
【教員紹介】吉田貴寿特任助教|生活空間まるごとを体験デザインの対象にする研究者
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今回のテーマは「【教員紹介】吉田貴寿特任助教|生活空間まるごとを体験デザインの対象にする研究者」です。
KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)教員紹介シリーズの第2回では、Embodied Media Projectで空間体験デザインの研究に取り組む吉田貴寿特任助教を紹介します。大学院への出願準備では、教員の専門分野だけでなく、その研究がどのような問題意識から生まれ、どのような技術や領域と結びついているのかまで確認することが大切です。
吉田特任助教の研究は、住宅やオフィスなどの日常的な空間そのものを研究対象としている点に特徴があります。建築、計測技術、インタラクションデザインなどを組み合わせながら、人が生活空間の中でどのような体験をするのかを考えています。今回は、その経歴や研究内容、国際的な研究発信などを見ながら、KMDを志望する受験生がどのような接点を考えられるのか整理していきます。
吉田貴寿特任助教はどのような研究者なのか
吉田貴寿特任助教の専門分野は、空間体験デザイン、身体情報学、ヒューマンコンピュータインタラクションです。2023年に東京大学大学院情報理工学系研究科の博士課程を修了し、博士(情報理工学)の学位を取得しています。
それ以前には、2019年に米国のMIT Media LabでProgram of Media Arts and Sciencesの修士課程を修了しています。国内だけでなく、国際的な研究環境で学んだ経験を持っていることも、吉田特任助教の経歴を見る上で重要なポイントです。
MIT Media Lab修了後には、日本科学未来館の事業部で、実際の展示空間における体験デザインの実務にも携わっています。研究室で技術を研究するだけではなく、人が実際に訪れ、見たり触れたりする展示空間での経験を持っているため、研究と実際の体験づくりの両方に関わってきたことが分かります。
こうした経歴を見ると、吉田特任助教の研究は、技術そのものを開発することだけを目的としているのではなく、その技術が実際の空間の中でどのように使われ、人の行動や体験にどのような変化をもたらすのかまで考えていることが見えてきます。
生活空間そのものを研究対象にする空間体験デザイン
現在、吉田特任助教は、南澤孝太教授が主宰するEmbodied Media Projectの一員として、知能化された生活空間における体験デザインに取り組んでいます。
一般的にデジタル技術について考える場合、スマートフォンやセンサー、ディスプレイなど、ひとつの機器に注目しがちです。しかし、吉田特任助教の研究では、住宅やオフィスなど、人が生活する空間そのものをひとつの研究対象として捉えます。空間にテクノロジーを組み込み、その中で人がどのように行動し、何を感じるのかまで含めて考えていく研究です。
具体的な研究例として挙げられるのが、建材や家具に光ファイバ網を埋め込み、生活空間の中で接触力を計測する技術です。床や家具などを利用して、人が日常生活の中でどのように動いているのかを計測し、その行動を解析することを目指しています。
この方法では、生活者が特別な機器を身につけたり、意識的に操作したりするのではなく、普段過ごしている空間そのものが情報を取得する仕組みを考えています。建築技術と光計測技術、さらに人とコンピュータの関係を扱う研究を組み合わせている点からも、ひとつの専門分野に限定されないKMDらしい研究の進め方を見ることができます。
国際学会で発信される研究成果
吉田特任助教は、国際的な研究コミュニティに向けた研究発信にも取り組んでいます。記事案では、コンピュータグラフィックスやインタラクティブ技術を扱う国際学会SIGGRAPH Asiaにおいて、フロアや深度センシングを利用し、物質間の相互作用を可視化する研究成果を発表したことが紹介されています。
さらに、2026年に開催されたSIGGRAPHのEmerging Technologies部門では、南澤孝太教授をはじめとするEmbodied Media Projectのチームの一員として、身体化された多感覚的な記憶を時空間的に記録・再生する没入型プラットフォームに関するデモンストレーションの発表にも名を連ねています。
こうした研究発信から分かるのは、KMDの研究が大学の中だけで完結するものではなく、海外の研究者や技術者が集まる国際的な場にもつながっているということです。将来的に国際学会で研究成果を発表したいと考えている受験生にとっても、教員がどのような学会で発信しているのかを確認しておくことは、研究環境を理解する手がかりになります。
若手研究者として積み重ねてきた実績
吉田特任助教は、研究活動の中でさまざまな実績を積み重ねています。日本バーチャルリアリティ学会論文賞をはじめ、孫正義育英財団のアラムナイ、総務省異能(ヴェーション)ジェネレーションアワード、IPA(情報処理推進機構)未踏アドバンスト事業への採択などが記事案では紹介されています。
こうした経歴を見ると、大学院で研究を行うことが、その後の研究活動や技術開発、外部プログラムへの参加などへどのようにつながっていくのかを考える材料にもなります。
特に研究者を目指している受験生の場合は、現在の教員の肩書きだけを見るのではなく、修士課程や博士課程で何を学び、その後どのような研究環境や事業に関わってきたのかまで確認すると、自分自身の将来像も考えやすくなります。教員紹介を読む際には、研究テーマと同時に、その研究者がどのような経験を重ねて現在の研究に至ったのかにも注目してみるとよいでしょう。
受験生は自分の経験との接点をどう考えるか
吉田特任助教の研究に関心を持った場合、まず考えてみたいのは、自分がこれまで関わってきた分野と空間体験デザインをどのようにつなげられるかということです。
たとえば、建築や空間デザインを学んできた方であれば、空間そのものを情報取得のための媒体として捉える考え方との接点があるかもしれません。情報技術やセンシングに関わってきた方であれば、それを住宅やオフィスなどの日常空間にどのように応用できるのかという方向から研究テーマを考えることもできます。
また、人間の行動や体験そのものに関心がある方であれば、技術を導入することによって生活者の行動や感覚がどう変わるのかという視点から考えることも可能です。
出願書類や面接では、「空間体験デザインに興味があります」と伝えるだけではなく、自分がこれまでどのような経験をし、そこからどのような課題を感じ、それをKMDでどのように研究したいのかまで整理しておくことが重要です。教員の研究を自分の関心と結びつけて考えることで、志望理由や研究テーマにも具体性を持たせやすくなります。
まとめ
吉田貴寿特任助教は、MIT Media Labでの学びや日本科学未来館での実務経験を経て、現在はEmbodied Media Projectの中で、知能化された生活空間における体験デザインの研究に取り組んでいます。
建材や家具、光計測技術、センシング、インタラクションなどを組み合わせ、生活空間そのものを研究対象として捉えている点が大きな特徴です。また、SIGGRAPH Asiaなど国際的な場で研究成果を発信していることからも、研究が幅広い領域や研究コミュニティとつながっていることが分かります。
KMDへの出願を検討している方は、吉田特任助教の研究内容を知るだけでなく、自分自身の専門性やこれまでの経験が、空間体験デザインという領域とどのようにつながるのかを考えてみてください。その接点を具体的に言葉にしていくことが、研究計画や志望理由、面接の準備にもつながっていきます。
※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員の所属・役職・研究内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


