
KMDはどれくらい国際的?留学生の多い環境と「Global Englishes」の日常
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「KMDはどれくらい国際的?留学生の多い環境と『Global Englishes』の日常」です。
KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)を調べていると、「国際的な大学院」「留学生が多い」という情報を目にすることがあります。実際、KMDには日本人学生だけでなく、さまざまな国や地域から学生が集まり、授業やリアルプロジェクトを通じて一緒に学ぶ環境があります。
そのため、英語は単に入試を突破するために必要なものではありません。入学後の日常的なコミュニケーションや、チームでの議論、研究発表などでも使う機会があります。
今回は、KMDの国際的な学習環境について、「英語が完璧ではないとついていけないのか」という不安にも触れながら解説していきます。
KMDには多様な国・地域から学生が集まる

KMDの大きな特徴のひとつが、学生のバックグラウンドの多様さです。
日本国内から進学する学生だけでなく、アジアをはじめ、さまざまな国や地域から学生が集まっています。また、国籍だけでなく、これまで学んできた分野や職業経験もさまざまです。
エンジニアリングを学んできた人、デザインを専門としてきた人、ビジネス経験を持つ社会人、コンテンツ制作に携わってきた人などが、同じプロジェクトで議論することもあります。
そのためKMDでは、「外国人学生がいる」というだけではなく、文化、専門性、価値観の違いが同時に存在する環境で学ぶことになります。
なお、「学生の約7割が留学生」といった比率は年度によって変動するため、受験時には最新の学生構成を公式情報で確認することが大切です。
日本にいながら国際的な環境で学べる
海外大学院へ進学しなくても、多様な国籍の学生と日常的に学べることは、KMDの魅力のひとつです。
授業だけでなく、リアルプロジェクトのミーティング、研究についての相談、発表準備など、さまざまな場面で英語によるコミュニケーションが発生します。
しかも、そこで使われる英語は、英語圏のネイティブスピーカーだけが話す英語ではありません。
日本語を母語とする人、中国語を母語とする人、韓国語やヨーロッパ系の言語を母語とする人など、それぞれ異なる言語背景を持つ人が英語を共通言語として使います。
こうした環境では、「きれいな英語を話すこと」よりも、「相手の話を理解し、自分の考えを伝え、チームとして前へ進むこと」がより重要になってきます。
Global Englishesとは?
Global Englishesとは、英語を英米など一部の国だけのものとして捉えるのではなく、世界中の人々がそれぞれの言語的・文化的背景を持ちながら使う多様な英語として考える視点です。
グローバルな環境では、必ずしも全員が同じ発音、同じ語彙、同じ話し方をするわけではありません。
たとえば、同じ英語でも、話す人の母語によって発音やリズムに特徴があります。使う表現にも違いがあり、文化によって意見の伝え方や議論の進め方も異なります。
KMDのような国際的な環境では、この多様性そのものに慣れることが重要です。
「ネイティブのように話せないから恥ずかしい」と考えるのではなく、「相手に伝わる方法を探す」という姿勢を持つことで、英語に対する考え方も変わっていくでしょう。
必要なのは「完璧な英語」より伝える力
英語に苦手意識がある方にとって、「留学生の多い大学院」と聞くと不安になるかもしれません。
しかし、実際の国際的なコミュニケーションでは、文法や発音を一度も間違えないことよりも、伝えたい内容を整理して相手に届けることが重要です。
たとえば、研究テーマについて説明しているときに単語が出てこなかったとしても、別の言葉で言い換えることができます。相手の質問が聞き取れなければ、もう一度聞いても構いません。
分からないまま曖昧に返事をするより、「この意味で合っていますか」と確認しながら会話を続けるほうが、研究やプロジェクトでは重要です。
こうした実践的な英語力は、試験問題を解くだけではなかなか身につきません。実際に人とコミュニケーションを取る中で少しずつ鍛えられていきます。
文化の違いも学びになる

