慶應SDMの西村秀和教授とは ― SDM設立を支えたMBSEの専門家に聞く、システム安全のデザイン

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今回のテーマは「慶應SDMの西村秀和教授とは ― SDM設立を支えたMBSEの専門家に聞く、システム安全のデザイン」です。

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、いわゆる慶應SDMには、システムズエンジニアリングを軸に幅広い研究を行う教員が所属しています。西村秀和教授は、2007年4月にSDM開設準備のため現職に就いた経歴を持ち、研究科の立ち上げに関わってきた教員の一人です。今回は、西村教授の専門であるMBSEやシステム安全を中心に、どのような受験生と研究分野の接点があるのか、研究計画や事前コンタクトで意識したいポイントを紹介します。


SDMの開設準備から関わってきた西村秀和教授

西村秀和教授は、SDMの開設準備が進められていた2007年4月に現職に就き、研究科の歩みを長く見てきた教員です。専門は、モデルベースシステムズエンジニアリングであるMBSE、システム安全、制御システム、ユニバーサルデザイン、環境共生システムデザインなど、多岐にわたります。

工学博士であり、一般社団法人日本機械学会のフェローも務めています。著書や翻訳書には『システムズモデリング言語SysML』や『MATLABによる制御理論の基礎/制御系設計』などがあり、システム工学や制御の分野で長く研究と教育に携わってきたことが分かります。

SDMという研究科は、社会課題や新規事業など幅広いテーマを扱っていますが、その基盤の一つにシステムズエンジニアリングがあります。西村教授の研究内容を知ることは、SDMがどのような考え方を土台としているのかを理解するうえでも参考になるでしょう。

MBSEで複雑なシステムを整理する

西村教授の研究を理解するうえで重要なキーワードがMBSEです。MBSEは、複雑なシステムについて、文章だけではなくモデルや図を用いて全体像や要素間の関係を整理しながら、開発を進める考え方です。

大規模なシステムでは、多くの部署や企業、技術分野が関わります。関係者が増えるほど、同じ言葉を使っていても認識がずれたり、ある部分を変更したことで別の部分に影響が出たりすることがあります。MBSEでは、システムの目的や機能、構成要素、それぞれの関係をモデルとして表現することで、全体を確認しながら議論しやすくします。

西村教授は、こうした方法をシステム安全や制御システムなどに応用しています。SysMLに関する翻訳にも携わっていることから、システムを共通の形式で表現し、複雑な関係を整理する方法に深く関わってきた研究者といえます。

安全性や信頼性を実務経験から研究テーマにする

西村教授の研究は、製造業、重工業、プラント、インフラなど、高い安全性や信頼性が求められる分野で働いてきた社会人と接点を見つけやすい領域です。製品開発、品質管理、制御システムなどに携わってきた方であれば、日々の業務で感じてきた課題を研究テーマへ発展させられる可能性があります。

例えば、一つ一つの部品には問題がなくても、システム全体として組み合わせたときに不具合が生じることがあります。また、仕様変更が別の機能へ影響したり、部署間の情報共有不足から安全上の問題が生じたりすることも考えられます。こうした経験は、単なる業務上のトラブルとして終わらせず、システム全体の関係性という視点から捉え直すことで研究の問いにつながります。

実務では経験則で対応してきたことを、MBSEやシステム安全の考え方を通じて整理し直したいという問題意識は、社会人が大学院で学ぶ理由にもつながります。自分の経験を一般化し、他の分野にも応用できる知見として考えたい方にとって、相性を検討しやすい研究領域です。

ユニバーサルデザインや環境分野にも広がる

西村教授の研究は、産業システムの安全や制御だけに限られていません。ユニバーサルデザインや環境共生システムデザインといった領域にも取り組んでいます。

ユニバーサルデザインでは、特定の利用者だけではなく、さまざまな人が使いやすい製品やサービスを考える必要があります。そこでは機能の良し悪しだけではなく、利用する人、利用環境、周辺の仕組みまで含めて考える視点が必要です。また、環境との共生を考える場合も、一つの製品だけでなく、生産、利用、廃棄などを含めたより広い範囲で考えることが求められます。

そのため、機械や制御を専門としてきたエンジニアだけでなく、人にとって使いやすい製品やサービス、環境負荷を抑えた仕組みに関心がある方も、西村教授の研究内容を確認してみるとよいでしょう。

事前コンタクトでは具体的なシステム上の課題を伝える

西村教授への事前コンタクトを検討する際には、これまで関わってきた開発や業務の中で、安全性、信頼性、情報共有、システム全体の整合性などにどのような課題を感じたのかを整理しておくことが重要です。

単にMBSEを学びたいと伝えるだけではなく、なぜ必要だと感じたのかを具体的な経験と結びつけて説明すると、自分の研究意図が伝わりやすくなります。例えば、複数部署で仕様の認識が一致しなかった経験や、変更の影響範囲を十分に把握できなかった経験など、自分が現場で直面した課題を振り返ってみましょう。

また、西村教授はSDMの開設準備から研究科に関わってきた教員です。そのため、自分が研究したいテーマだけでなく、なぜSDMでシステムズエンジニアリングを学びたいのかまで整理しておくと、志望理由にもつながります。研究計画、事前コンタクト、面接を別々に考えるのではなく、自分の実務経験から問題意識を見つけ、その問題をSDMでどう深めたいのかを一貫して説明できるように準備することが大切です。

まとめ

西村秀和教授は、SDMの開設準備から研究科に関わり、MBSE、システム安全、制御システム、ユニバーサルデザイン、環境共生システムデザインなどを研究してきた教員です。特に、複雑なシステムをモデルによって整理し、安全性や一貫性を高めていくMBSEは、西村教授の研究を理解するうえで重要なテーマです。

製造業、インフラ、プラントなどで開発や品質管理に携わってきた方は、自分が現場で経験した課題を振り返り、システム全体の問題として捉え直してみるとよいでしょう。また、人にとって使いやすい製品や環境との共生に関心がある方にも研究との接点があります。事前コンタクトでは、手法への関心だけでなく、自分が解決したい具体的な問題と結びつけて伝えることが、研究計画を深める第一歩になります。


※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員情報などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および対象研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。