
慶應SDMの山形与志樹教授とは ― IPCC代表執筆者が描く、環境と健康が好循環する都市システムの未来
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今回のテーマは「慶應SDMの山形与志樹教授とは ― IPCC代表執筆者が描く、環境と健康が好循環する都市システムの未来」です。
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、いわゆる慶應SDMには、地球規模の社会課題と私たちの身近な生活を結びつけて研究する教員が所属しています。山形与志樹教授は、気候変動、都市、交通、人間行動、健康などを横断しながら、持続可能な未来社会について研究している教員です。今回は、山形教授の経歴や研究分野を整理し、都市開発、環境政策、サステナビリティなどに関心を持つ受験生が、研究計画や事前コンタクトにどうつなげられるのかを紹介します。
気候変動研究の国際的な舞台で活動してきた山形与志樹教授

山形与志樹教授は、国立環境研究所の主席研究員を経て現職に就いています。気候変動に関する政府間パネルであるIPCCの代表執筆者を務めた経歴を持ち、国際的な気候変動研究や政策議論に関わってきました。
また、国際応用システム研究所であるIIASAのほか、東京大学の都市計画分野、統計数理研究所のリスク解析戦略分野などでも客員教授を務めてきました。環境問題だけに限定せず、都市計画、統計、リスク分析など複数の分野を横断して研究してきたことが分かります。
著書には『Urban Systems Design: Creating Sustainable Smart Cities in the Internet of Things Era』や『Spatial Analysis Using Big Data』などがあり、スマートシティやビッグデータを用いた空間分析にも取り組んできました。地球環境という大きな問題を扱いながら、都市で実際に起きている現象をデータから捉える点が特徴です。
環境と健康が好循環する都市を考える

山形教授の研究では、環境と健康が互いに良い影響を与える未来社会を目指し、都市における建築、交通、人間行動などを総合的に捉えています。気候変動への対応を、単に二酸化炭素の排出量を減らす問題として考えるのではなく、人が暮らしやすく健康に過ごせる都市をどう実現するかという視点から考えている点が重要です。
都市では、建物の配置や交通手段、人々の移動の仕方が互いに影響し合っています。例えば、自動車に依存しにくい街のあり方を考えることは、環境負荷の軽減だけでなく、人が歩く機会を増やすことにもつながります。環境と健康を別々の課題として扱うのではなく、都市という一つのシステムの中で関係性を考えることが、山形教授の研究を理解するポイントです。
気候変動という地球規模の問題と、日々の移動や生活環境という身近な問題を行き来しながら考えるため、研究テーマを社会全体と個人の生活の両方から捉える視点が求められます。
ビッグデータから都市の変化を読み解く
山形教授は、都市や地域に関するビッグデータを用いた空間分析にも取り組んでいます。都市政策やまちづくりでは、何となく便利になりそう、環境に良さそうという感覚だけではなく、実際にどの地域でどのような変化が起きているのかを確認することが重要です。
建築物、交通、人の移動などに関するデータを組み合わせることで、都市の構造や人々の行動をより具体的に把握できます。その結果を政策判断やまちづくりに生かすことで、環境負荷の低減と生活の質の向上を同時に考えることが可能になります。
そのため、都市計画や建築の経験を持つ方だけでなく、データ分析、スマートシティ、IoTなどに関心がある方も研究との接点を見つけやすいでしょう。技術を導入すること自体を目的にするのではなく、データを使って都市の課題をどのように把握し、より良い意思決定へつなげるかという視点が重要になります。
都市開発や環境分野の実務経験を研究へつなげる
山形教授の研究は、自治体、デベロッパー、交通・インフラ企業などで都市開発に携わってきた方と親和性があります。また、環境政策、環境コンサルティング、サステナビリティに関する業務を経験してきた方も、自分の実務上の課題を研究テーマへ発展させることができます。
例えば、環境への配慮と事業性をどう両立するか、交通利便性と環境負荷をどう考えるか、地域ごとに異なる条件を踏まえて政策をどう判断するかといった問題は、実務でも直面しやすいテーマです。こうした経験を、目の前の業務上の問題だけでなく、都市全体の仕組みや気候変動との関係から捉え直すことで、研究の問いへと発展させることができます。
環境問題を規制への対応としてだけ捉えるのではなく、暮らしや健康、交通、経済活動を含めて都市のあり方を見直すきっかけとして考えることも重要です。自分の仕事が都市や社会のどの部分に影響しているのかを整理すると、研究計画の方向性が見えやすくなります。
事前コンタクトでは課題を扱うスケールを明確にする

山形教授への事前コンタクトを検討する際には、自分がどのような都市・環境問題に関心を持ち、どの範囲で研究したいのかを整理しておくとよいでしょう。環境問題を研究したいというだけではテーマが広すぎるため、具体的な対象を考えることが必要です。
例えば、地球規模の気候変動政策を研究したいのか、国や自治体の政策を扱いたいのか、特定の地域における交通や建築、人間行動を研究したいのかによって、研究の進め方は変わります。自分がこれまで働いてきた現場と、より大きな社会課題がどのようにつながっているのかを考えてみましょう。
また、IPCCのような国際的な議論では、多くの国や立場の異なる関係者が関わります。環境・都市問題についても、一つの立場だけで答えを出すことは難しい場合があります。研究計画や事前コンタクトでは、自分が解決したい問題だけでなく、誰が関わり、どのような利害や条件があるのかまで整理しておくと、研究テーマをより具体的に説明できます。
まとめ
山形与志樹教授は、国立環境研究所での研究やIPCC代表執筆者としての経験を背景に、気候変動、都市、交通、建築、人間行動、健康などを横断して研究している教員です。ビッグデータによる空間分析も活用しながら、環境と健康が好循環する都市や社会のあり方を考えています。
都市計画、建築、交通、環境政策、サステナビリティ、スマートシティなどに関わってきた方は、自分の実務経験を地球規模の課題と結びつけて見直してみるとよいでしょう。研究計画では、扱いたいテーマだけでなく、地球、国、地域のどの範囲に焦点を当てるのかを整理することが重要です。身近な都市の課題を広い社会的な文脈の中で捉え直すことが、山形教授の研究との接点を考える第一歩になります。
※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員情報などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および対象研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。