KMDで得られるものは、英語力だけではありません。
多国籍な学生と一緒にプロジェクトを進めると、「当たり前だと思っていたことが、相手にとっては当たり前ではない」と気づく場面があります。
たとえば、日本では説明しなくても伝わると思っていたことが、海外の学生にはまったく伝わらないことがあります。反対に、他国の学生が当然だと考えている価値観に、自分が驚くこともあるでしょう。
こうした違いは、時にはコミュニケーションの難しさにつながります。しかし、その違いを理解しようとすることで、自分自身の考え方を客観的に見るきっかけにもなります。
KMDが重視する多様性とは、単に多くの国籍の人が集まることではありません。異なる視点を持つ人同士が対話し、その違いから新しいアイデアを生み出すことに意味があります。
リアルプロジェクトでも国際性を体験する
リアルプロジェクトでは、異なる専門性を持つ学生がチームで活動します。
そこに文化的な違いも加わることで、プロジェクトの進め方そのものが学びになります。
誰がリーダーになるのか、どのように意見をまとめるのか、意見が対立したときにどう調整するのか。こうした場面では、単なる語学力だけではなく、相手の考えを理解する力や、自分の主張を分かりやすく伝える力が必要です。
将来グローバル企業で働きたい方や、海外の人と共同で事業や研究を行いたい方にとっては、日本にいながらこうした経験を積めることに大きな意味があります。
雑談も重要なコミュニケーション
国際交流は、授業やプロジェクトだけで起こるわけではありません。
授業前後の何気ない会話、昼食、プロジェクトの合間の雑談などから、相手の国の文化や考え方を知ることもあります。
英語に自信がないと、こうした場面で会話を避けてしまう方もいます。しかし、雑談には正しい答えがありません。研究発表よりも気軽に英語を使えるため、むしろ実践的なコミュニケーションに慣れる良い機会です。
興味のある食べ物、趣味、出身地など、簡単な話題から話してみるだけでも十分です。
入学後に英語力を伸ばしたいのであれば、授業だけではなく、こうした日常の会話へ積極的に入っていく姿勢も大切になります。
入学前から多様な英語に慣れておく
KMDへの進学を検討している方は、入学前から英語に触れる量を少しずつ増やしておくことをおすすめします。
その際、アメリカ英語やイギリス英語だけを聞く必要はありません。
国際学会の動画や大学の講義、世界各国の研究者へのインタビューなどを見ると、さまざまな国籍の人が英語で話していることが分かります。
最初は聞き取りにくくても、いろいろな発音やリズムに触れていると、少しずつ慣れてきます。
また、自分の研究テーマについて1分程度で英語説明する練習を続けておけば、入試面接だけでなく、入学後の自己紹介やプロジェクトでの会話にも役立ちます。
国際的な環境を「受け身」で終わらせない

留学生が多い環境に入っただけで、自然に英語が話せるようになるわけではありません。
自分から話しかける、プロジェクトで意見を出す、分からないことを質問するなど、実際にコミュニケーションへ参加することが必要です。
反対に、英語を間違えることを恐れて黙っていると、せっかく国際的な環境にいても、その魅力を十分に活かせません。
「完璧に話してから参加する」のではなく、「参加しながら上達する」という考え方を持つことが、KMDの環境を活用するうえでは重要です。
まとめ
KMDには、さまざまな国・地域から学生が集まり、日本にいながら国際的な環境で研究やプロジェクトに取り組めるという特徴があります。
そこで使われる英語は、ネイティブスピーカーだけの英語ではありません。さまざまな母語や文化を持つ人が、それぞれの英語を使ってコミュニケーションを取ります。
そのため大切なのは、「ネイティブのような完璧な英語」を目指すことだけではなく、相手の意図を理解し、自分の考えを伝え、異なる価値観を持つ人と協働できる力を身につけることです。
KMDの国際性に魅力を感じている方は、英語への不安だけを見るのではなく、「自分とは異なる背景を持つ人と何を学びたいか」という視点で考えてみてください。
入学前から多様な英語に触れ、自分の研究テーマについて簡単な英語で話す習慣をつけておけば、KMDでの学生生活にも入りやすくなります。国際的な環境を受け身で眺めるのではなく、自分からその中へ入っていく姿勢が、KMDでの2年間をより豊かなものにしてくれるでしょう。
※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。KMDに在籍する留学生の人数・割合、国籍構成、授業で使用される言語、国際交流の機会などは年度によって変動・変更される場合があります。「留学生が約7割」など具体的な割合については、必ず最新の公式情報をご確認ください。受験・進学を検討される際は、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイトおよび最新の募集要項・カリキュラム情報をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


