
KMDの修士論文は英語で書くべき?日本語・英語の選択と中間発表への備え方
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「KMDの修士論文は英語で書くべき?日本語・英語の選択と中間発表への備え方」です。
KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)での学びを考えるうえで、受験生が気になりやすいのが修士論文の言語です。「英語で書かなければならないのか」「日本語でもよいのか」「中間発表も英語なのか」と不安を感じる方も多いでしょう。
KMDでは、授業や研究活動の国際化が進んでおり、英語で学び、英語で研究内容を伝える機会が多くあります。ただし、修士論文の執筆言語や発表形式は、年度や履修上のルールによって扱いが変わる可能性があります。そのため、過去の情報だけをもとに判断せず、入学年度の最新案内を確認することが重要です。
今回は、修士論文の言語を考える際のポイントと、英語での研究発表に備えるための準備方法を解説します。
修士論文の言語は最新ルールを確認する

KMDでは、これまで日本語で修士論文を執筆してきた学生もいます。一方で、近年は授業や研究活動における英語の比重が高まっており、英語で学ぶ環境がより強く意識されています。
そのため、これからKMDへ進学する方は、「以前は日本語で書けたから、自分も必ず日本語で書ける」と考えないほうがよいでしょう。
修士論文については、提出言語、要旨の言語、発表時の使用言語などが細かく定められる可能性があります。自分が入学する年度の学生向けガイドや履修案内、研究科からの正式な通知を確認することが必要です。
受験段階では、少なくとも「英語で研究内容を説明したり、必要に応じて英文を書いたりする機会がある」という前提で準備しておくと安心です。
「日本語か英語か」は得意不得意だけで決めない
もし修士論文の執筆言語を選択できる場合でも、「英語が苦手だから日本語」「英語のほうが格好いいから英語」という基準だけで決めるのはおすすめできません。
研究成果を誰に読んでもらいたいのか、将来どのような形で研究を発展させたいのかによって、適した言語は変わります。
たとえば、海外の研究者にも成果を届けたい、修了後に国際学会で発表したい、博士課程への進学を視野に入れているという方であれば、英語でまとめる経験には大きな意味があります。
一方、日本国内の特定地域や制度、文化に強く関係する研究では、日本語で丁寧に議論することに意味がある場合もあります。
重要なのは、「どちらが上か」ではなく、自分の研究目的に合った言語を考えることです。
英語で論文を書くことと、英会話が得意なことは別
英語で修士論文を書くと聞くと、「英語がペラペラでなければ無理なのでは」と考える方もいるでしょう。
しかし、日常会話が得意であることと、学術的な文章を書けることは少し異なります。
研究論文では、難しい表現を使うことより、研究背景、研究目的、方法、結果、考察を論理的に説明することが重要です。同じ専門分野の論文を読みながら、よく使われる表現や構成を身につけていくことで、徐々に書けるようになります。
そのため、英語に苦手意識がある方も、入学前から自分の研究テーマに近い英文論文を読む習慣をつけておくとよいでしょう。
中間発表では「研究の進捗」を伝える

