
慶應SDM修士2年間のロードマップ|テーマ発表会から修士論文提出までの流れ
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。
今回のテーマは「慶應SDM修士2年間のロードマップ|テーマ発表会から修士論文提出までの流れ」です。
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、通称慶應SDMへの進学を考える際は、入試対策だけでなく、入学後の2年間をどのように過ごすのかも理解しておくことが大切です。
修士課程では、授業を受けて単位を取得するだけではありません。指導教員や研究室のメンバーと議論を重ねながら、自分の研究テーマを具体化し、調査や分析を進め、最終的に修士論文としてまとめる必要があります。
慶應SDMの公式サイトには、修士学位取得までの流れに関する情報として、テーマ発表会、中間発表会、修士論文の提出や審査などが案内されています。
この記事では、修士課程の一般的な進み方も踏まえながら、慶應SDMで研究を進める2年間の流れと、各段階で意識したいポイントを解説します。
入学直後は研究テーマを広く捉え直す
入学直後は、出願時に提出した研究計画をそのまま実行するのではなく、授業や教員との対話を通じて、テーマを改めて検討する時期となります。
入試の段階では、自分の職務経験や大学での学びをもとに研究テーマを考えていても、先行研究や研究方法について十分に理解できていないことがあります。
慶應SDMでシステム思考やデザイン思考を学び、多様な専門性を持つ学生と議論することで、当初は見えていなかった関係者や課題構造に気づくこともあるでしょう。
この時期は、研究テーマを早く確定させようと焦るよりも、問題の背景、社会的な意義、研究対象、必要な方法を丁寧に整理することが重要です。
修士1年目は研究の基礎を固める
修士1年目には、授業やプロジェクトに取り組みながら、研究に必要な基礎知識を身につけます。
自分のテーマに関係する論文や書籍を読み、これまで何が明らかにされ、何が未解決なのかを確認します。先行研究を調べることで、自分の関心と研究として扱うべき問いの違いが見えてきます。
例えば、「地域交通を良くしたい」という関心だけでは研究テーマとして広すぎます。対象地域、利用者、制度、運営主体などを整理し、「誰のどのような課題を、どの視点から明らかにするのか」まで絞り込む必要があります。
研究テーマが広いままだと、調査対象や分析方法も決められません。指導教員との面談や研究室での発表を活用し、少しずつ研究の範囲を明確にしていきましょう。
テーマ発表会では研究の方向性を示す
テーマ発表会は、研究の背景、目的、問い、方法などを整理し、今後どのような研究を進めるのかを説明する重要な機会です。
この段階では、研究結果が出ている必要はありません。ただし、「何となく興味がある」という状態ではなく、研究として何を明らかにしたいのかを示す必要があります。
発表では、研究対象となる社会課題、関係する人や組織、既存の研究や取り組み、現在考えている研究方法を分かりやすく説明します。
教員や学生から質問を受けることで、研究の範囲が広すぎる、目的と方法が対応していない、社会的意義が分かりにくいといった課題が見つかることがあります。
指摘を否定と受け取るのではなく、研究計画を改善する材料として活用しましょう。
テーマ発表後は調査と検証を進める
研究の方向性が固まったら、具体的な調査や分析へ進みます。
研究テーマによって、インタビュー、アンケート、フィールドワーク、事例分析、数値データの分析、シミュレーション、プロトタイプの作成など、使用する方法は異なります。
調査を始める前には、対象者の選び方、質問項目、データの管理方法、分析手順などを整理しておく必要があります。
人を対象とする調査では、倫理面への配慮や必要な手続きも確認しなければなりません。自分の判断だけで進めず、指導教員や大学からの案内に従いましょう。
調査は予定通り進まないこともあります。協力者が集まらない、必要なデータを取得できないといった事態も想定し、代替方法を考えておくことが大切です。
中間発表会は研究を立て直す機会
中間発表会では、それまでに進めた文献調査、データ収集、分析、試作などの状況を報告します。
単に「ここまで進みました」と説明するのではなく、当初の研究目的に対して何が分かり、何がまだ分かっていないのかを示す必要があります。
調査結果が予想と異なることや、最初に立てた仮説が支持されないこともあります。しかし、期待した結果が出なかったからといって、研究が失敗したとは限りません。
なぜその結果になったのかを分析し、研究方法や問いを見直すことで、より重要な発見につながる場合があります。
中間発表で受けた意見をもとに、修士論文の提出までに何を追加で調べ、どこを修正するのかを具体的な計画へ落とし込みましょう。
