。KMDのAchievement Recordを含む出願書類の名称、様式、記載項目、提出方法、評価の観点などは年度や入試期によって変更される場合があります。出願の際は、必ず慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイトおよび最新の募集要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。

