
慶應SDMの矢向高弘教授とは ― 符号理論からHCI、DXまで。情報工学の知見で社会システムをつなぐ
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今回のテーマは「慶應SDMの矢向高弘教授とは ― 符号理論からHCI、DXまで。情報工学の知見で社会システムをつなぐ」です。
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、いわゆる慶應SDMには、情報工学を基盤としながら、技術と人、組織、社会の関係まで幅広く研究する教員が所属しています。矢向高弘教授もその一人です。通信やネットワークの基礎技術から、ヒューマンコンピュータインタラクション、機械学習、DXまで幅広いテーマを扱っています。今回は、矢向教授の経歴や研究分野を整理し、どのような受験生が研究テーマとの接点を見つけやすいのか、研究計画や事前コンタクトで意識したい点も紹介します。
情報工学を幅広く研究してきた矢向高弘教授

矢向高弘教授は、日本鋼管株式会社、慶應義塾大学理工学部准教授などを経て現職に就いています。また、東京大学の非常勤講師、ウィーン工科大学の客員教授、信州大学の特任教授なども務めてきました。著書には『コンピュータの数理』などがあります。
専門分野は、符号理論、コンピュータネットワーク、ヒューマンコンピュータインタラクション、信号処理、機械学習、デジタルトランスフォーメーションなどです。情報工学の中でも、通信を支える基礎理論から、人とコンピュータの関係、さらに企業や社会におけるデジタル技術の活用まで、研究対象が広いことが特徴です。
特定の技術だけを深く追究するというより、情報をどのように正確に伝え、その技術を人がどのように利用し、社会の中でどう生かすのかまで考える研究と捉えると、矢向教授の研究領域を理解しやすいでしょう。
通信の基礎技術からHCIまでをつなげて考える

符号理論やコンピュータネットワークは、情報を正確かつ効率的に伝えるための基盤となる分野です。一方、ヒューマンコンピュータインタラクション、いわゆるHCIでは、人がコンピュータやシステムをどのように使い、どのような場面で使いにくさを感じるのかといった問題を扱います。
この二つは一見すると離れたテーマに見えますが、実際のシステムではどちらも欠かせません。通信技術が優れていても、利用する人にとって分かりにくければ十分に活用されないことがあります。反対に、使いやすい仕組みであっても、通信の信頼性や処理性能に問題があればサービスとして成立しにくくなります。
矢向教授は、こうした技術的な基盤と、人が実際に利用する場面の両方を研究対象としています。信号処理や機械学習も含め、複数の技術を組み合わせながら、情報システムを人や社会の中でどう機能させるかを考えている点が特徴です。
DXを技術導入だけで終わらせない視点
矢向教授の専門分野にはDXも含まれています。企業でDXに携わった経験がある方の中には、新しいシステムを導入したものの現場で十分に使われなかった、技術部門と業務部門で認識が合わなかったといった経験を持つ方もいるのではないでしょうか。
DXでは、新しい技術を導入すること自体が目的ではありません。その技術を人や組織がどう使い、業務やサービスをどのように変えていくのかまで考える必要があります。その意味で、通信や情報技術だけでなく、HCIのように人とシステムの関係を考える視点は重要です。
通信業界やIT業界でネットワークやシステム開発に携わってきたエンジニアだけでなく、企業のDX推進部門、新規事業部門、業務改革などに携わってきた方も、自分の実務経験から研究テーマを考えることができます。技術的には実現できるのに組織で活用されないという問題も、研究の出発点になり得ます。
機械学習や国際的な経験も研究テーマにつながる
矢向教授は機械学習も専門分野としており、AI技術を活用したサービスや仕組みに関心を持つ受験生にも接点があります。ただし、研究計画では単にAIを使いたいというだけではなく、何を分析したいのか、誰がその結果を利用するのか、その技術によってどのような問題を解決したいのかまで考えることが大切です。
また、ウィーン工科大学で客員教授を務めるなど、海外の大学にも関わってきた経歴があります。そのため、海外拠点を含むシステム開発やグローバルなDXに携わってきた方は、自分の経験を研究テーマへつなげる余地があります。
例えば、国や地域によって情報システムの使われ方が異なった経験、海外拠点とのシステム統合に苦労した経験などを振り返ることで、単なる技術課題ではなく、人や組織、文化まで含めた問題として考えることができます。国内の一つの現場だけでなく、より広い視点から情報技術の役割を考えたい方にも参考になるでしょう。
事前コンタクトでは技術と利用者の両方を整理する

矢向教授への事前コンタクトを検討する場合、自分が扱いたい技術だけでなく、その技術を誰がどのように使うのかまで整理しておくことが重要です。ネットワークを研究したい、機械学習を使いたい、DXに興味があるという説明だけでは、研究したい問題が十分に伝わらない可能性があります。
例えば、企業のDXに関心があるなら、どの業務でどのような問題が起きているのか、技術導入後に利用者がどこでつまずいているのかを具体化します。システム開発の経験がある場合は、技術部門と利用部門の間にどのような認識の違いがあったのかを振り返ってみるとよいでしょう。
通信や機械学習などの専門知識を持つ方も、その技術を社会でどう役立てたいのかまで考えることで、研究計画に厚みが出ます。自分の実務経験、技術上の課題、人や組織が抱える課題を一つにつなげて説明できるよう準備しておくと、志望理由や面接でも一貫した説明がしやすくなります。
まとめ
矢向高弘教授は、符号理論、コンピュータネットワーク、HCI、信号処理、機械学習、DXなど、情報工学を基盤とした幅広い研究に取り組んでいます。特徴的なのは、通信や情報処理の技術だけでなく、それを利用する人や組織まで含めて考えている点です。
通信・IT分野のエンジニアはもちろん、DX推進、新規事業、業務改革などで技術と現場の間をつなぐ役割を経験してきた方も、自分の課題意識との接点を探すことができます。研究計画や事前コンタクトでは、使いたい技術を挙げるだけでなく、その技術によって誰のどのような問題を解決したいのかを具体的にすることが大切です。技術と人の両面から問題を捉えることで、矢向教授の研究とのつながりも明確になっていくでしょう。
※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員情報などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および対象研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


