【教員紹介】永山翔太准教授|メルカリR&Dを経て量子インターネットの最前線に立つ研究者

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今回のテーマは「【教員紹介】永山翔太准教授|メルカリR&Dを経て量子インターネットの最前線に立つ研究者」です。

KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)教員紹介シリーズの第16回では、量子インターネットを専門とする永山翔太准教授を紹介します。

量子コンピュータという言葉は聞いたことがあっても、量子インターネットについては詳しく知らないという受験生も多いのではないでしょうか。永山准教授は、量子情報技術をネットワークへ応用し、将来の情報インフラにつなげる研究に取り組んでいます。WIDE Projectでの研究活動、メルカリのR&D部門での経験、国家規模の研究プロジェクトへの参画など、大学と企業の双方で研究を進めてきた点も特徴です。


永山翔太准教授はどのような研究者なのか

永山翔太准教授の専門分野は量子インターネットで、特に量子エラー訂正符号、量子通信アーキテクチャ、通信プロトコルなどを研究しています。

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科サイバーインフォマティクス専攻に在学していた時期から、インターネット研究と量子情報処理を組み合わせた研究に取り組み、2017年に博士(政策・メディア)の学位を取得しました。

在学中には、日本のインターネット研究を長年支えてきたWIDE Projectの量子計算ワーキンググループでCo-chairを務めるなど、早い段階から量子技術とネットワークを結びつける活動に携わっています。

博士号取得後は、ハンガリーのエトヴェシュ・ロラーンド大学ニューラル情報処理グループで客員研究員として機械学習を研究しました。その後、株式会社メルカリのR&D部門でシニアリサーチャーとして勤務し、2022年には慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の特任准教授を兼務しました。2025年からKMDの准教授を務めています。


量子インターネットとはどのような技術なのか

量子インターネットとは、量子力学の性質を利用して情報をやり取りする次世代のネットワーク構想です。現在のインターネットとは異なる原理を利用することで、新しい通信や計算の仕組みを実現することが期待されています。

量子技術では、量子もつれなどの量子力学特有の現象が利用されます。また、量子鍵配送のように、従来とは異なる方法で安全性を高める通信技術も研究されています。さらに、将来的には複数の量子コンピュータをネットワークで接続し、離れた場所にある計算資源を連携させる分散量子計算への応用も考えられています。

ただし、量子状態は非常に繊細で、情報を正確に維持したまま送ることは簡単ではありません。通信途中で発生する誤りをどのように検出し、修正するのかという課題があります。

永山准教授が専門とする量子エラー訂正符号や通信プロトコルは、こうした問題に関係する重要な研究分野です。量子インターネットを実際のネットワークとして成立させるためには、量子技術そのものだけでなく、複数の機器がどのような手順で通信するのかまで考える必要があります。


メルカリR&Dでの経験と大学研究をつなぐ

永山准教授のキャリアで特徴的なのが、大学での研究と企業のR&D部門での研究の両方を経験していることです。

博士号取得後には海外の大学で機械学習を研究し、その後はメルカリのR&D部門でシニアリサーチャーとして勤務しました。基礎的な研究成果を追究する大学とは異なり、企業の研究開発では、技術が将来どのような価値につながるのかという視点も求められます。

量子インターネットのような分野は、現在すぐに一般利用されるサービスを作る研究とは異なり、将来の情報社会を支える基盤技術を長い時間をかけて研究していく側面があります。その一方で、技術が研究室の中だけにとどまらず、最終的に社会で利用されるためには、実際のシステムや利用環境を想定する必要があります。

企業研究と大学研究の双方を経験した永山准教授の経歴は、基礎研究と将来の社会利用をどのようにつなげるかという点でも参考になります。


量子インターネットタスクフォースと国家プロジェクト

永山准教授は、量子インターネットタスクフォースの創設者であり、代表を務めています。研究者や開発者が分野を越えて集まり、新しく量子インターネット研究へ参加する人々とも協力しながら、将来の情報社会を考える活動です。

また、科学技術振興機構のムーンショット型研究開発事業では、「スケーラブルで強靭な統合的量子通信システム」をテーマとするプロジェクトのプロジェクトマネージャーを務めています。

量子インターネットは、一人の研究者や一つの研究室だけで完成できる技術ではありません。量子物理、情報科学、ネットワーク、ハードウェアなど、異なる専門性を持った研究者が協力する必要があります。さらに、将来的に社会基盤として利用することを考えれば、多数の機器や拠点を接続しても安定して利用できる仕組みが必要です。

こうした大規模な研究プロジェクトに関わることからも、永山准教授の研究が個別の量子技術だけではなく、将来のネットワーク全体を視野に入れていることが分かります。


受験生は量子技術とネットワークの両方から準備する

永山准教授の研究に関心がある受験生は、「量子コンピュータに興味がある」という段階から一歩進み、自分が量子情報技術のどの部分を研究したいのかを整理することが重要です。

量子通信、量子エラー訂正、通信プロトコル、分散量子計算など、量子インターネットには複数の研究テーマがあります。また、従来のインターネットやコンピュータネットワークに関する基礎知識も、研究内容を理解する上で役立ちます。

出願前には、量子情報科学の基本的な考え方を学ぶとともに、永山准教授の論文やプロジェクトについて確認し、自分の関心との接点を整理しておくとよいでしょう。研究計画では、「量子技術が将来性のある分野だから」という理由だけでなく、現在どのような技術的課題があり、自分はその中の何を明らかにしたいのかを具体的に示す必要があります。

面接でも、量子技術そのものへの関心に加えて、それが将来どのような情報社会につながるのかを説明できると、研究の目的が伝わりやすくなります。


まとめ

永山翔太准教授は、WIDE Projectでの研究活動を出発点として、量子エラー訂正符号や量子通信プロトコルなど、量子インターネットを実現するための基盤技術を研究してきた研究者です。

海外大学での研究、メルカリR&Dでの企業研究、慶應義塾大学での教育・研究に加え、量子インターネットタスクフォースやJSTのムーンショット型研究開発事業にも携わっています。量子技術を個別の研究テーマとして扱うだけでなく、将来の情報インフラとして成立させることまで視野に入れている点が特徴です。

KMDへの進学を検討している方で、量子コンピュータ、量子通信、インターネット基盤などに関心がある場合は、まず自分が解決したい技術的な課題を具体化してみてください。量子情報科学とネットワークの基礎を学びながら研究テーマを深めていくことが、研究計画や志望理由、面接の準備にもつながります。


※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員の所属・役職・研究内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。