慶應SDMの当麻哲哉教授とは ― グローバル企業のPM経験を、コミュニティのためのデザインに活かす

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今回のテーマは「慶應SDMの当麻哲哉教授とは ― グローバル企業のPM経験を、コミュニティのためのデザインに活かす」です。

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、いわゆる慶應SDMには、企業で培った実務経験を社会課題の研究へと広げている教員が多く所属しています。当麻哲哉教授もその一人です。グローバル企業でのプロジェクトマネジメント経験を背景に、医療、教育、地域などのコミュニティにおけるコミュニケーションや合意形成を研究しています。今回は、当麻教授の経歴や研究領域を整理しながら、社会人受験生が研究計画や事前コンタクトにどうつなげられるのかを見ていきます。


米国3M社でプロジェクトを経験してきた当麻哲哉教授

当麻哲哉教授は、米国3M社でAdvanced Product Development Specialistを務めた経歴を持つ実務家研究者です。グローバル企業の開発技術者として海外で数多くのプロジェクトマネジメントを経験し、製品の市場導入や売上への貢献において複数の受賞歴を持っています。

企業のプロジェクトでは、優れた技術や製品を生み出すだけでは十分ではありません。開発、営業、製造、経営など異なる立場の関係者が協力し、限られた時間や資源の中で一つの目標に向かう必要があります。さらに海外を含むプロジェクトでは、文化や価値観、仕事の進め方の違いも加わります。当麻教授の研究には、こうした実務の中で培われた経験が背景にあります。

そのため、研究内容を理解する際には、単にプロジェクト管理の手法を扱う教員として見るのではなく、人や組織の関係をどのように整え、協働を生み出すかを考える研究者として捉えると分かりやすいでしょう。

医療・教育・地域のコミュニティを研究対象とする

当麻教授の専門分野は、コミュニティのためのコミュニケーションデザインと、プログラム&プロジェクトマネジメントです。特に、医療、教育、地域といった領域を対象として、人と人、組織と組織がどのように関われば課題解決につながるのかを研究しています。

医療現場であれば、医師、看護師、患者、家族、病院の運営側など、さまざまな立場の人が関わります。教育の現場でも、教員、子ども、保護者、学校組織、地域など、それぞれ異なる考えや目的を持つ人がいます。地域づくりでは、住民、行政、企業、地域団体などが関係し、一つの方針にまとめることが難しい場面も少なくありません。

こうした課題では、正しい答えを一つ提示するだけでは前に進まないことがあります。関係者の考えを整理し、共通の目的を見つけ、協力できる状態をつくる必要があります。当麻教授は、企業で培ってきたプロジェクトマネジメントやコミュニケーションの考え方を、こうした社会的な場面へ応用しています。

企業で培ったPM経験を社会課題へ広げる

当麻教授の研究は、企業でプロジェクトマネジメントやプログラムマネジメントに携わってきた社会人と接点を見つけやすい分野です。特に、これまで仕事で身につけてきたPMの経験を、企業活動だけでなく医療、教育、地域などの社会課題に生かしたいと考えている方は、自分のキャリアを研究テーマへ発展させられる可能性があります。

例えば、複数部署をまたぐプロジェクトで意見がまとまらなかった経験や、関係者の目的が違うために進行が難しくなった経験なども、研究の出発点になります。単にプロジェクトがうまくいかなかったという振り返りで終わらせず、なぜ合意形成が難しかったのか、どのようなコミュニケーションが必要だったのかを考えることで、研究の問いに変えていくことができます。

また、医療機関、学校、自治体などで働いてきた方も、必ずしもPMという肩書きを持っている必要はありません。日常業務の中で、多くの関係者との調整や協力に難しさを感じてきた経験があれば、当麻教授の研究テーマとの接点を考えることができます。

現場に合ったマネジメントのあり方を考える

プロジェクトマネジメントにはさまざまな方法がありますが、それをそのまま医療や教育、地域の現場へ持ち込めばうまくいくとは限りません。企業と学校では組織の目的が異なり、企業と地域コミュニティでは意思決定の仕方も違います。

当麻教授の研究では、対象となるコミュニティの文化や特性を踏まえながら、マネジメントの方法を現場に合わせて考える視点が重要になります。自分がこれまで働いてきた業界にも、その業界ならではの慣習や制約があるはずです。それらを研究の前提として整理することで、より実務に根ざしたテーマを考えやすくなります。

多国籍チームや海外案件に関わった経験がある方であれば、文化的背景の違いによるコミュニケーションの難しさも研究材料になります。同じ言葉を使っていても、仕事に対する考え方や意思決定の仕方が異なれば、認識のずれが起きることがあります。こうした経験を具体的に振り返ることで、自分ならではの研究課題を見つけられるでしょう。

事前コンタクトでは実体験から問題意識を整理する

当麻教授への事前コンタクトを検討する際は、これまで携わってきたプロジェクトの中から、特にコミュニケーションや合意形成に苦労した経験を振り返っておくとよいでしょう。その際、単に大変だった出来事を紹介するだけではなく、何が問題だったのか、自分はなぜそれを研究したいと考えるようになったのかまで整理することが大切です。

例えば、複数部署の利害が対立してプロジェクトが進まなかったのであれば、どの立場の間で認識の違いが生じていたのかを整理します。地域活動で住民と行政の意見が合わなかった経験があるなら、どのような情報共有や対話が不足していたのかを考えてみます。このように実体験を研究の言葉へ置き換えることで、研究計画の方向性も具体的になります。

事前コンタクトでは、自分の職歴を詳しく説明すること以上に、その経験からどのような課題意識を持ち、当麻教授の研究とどこでつながると考えているのかを伝えることが重要です。この整理は、志望理由や研究計画、面接で自分の考えを説明する際にも役立ちます。

まとめ

当麻哲哉教授は、米国3M社での豊富なプロジェクト経験を背景に、医療、教育、地域などのコミュニティを対象としたコミュニケーションデザインと、プログラム&プロジェクトマネジメントを研究しています。企業で培った方法をそのまま社会へ持ち込むのではなく、対象となる現場の文化や特徴に合わせて考えることが研究の重要なポイントです。

企業でPMを経験してきた方だけでなく、医療機関、教育機関、自治体などで、多様な関係者との調整や合意形成に課題を感じてきた方にも研究との接点があります。これまでの仕事で経験した具体的な出来事を振り返り、なぜその問題が生じたのかを考えてみることが、研究テーマを見つける第一歩です。事前コンタクトや研究計画では、自分の経験と当麻教授の研究をどのようにつなげたいのかを、具体的な言葉で整理しておきましょう。


※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員情報などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および対象研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。