修士研究では、完成した論文だけが重要なのではありません。途中段階で研究内容や進捗を発表し、教員や学生から意見をもらう機会もあります。
中間発表で大切なのは、研究が完成しているように見せることではありません。
現在どこまで進んでいるのか、何が分かったのか、どこで困っているのか、当初の計画から何が変わったのか、今後どのように進めるのかを整理して伝えることが重要です。
研究が予定通り進んでいない場合でも、それ自体が問題というわけではありません。なぜ進まなかったのかを分析し、どのように計画を修正するのかまで説明できれば、研究を前へ進めるための有益な議論につながります。
英語発表では「全部説明する」をやめる
英語で研究発表をするとき、多くの学生がやってしまうのが、資料に書いてある内容をすべて説明しようとすることです。
しかし、発表時間には限りがあります。研究背景、目的、方法、現在の成果、今後の課題のうち、何が最も重要なのかを絞る必要があります。
特に英語に慣れていない場合、情報を詰め込みすぎると早口になり、聞き手にとって分かりにくい発表になりがちです。
まず結論を伝え、その後で必要な説明を加えることを意識しましょう。これはKMDの入試面接で練習してきた、1分・3分・5分の要約説明とも共通する力です。
専門用語より「研究の意味」を伝える
KMDでは、異なる専門分野を持つ人が同じ場で研究成果を共有することがあります。
そのため、自分の研究分野では当たり前の用語でも、ほかの人には伝わらない可能性があります。
たとえば技術的な手法を説明する場合でも、「このアルゴリズムを使います」で終わらず、「この方法を使うことで、これまで難しかった○○を可能にします」と意味まで説明することが重要です。
研究の専門性を下げる必要はありません。専門的な内容を、専門外の人にも理解できる言葉へ変換する力が必要になります。
中間発表では質問への対応も重要
英語発表で緊張するのは、自分の発表より、その後の質疑応答だという方も多いでしょう。
質問内容をすべて一度で聞き取れなくても、焦る必要はありません。「もう一度お願いします」「この点についての質問でしょうか」と確認しながら会話を続けることも大切です。
また、答えが分からない質問に対して無理に回答を作る必要もありません。「その点はまだ十分に検討できていません。今後確認したいです」と答えることもできます。
研究発表は、知識を完璧に見せる場ではなく、他者との議論を通じて研究を深める場でもあります。
入試対策の英語は入学後もそのまま使える
KMD受験では、英語スコア、Statement of Purpose、Creative Challenge、英語面接など、出願段階から英語に向き合う必要があります。
受験中は「合格するために仕方なく勉強する」と感じるかもしれませんが、この準備は入学後にもそのまま活きてきます。
自分の研究テーマを短く英語で説明する力、質問に対してその場で答える力、専門用語を簡単な言葉へ置き換える力は、授業、リアルプロジェクト、研究発表などさまざまな場面で必要になります。
そのため、入試対策の段階から「正しい英語を話す」ことだけではなく、「自分の考えを伝える」という意識を持って練習しておくことをおすすめします。
英語発表は録画して確認する
中間発表への実践的な準備として効果的なのが、自分の発表を録画する方法です。
実際にスライドを表示しながら発表し、あとから見返すと、話す速度、声の大きさ、視線、説明が分かりにくい部分などが見えてきます。
原稿を見ながら読んでいる時間が長すぎないか、専門用語が続いていないか、一枚のスライドに情報を詰め込みすぎていないかも確認しましょう。
英語が多少たどたどしくても、研究の内容が整理され、聞き手を意識した説明になっていれば伝わります。発音だけに時間を使うのではなく、内容と構成も含めて練習することが大切です。
研究内容が変わった場合も正直に説明する

修士研究を進めていると、入学時に考えていた計画からテーマや方法が変わることがあります。
中間発表では、その変更を隠す必要はありません。むしろ、「当初は○○を想定していたが、調査の結果○○という課題が見つかったため、現在はこの方向へ変更している」と説明することで、研究の進展を示すことができます。
これは入試面接で準備してきた「研究の可変性」と同じ考え方です。
最初の計画を最後まで守ることよりも、新しい情報を得たときに適切に研究を修正できることのほうが重要な場合があります。
まとめ
KMDでの修士論文について、日本語と英語のどちらが選択できるのか、どの言語が基本になるのかは、入学年度の正式なルールを確認する必要があります。過去の制度や先輩の事例だけをもとに判断しないよう注意しましょう。
一方で、KMDでは授業や研究活動の国際化が進んでいるため、入学後に英語で自分の研究について説明する機会があることを前提に準備しておくことが大切です。
中間発表などでは、完璧な英語を話すことよりも、研究の背景、目的、現在の進捗、課題、今後の計画を分かりやすく伝える力が重要になります。
英語で自分の研究を説明する力は、入試を突破するためだけのものではありません。KMDでの2年間、さらにその先で国際学会や海外の研究者と関わる際にも使い続ける力です。
受験勉強の段階から、自分の研究について英語で読み、書き、話す習慣を少しずつつくっておくことが、入学後の学びをスムーズにする大きな準備になります。
※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。KMDの修士論文の執筆言語、要旨の提出言語、中間発表・最終発表の使用言語、発表形式、カリキュラムなどは年度によって変更される場合があります。また、具体的な履修・研究上のルールについては入学後の案内が優先されます。受験・進学を検討される際は、必ず慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイトおよび最新の募集要項・カリキュラム情報をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


