慶應SFC院試「経験の学」志望理由書:定性データと実践的アプローチで合格を勝ち取る

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今回のテーマは「慶應SFC院試『経験の学』志望理由書:定性データと実践的アプローチで合格を勝ち取る」です。

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科、いわゆるSFC大学院の入試では、研究計画書であるプロポーザルや志望理由書、そして面接の内容が合否を大きく左右します。特に「経験の学」に関心がある受験生は、人々の体験や語りを丁寧に捉え、それを社会課題の発見や新しい仕組みの提案へつなげる姿勢が求められます。

経験は、単なる個人の感想ではありません。病気や介護、子育て、学習、仕事、地域活動、移住、災害などを経験した人の語りには、統計や制度資料だけでは見えにくい課題が表れています。SFCでは、こうした経験を研究対象として分析するだけでなく、その知見を現場の改善や社会実装へ結び付ける視点が重要です。

この記事では、「経験の学」を志望する受験生に向けて、志望理由書に必要な考え方、定性データの扱い方、実践的な研究計画の組み立て方を分かりやすく解説します。


「経験の学」で重視されるのは、当事者の視点から課題を捉える力

社会課題を研究する際には、統計資料やアンケート結果などの数値データがよく使われます。数値は社会全体の傾向を把握するうえで有効ですが、それだけでは一人ひとりがどのように状況を受け止め、どのような困難を経験しているのかまでは分かりません。

例えば、離職率や不登校の人数を調べれば、問題の規模は把握できます。しかし、なぜ仕事を辞める決断に至ったのか、なぜ学校へ行けなくなったのか、本人がどのような葛藤を抱えていたのかは、インタビューや観察、本人の記録などを通じて初めて見えてきます。

「経験の学」では、こうした当事者の語りや生活の過程を丁寧に読み解き、既存の制度や支援では捉えきれない課題を発見する視点が重要になります。

志望理由書では、「人の経験に興味がある」と書くだけでは不十分です。誰の、どのような経験に注目し、そこから何を明らかにしたいのかを具体的に示す必要があります。


合格につながる志望理由書の3つのポイント

自分の経験を社会的な問いへ発展させる

「経験の学」を志望する受験生の中には、自分自身の経験や身近な人との関わりをきっかけに研究テーマを考える方も多いでしょう。これは志望理由の出発点として有効ですが、個人的な体験談だけで終わらせないことが大切です。

例えば、自分が転職で苦労した経験を持っている場合、「転職が大変だったので研究したい」と書くだけでは研究としての広がりが見えません。一方で、「キャリアの中断を経験した人が、自分の経歴をどのように捉え直し、再就職へ向かうのかを明らかにしたい」とすれば、個人の経験を社会的な問いへ発展させることができます。

また、家族の介護を経験したことがきっかけであれば、「家族介護者が支援を求めるまでにどのような迷いやためらいを抱えるのかを分析し、早期相談につながる仕組みを提案したい」と具体化できます。

志望理由書では、経験した出来事、その経験から生まれた疑問、社会に共通する課題、研究によって目指す変化を一つの流れとして書きましょう。

定性データの集め方と分析方法を示す

経験を研究する場合、インタビュー、参与観察、日記、自由記述、映像、会話記録などの定性データが重要になります。志望理由書やプロポーザルでは、誰から、どのようなデータを、どのように集めるのかを示す必要があります。

例えば、外国につながる子どもの学校経験を研究する場合は、本人だけでなく、保護者、教員、支援者へのインタビューを行うことで、立場による認識の違いを捉えられます。地域活動への参加経験を扱う場合は、活動現場を観察し、参加者の語りと実際の行動を組み合わせて分析する方法も考えられます。

ただし、インタビューを行えば自動的に良い研究になるわけではありません。どのような問いを立て、語りの中から何を読み取るのかを明確にする必要があります。また、研究者自身の立場や先入観が分析に与える影響についても意識することが大切です。

対象者のプライバシー、同意の取得、語りによる心理的負担など、倫理面への配慮も欠かせません。こうした点まで考えていることを示せると、研究計画の信頼性が高まります。

経験から得た知見を社会実装へつなげる

SFCでは、研究成果を論文にまとめるだけでなく、現場や社会の改善へつなげる姿勢が重視されます。「経験の学」でも、当事者の語りを収集して分析するだけではなく、その結果を誰に、どのような形で返すのかを考える必要があります。

例えば、若者の就労経験を研究する場合は、企業や支援機関向けのガイドラインを作成する方法があります。患者の治療経験を扱う場合は、医療従事者向けの研修プログラムや、患者が情報を共有できる仕組みを提案することもできます。

地域で暮らす高齢者の経験を扱うのであれば、自治体やNPOと連携し、相談窓口や交流の場を改善する実証的な取り組みへ発展させることも考えられます。

どれほど意義のある研究でも、成果の届け方が曖昧では、SFCらしい実践性が伝わりません。誰に何を届け、どのような変化を起こしたいのかまで具体的に書きましょう。


面接では研究者としての立場を問われる

書類審査を通過した後の面接では、「なぜその経験を研究するのか」「なぜあなたが取り組むのか」「当事者との距離をどう保つのか」といった質問が考えられます。

自分自身も同じ経験を持っている場合は、その経験が研究の強みになる一方で、思い込みにつながる可能性もあります。面接では、自分の経験だけを正解とせず、異なる立場の人の語りに向き合う姿勢を伝えることが大切です。

また、少人数のインタビュー結果を社会全体へ安易に広げてはいけません。定性研究によって何が分かり、何までは分からないのかという限界も理解しておきましょう。必要に応じて、統計資料やアンケートなどの量的データと組み合わせる計画を示すと、研究の説得力が高まります。

面接では、難しい専門用語を並べるよりも、自分がどの現場に入り、誰の声を聞き、そこからどのような提案につなげたいのかを、自分の言葉で説明することが重要です。


SFCで研究する必然性を具体的に伝える

志望理由書では、研究テーマへの関心だけでなく、なぜSFCでなければならないのかを示す必要があります。

「経験の学」に関わる研究では、人文学、社会学、心理学、医療、福祉、教育、デザイン、情報科学など、複数の分野を横断することが考えられます。SFCの学際的な環境を活かし、当事者の語りを分析するだけでなく、サービスや制度の改善へつなげたいという流れを示すとよいでしょう。

また、フィールドワークや実証的な活動を行う場合は、どのような組織や地域と連携したいのかを整理しておきましょう。関連するアカデミックプロジェクトや教員の研究内容を確認し、自分が何を学び、チームにどのような視点を持ち込めるのかまで説明できると説得力が増します。


まとめ

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科の「経験の学」に関心を持つ受験生は、人々の語りや体験を丁寧に捉え、そこから社会の課題を発見する力が求められます。

合格につながる志望理由書を作るためには、自分自身の経験を社会的な問いへ発展させ、定性データの収集・分析方法を具体的に示し、得られた知見を社会実装へつなげる道筋を描くことが重要です。

経験を単なるエピソードとして扱うのではなく、当事者の視点から既存の制度や支援を見直すための大切な研究資源として捉えましょう。自分が誰のどのような経験に向き合い、その声を社会の変化へどうつなげたいのかを丁寧に言語化することが、説得力のある志望理由書への第一歩になります。


※入試制度や募集要項、研究領域、アカデミックプロジェクト、教員情報、各種制度の内容は変更される場合があります。出願前には必ず慶應義塾大学大学院の公式サイトおよび最新の募集要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。