
社会人でもKMDに通える?授業時間とワークロードの実態
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「社会人でもKMDに通える?授業時間とワークロードの実態」です。
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科、通称KMDを志望する方の中には、すでに企業などで働いている社会人の方もいるでしょう。「仕事を辞めずに通えるのだろうか」「平日の夜や土日だけで修了できるのだろうか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、KMDは社会人も受験できる大学院ですが、社会人向けの夜間大学院とは性格が異なります。KMD公式の入試FAQでも、講義やプロジェクト活動の多くが平日の午前・午後に行われるため、フルタイムの仕事と両立することは非常に難しいと案内されています。
そのため、社会人受験生は「入学できるか」だけではなく、「入学後にKMDで十分な時間を確保できるか」まで考えて受験を検討することが重要です。
KMDは社会人も受験できる大学院
KMDでは、学部卒業後にそのまま進学する学生だけを対象としているわけではありません。公式サイトでも、学部卒学生、社会人学生、留学生を問わず、それぞれのキャリアに応じて4月入学または9月入学を選択できることが案内されています。
社会人にとっては、これまでの実務経験を研究につなげられることもKMDの魅力です。企業で感じた課題、新規事業やサービス開発での経験、顧客との関わり、組織の中で感じた問題意識などが、そのまま研究テーマの出発点になることも考えられます。
特にKMDでは、実社会と関わりながら新しい価値を生み出していくことが重視されています。そのため、仕事を通じて得た現場感覚や問題意識は、研究やプロジェクト活動でも活かしやすいでしょう。
ただし、「社会人を受け入れていること」と「フルタイム勤務と簡単に両立できること」は別の話です。ここは受験前にしっかり区別して考える必要があります。
授業は平日の午前・午後にも行われる
社会人受験生が最も注意したいのが授業時間です。KMDは、平日の夜間や土日だけですべての授業を履修できる社会人大学院ではありません。
KMD公式のFAQでは、講義の多くやプロジェクト活動の多くが平日の午前・午後に行われると明記されています。そのため、一般的な勤務時間で週5日働きながら、仕事の前後だけを使って通学することを想定すると、かなり厳しい可能性があります。
「平日は会社に行き、18時以降だけ大学院に通う」という生活を想定している方は、入学後の時間割とのミスマッチが生じないよう注意しましょう。
勤務先でフレックスタイム制度を利用できる、勤務日数を調整できる、休職制度を利用できるなど、人によって条件は異なります。社会人として受験する場合には、合格後に考えるのではなく、受験を決める段階から勤務先との調整が可能かを確認しておくことをおすすめします。
KMDは授業に出席するだけの大学院ではない
KMDで社会人との両立を考える際に、もうひとつ重要なのが授業外の活動時間です。
KMDの修士課程で大きな位置を占めているのが「リアルプロジェクト」です。リアルプロジェクトでは、現実社会の課題に向き合い、教員や学生、企業、行政などさまざまな関係者と協働しながら、アイデアを形にして社会で実践していきます。KMD公式サイトでも、リアルプロジェクトは教育の中心的な取り組みとして位置づけられています。
つまり、決められた講義に出席して課題を提出すれば終わり、という学び方ではありません。チームメンバーとの打ち合わせ、調査、フィールドワーク、アイデアの検討、プロトタイプの制作、検証、発表準備など、授業時間外にもさまざまな活動が発生します。
社会人にとっては、この時間をどこから確保するのかが非常に重要になります。
仕事と両立するときに難しいのはチーム活動
個人研究であれば、ある程度は自分で時間を調整できます。しかし、リアルプロジェクトのようなチーム活動では、自分の都合だけでスケジュールを決めることはできません。
たとえば、自分は平日の20時以降しか活動できなくても、ほかの学生や教員、企業などとの打ち合わせが日中に設定される可能性があります。また、フィールドワークやイベントなど、特定の日時に参加する必要が生じることも考えられます。
そのため、「会社が終わってから研究すればよい」と考えるだけでは不十分です。チームで動く大学院だからこそ、一定の時間的な柔軟性を確保できるかどうかが重要になります。
想定しておきたいワークロード
KMD公式のFAQでは、授業への事前準備だけでなく、研究プロジェクトに十分取り組むことも求められると説明されています。
実際のワークロードは履修科目や所属するプロジェクト、研究テーマ、学年、時期などによって変わります。そのため、「毎週何時間必要」と一律に示すことはできません。
ただし、講義への参加時間だけを計算して大学院生活を考えるのは避けたほうがよいでしょう。授業の予習・復習、プロジェクト活動、自分自身の研究、発表準備なども含めて時間を確保する必要があります。研究が本格化する時期には、仕事以外の時間のかなりの部分を大学院に充てる可能性も想定しておきたいところです。
社会人だからこそ活かせる強みもある
ここまで読むと、「社会人にはKMDは難しいのではないか」と感じるかもしれません。しかし、社会人経験そのものはKMDで大きな強みになる可能性があります。
仕事をしているからこそ見えている社会の課題があります。顧客の困りごと、業界の古い慣習、現場と経営側の認識の違い、技術はあるのに普及しないサービスなど、実際の社会で働いた経験から生まれる問題意識は、研究テーマを考えるうえでも貴重です。
また、仕事で身につけたプロジェクト管理、コミュニケーション、プレゼンテーション、社内外との調整などの経験も、複数の人と協働するKMDの環境で活かせるでしょう。
大切なのは、社会人経験を単なる職歴として説明するのではなく、「その経験を通じて何に問題意識を持ったのか」「KMDで何を研究・実践したいのか」までつなげることです。
受験前に仕事との両立を具体的に考えよう
社会人受験生は、志望理由書を作ることと並行して、入学後の生活も具体的に考えてみましょう。
現在の働き方を続けたまま平日の日中に大学へ行くことができるのか、勤務時間を調整できるのか、会社に大学院進学について相談できるのか、繁忙期と研究活動が重なった場合にどう対応するのかなど、現実的な条件を確認しておく必要があります。
また、KMDの説明会やイベント、公式サイトで紹介されている在学生・修了生のストーリーなどを通じて、実際の学生生活を調べることもおすすめします。公式サイトでも在学生や修了生のインタビューが紹介されていますので、自分に近いキャリアの人がどのようにKMDで学んできたのかを確認してみるとよいでしょう。
まとめ
KMDは社会人も受験でき、実務経験を研究やプロジェクト活動に活かせる大学院です。一方で、社会人向けの夜間大学院ではなく、講義やプロジェクト活動の多くが平日の午前・午後に行われるため、フルタイム勤務をそのまま続けながら学ぶことは簡単ではありません。
社会人受験生にとって重要なのは、「仕事をしながらでも何とかなるだろう」と考えるのではなく、入学前から現実的な時間の使い方を考えることです。勤務先との調整、授業時間の確保、プロジェクト活動への参加、研究時間の確保まで含めて検討しましょう。
そのうえで、自分がなぜ仕事と両立してまでKMDで学びたいのかを明確にすることも大切です。社会人として培ってきた経験と、KMDで取り組みたい研究を結びつけることができれば、それは社会人受験生ならではの強い志望理由にもつながります。
※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。KMDの授業時間、カリキュラム、プロジェクト活動、入試制度、募集要項などは年度によって変更される場合があります。働きながらの通学を検討している方は、必ず慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイトおよび最新の募集要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