修士2年目は研究を収束させる
修士2年目になると、研究テーマを広げることよりも、限られた期間の中で結論を導き出すことが重要になります。
興味深い課題が次々と見つかっても、すべてを一つの修士論文で扱うことはできません。研究目的に直接関係しない内容は、今後の課題として整理する判断も必要です。
データの追加収集、分析、考察、論文執筆を同時に進めると、作業量が急激に増えます。提出直前にまとめて書こうとせず、研究背景や先行研究、研究方法など、書ける部分から早めに文章化しておきましょう。
修士論文は一貫した論理でまとめる
修士論文では、研究背景、研究目的、先行研究、研究方法、結果、考察、結論が一つの流れとしてつながっていることが重要です。
背景で示した課題と研究目的がずれていないか、研究方法によって目的へ答えられているか、結果から導けない結論を書いていないかを確認しましょう。
また、研究成果の良い面だけを書くのではなく、調査対象や方法の限界、残された課題も明確にします。
論文は一度書いて完成するものではありません。指導教員からの指摘を受け、構成や表現を何度も修正することになります。余裕を持って初稿を作成し、推敲の時間を確保してください。
最終審査では研究を自分の言葉で説明する
修士論文を提出した後は、研究成果について口頭で発表し、教員からの質問へ答える審査が行われる場合があります。
発表では、長い論文の内容をすべて説明するのではなく、問題意識、研究目的、方法、主な結果、研究の意義を簡潔にまとめます。
質問に対して、論文に書いた文章を暗記して答えるのではなく、なぜその方法を選び、どのように結論へ至ったのかを自分の言葉で説明できるようにしましょう。
研究の限界を指摘された場合も、無理に否定せず、限界を認識した上で今後どのように発展させられるかを答えることが大切です。
研究テーマが変わることを恐れない
入学前に考えた研究テーマが、2年間を通じて変化することは珍しくありません。
授業、文献調査、教員からの助言、現場での調査を通じて、当初の問いが広すぎたことや、本当に重要な課題が別の場所にあることへ気づく場合があります。
大切なのは、最初の計画を無理に守ることではなく、なぜ変更するのかを論理的に説明できることです。
ただし、方向転換を繰り返すだけでは研究が進みません。一定の時期からはテーマを絞り、論文として完成させる判断も必要です。
社会人学生は研究時間を先に確保する
仕事を続けながら修士課程へ進む場合は、授業のない日に研究を進めようと考えるだけでは、時間を確保できないことがあります。
平日の朝や夜、休日の一定時間など、研究に使う時間をあらかじめ予定へ組み込みましょう。
繁忙期や出張が重なる時期も把握し、テーマ発表会、中間発表会、論文提出の前に仕事を調整できるよう準備することが大切です。
一人で抱え込まず、進捗が遅れているときほど早めに指導教員へ相談しましょう。
入試時の問題意識を記録しておく
研究が思うように進まないと、「なぜこのテーマを選んだのか」が分からなくなることがあります。
出願時の研究計画書、志望理由書、事前コンタクトで伝えた内容は、自分の原点を振り返る資料になります。
最初に感じていた課題意識と、入学後に得た知識や発見を比較することで、自分の研究がどのように深まったかを確認できます。
入試のためだけの書類として終わらせず、修士課程を通じて見直せるよう、控えを保管しておきましょう。
まとめ
慶應SDMの修士課程では、入学後に研究テーマを見直し、テーマ発表会、中間発表会、修士論文の提出や審査といった段階を経ながら、研究を完成へ近づけていきます。
修士1年目は、授業や文献調査を通じて研究の基礎を固め、研究の問いと方法を具体化する時期です。
修士2年目は、調査や分析を進めながら研究を収束させ、論文として一貫した形にまとめます。
研究テーマは入学時の計画から変化することもあります。教員や学生との対話を通じて改善しながら、限られた期間で検証可能な問いへ絞り込むことが重要です。
入試対策の段階から修士2年間の流れをイメージし、自分がどのような研究生活を送りたいのかを考えておきましょう。
注意事項:本記事は、慶應SDMの公式サイトに掲載されている修士学位取得に関する案内と、一般的な大学院修士課程の研究の進め方をもとに作成しています。テーマ発表会、中間発表会、修士論文提出、審査、学位申請などの実施時期、提出物、参加条件、手続き方法は、入学時期や年度によって変更される場合があります。入学後の研究計画を立てる際は、必ず慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の公式サイト、最新の学事日程、学位取得に関する案内および指導教員からの指示をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


