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今回のテーマは、法学研究科で求められる学生像とは何かです。
「頭がいい人」が選ばれるわけではない
法学研究科を目指す人の多くが、
無意識のうちにこう考えています。
- 成績が良い人が受かる
- 法律に詳しい人が評価される
- 論文を書ける人が強い
しかし、実際の合否を見ていると、
これは半分しか当たっていません。
結論から言います。
法学研究科で選ばれるのは、
「できる人」ではなく
「研究者として伸びる人」です。
法学研究科は「研究者予備軍」を選んでいる
第91回で整理したとおり、
法学研究科は研究者養成を主目的としています。
そのため入試では、
この人は、
法学研究を継続できるか
思考を深め続けられるか
という視点で受験生を見ています。
- 今どれだけ知っているか
よりも - これからどこまで伸びるか
が重視されます。
求められる学生像①「問いを立てられる人」
法学研究科で最も重要なのは、
この一点です。
法的な現象を、
研究の問いとして言語化できるか
- 判例を知っている
- 学説を説明できる
だけでは、研究にはなりません。
評価されるのは、
- なぜこの解釈が問題になるのか
- どこに理論的な緊張関係があるのか
を、自分の言葉で説明できる人です。
「答え」を言う人より「問い」を示す人
法学部までの学習では、
- 正解を当てる
- 通説を書く
ことが求められてきました。
しかし法学研究科では、
正解を言える人
より
問いを立てられる人
が評価されます。
- この通説は、どこまで妥当か
- この判例は、どこに限界があるか
こうした視点を持てる人は、
研究者としての適性が高いと判断されます。
求められる学生像②「議論の位置づけができる人」
法学研究科では、
- 学説対立
- 判例の変遷
を、全体構造の中で理解できているか
が見られます。
- A説とB説を並べる
だけでなく - なぜ対立しているのか
- 何が争点なのか
を説明できる人は、
研究の土台があると評価されます。
求められる学生像③「未完成を自覚している人」
意外に思われるかもしれませんが、
法学研究科では、
- 何でも分かっている人
よりも - 分からない点を把握している人
の方が評価されやすいです。
- ここがまだ整理できていない
- ここは今後深めたい
と説明できる人は、
指導によって伸びる
と判断されます。
逆に、
- 何となく分かったつもり
- 自信だけはある
人は、研究では危険と見なされます。
求められる学生像④「条文・判例を“材料”として扱える人」
法学研究科では、
- 条文
- 判例
はゴールではなく、材料です。
- 条文をどう解釈するか
- 判例をどう位置づけるか
この思考ができないと、
法律を使って研究していない
と評価されます。
「暗記型優等生」が伸び悩む理由
法学研究科でよくあるのが、
- 学部では成績優秀
- 試験は得意
- 知識量も多い
それでも評価が伸びないケースです。
原因は明確です。
知識を問いに変換できていない
- 判例を覚えて終わり
- 通説を書いて終わり
この姿勢のままだと、
研究として前に進めません。
社会人受験生に求められる学生像
社会人受験生の場合、
- 実務経験
- 現場感覚
は、確かに強みになります。
ただし、それは
法学的な問いに変換できた場合のみ
です。
- 現場ではこうだった
ではなく - それは法理論上どう位置づけられるのか
ここまで落とし込める人は、
非常に高く評価されます。
面接・書類で見られている共通ポイント
法学研究科の入試全体を通して、
一貫して見られているのは次の点です。
- 自分は何に疑問を持っているのか
- どこがまだ未整理なのか
- それをどう研究したいのか
この3点が、
- 書類
- 筆記
- 面接
でブレていない人は、
評価が安定します。
法学研究科が「求めていない学生像」
逆に、明確に避けられるタイプもあります。
- 司法試験の延長で考えている
- 実務に役立てたいだけ
- 答えを教えてもらおうとしている
これらは、
研究者養成という目的とズレている
と判断されます。
まとめ
法学研究科で求められる学生像は、
- 法律をたくさん知っている人
ではなく - 法律を使って問いを立てられる人
です。
- 完成度は高くなくていい
- 方向性が正しければいい
この姿勢を示せた人が、
法学研究科では選ばれています。
次回は、
法学研究科の筆記試験は何を見ているのか
を解説します。
ここで、
「論文が書けるのに落ちる理由」が
はっきり見えてきます。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


