【教員紹介】南澤孝太教授|触覚(ハプティクス)で人間拡張の未来を切り拓く

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今回のテーマは「【教員紹介】南澤孝太教授|触覚(ハプティクス)で人間拡張の未来を切り拓く」です。

KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)への出願を考える際には、入試制度や出願書類だけでなく、どのような教員が在籍し、どのような研究が行われているのかを知ることも大切です。自分の研究テーマと教員の専門分野との接点が見えてくると、KMDで何を研究したいのかも具体的に考えやすくなります。

今回から始まるKMD教員紹介シリーズの第1回では、ハプティクス、VR、人間拡張などを専門とする南澤孝太教授を取り上げます。南澤教授の経歴や研究テーマ、主宰するEmbodied Media Project、社会実装への取り組みを見ながら、受験生がどのような視点で研究内容を調べればよいのか考えていきます。


南澤孝太教授はどのような研究者なのか

南澤孝太教授の専門分野は、ハプティクスと呼ばれる触覚技術をはじめ、VR、人間拡張、身体情報学、システム情報学などです。東京大学工学部計数工学科を卒業後、東京大学大学院情報理工学系研究科の博士課程を修了し、博士(情報理工学)の学位を取得しています。

KMDでは特任助教、特任講師、准教授を経て教授となり、研究科委員長という役割も担っています。KMDという研究環境の中で研究者として継続的にキャリアを積み重ねてきた点も、南澤教授の経歴を見る上で注目したい部分です。

研究の中心にあるのが、人間の「触覚」です。デジタル技術というと、映像や音声を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、人間が世界を認識するときには、見ることや聞くことだけでなく、触れることも重要な役割を持っています。モノに触れたときの感触、人と接触したときに感じる身体的な経験などを、記録したり、離れた場所に伝えたり、新しい形へと拡張したりすることが研究対象となっています。

つまり、触覚そのものを単独で研究するだけではなく、身体を通した人間の経験を、テクノロジーによってどのように変化させられるのかという問いが、研究の根底にあると考えると理解しやすいでしょう。


Embodied Media Projectで研究する身体的な経験

南澤教授が主宰するリアルプロジェクトが、Embodied Media、つまり身体性メディアに関するプロジェクトです。このプロジェクトでは、人間が身体を通して得る経験を、メディアテクノロジーによって伝送したり、拡張したり、新たに創造したりすることを目指しています。

ここで対象になるのは、単純に新しい機械を作ることだけではありません。見る、聞く、触れるといった感覚を通して、どのような楽しさや驚き、心地よさを生み出せるのかという、人間側の体験まで含めて研究の対象としている点が特徴です。

Embodied Media Projectからは、身体的な感覚体験を対象としたさまざまな研究が生まれています。記事案で紹介されている例では、低周波振動を利用して飲み物の味覚知覚を変化させるデザインコンセプトが、iF DESIGN STUDENT AWARDの特別賞を受賞しています。

この例からも、触覚研究が単なる装置開発にとどまるものではないことが分かります。振動という身体への刺激が、味の感じ方という別の感覚にどのような影響を与えるのかを考え、人間の経験そのものを研究対象としているのです。KMDで研究テーマを考える受験生にとっても、技術と人間の体験をどのようにつなげるかという視点は参考になるでしょう。


研究成果を社会につなげる取り組み

南澤教授の研究活動を理解する上でもうひとつ重要なのが、研究成果を社会の中で活用することへの意識です。研究室の中だけで研究を完結させるのではなく、企業や社会との連携を通して、研究成果がどのような価値につながるのかを考える活動にも取り組んでいます。

その代表的な例のひとつが「超人スポーツ」です。テクノロジーを利用することで人間の身体能力を拡張し、これまでにはなかったスポーツや身体体験を生み出そうとする取り組みです。南澤教授は超人スポーツ協会の活動にも関わり、身体性メディアに関する研究を社会へと広げてきました。

また、科学技術振興機構(JST)のムーンショット型研究開発事業においてプロジェクトマネージャーを務めるなど、大規模な研究活動にも携わっています。こうした活動を見ると、研究テーマを論文としてまとめるだけでなく、その研究によって社会や人間の生活にどのような変化を生み出せるのかまで考えていることが分かります。

KMDへの出願を考えている方も、「技術的に新しいから研究したい」というところで止まらず、その技術を誰がどのような場面で利用し、どのような経験や価値につながるのかまで考えてみると、研究テーマを深めやすくなります。


南澤教授の研究と自分の関心をどう結びつけるか

南澤教授の研究に関心がある場合、「VRに興味があります」「ハプティクスを研究したいです」と説明するだけでは、自分自身の研究テーマはまだ十分に見えてきません。重要なのは、なぜその技術に関心を持っているのか、その技術によってどのような課題を解決したいのかを考えることです。

たとえば、これまでの仕事や大学での学習、制作活動などの中で、人間の身体感覚やコミュニケーションに関する問題を感じた経験があるのであれば、その経験と南澤教授の研究との接点を整理してみることができます。自分が感じている課題を、触覚やVR、人間拡張といった技術によってどのように捉え直せるのかを考えることが、研究テーマを具体化する第一歩になります。

また、出願書類や面接では、研究によってどのような社会的な意味が生まれるのかを説明できることも大切です。誰のための研究なのか、研究成果によってどのような経験が変わるのかまで考えておけば、単なる技術への興味ではなく、自分なりの問題意識を示しやすくなります。


研究者を目指す受験生にとっても参考になる経歴

南澤教授の経歴は、研究内容だけではなく、将来研究者として活動したいと考えている受験生にとっても参考になります。KMDで特任助教、特任講師、准教授、教授と研究活動を重ねてきた歩みからは、大学院修了後にも研究を継続し、研究者としてキャリアを形成していくひとつの姿を見ることができます。

もちろん、大学院に進学するすべての人が研究者を目指すわけではありません。企業で研究開発に関わる方もいれば、自分の事業や専門分野に研究を生かしたい方もいます。それでも、教員がどのような経歴を歩み、どのように研究テーマを発展させてきたのかを調べることは、自分自身の大学院修了後の進路を考える材料になります。

教員紹介を見る際には、現在の研究内容だけでなく、その教員がこれまでどのような研究や活動を経験して現在の専門分野に至ったのかという流れまで確認すると、研究の背景をより深く理解できるでしょう。


まとめ

南澤孝太教授は、ハプティクス、VR、人間拡張、身体情報学などを専門とし、人間の身体的な経験をテクノロジーによって伝送・拡張・創造する研究に取り組んでいます。Embodied Media Projectでは、触覚をはじめとする身体感覚とメディア技術を組み合わせながら、新しい体験の可能性を探っています。

また、超人スポーツをはじめとする活動や大型研究プロジェクトへの参画からは、研究成果を社会へつなげようとする姿勢も読み取れます。南澤教授のもとで学ぶことに関心がある方は、ハプティクスやVRという技術そのものだけを見るのではなく、自分がどのような身体的経験や社会課題に関心を持っているのかまで整理してみてください。研究内容と自分自身の問題意識との接点を明確にすることが、出願書類や面接を準備する上でも重要になります。


※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員の所属・役職・研究内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。