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今回のテーマは
法科大学院制度の全体構造と修了要件の現実です。

法科大学院を検討している方の多くが、
制度について次のような理解のまま受験してしまいがちです。

  • 入学できれば何とかなるのではないか
  • 修了すれば司法試験に進めるのだから大丈夫だろう
  • 既修・未修の違いは年数の問題だけ

しかし実際には、
この制度理解の甘さが、入学後の脱落や後悔につながるケースが非常に多い
というのが現実です。


1. 法科大学院制度は「通過点」が連続する構造

まず押さえておくべきなのは、
法科大学院制度は次のような段階構造になっている点です。

  1. 法科大学院入試
  2. 在学中の厳しい成績評価
  3. 修了判定
  4. 司法試験
  5. 法曹としてのキャリア形成

つまり法科大学院は、
ゴールではなく、長いプロセスの一部に過ぎません。

そのため、

  • 入学できるか
    よりも
  • 修了まで走り切れるか

が、制度上きわめて重要になります。


2. 既修・未修コースの本質的な違い

法科大学院の制度理解で最も重要なのが、
既修者コースと未修者コースの違いです。

既修者コース
・原則2年修了
・法学部レベルの基礎知識が前提
・授業進度が非常に速い

未修者コース
・原則3年修了
・法律初学者も対象
・基礎から段階的に学修

ここで注意したいのは、
これは「難易度の差」ではなく「前提条件の差」
だという点です。

知識が不十分なまま既修で入学すると、
短期間で一気に行き詰まるリスクが高くなります。


3. 修了要件は「単位」だけではない

法科大学院の修了要件は、
単に単位を取ればよい、というものではありません。

多くの法科大学院では、

  • 一定以上のGPA
  • 必修科目の成績要件
  • 再履修制限

など、
厳格な内部基準が設けられています。

そのため、

  • 入学はできたが
  • 成績が基準に届かず
  • 修了できない

というケースも、決して珍しくありません。


4. 成績評価が厳しくなる理由

法科大学院の成績評価が厳しいのは、

  • 学生をふるいにかけるため
    ではなく
  • 司法試験を前提とした教育設計だからです。

在学中の段階で、

  • 論点整理
  • 事実認定
  • 法的思考の速度

について、
一定水準に達していない場合、
修了後にさらに厳しい壁に直面することになります。

そのため、
在学中から常に「選別」がかかっている構造
だと理解しておく必要があります。


5. 「途中脱落」が起きやすいポイント

法科大学院で途中脱落が起きやすいのは、
次のようなタイミングです。

  • 入学後1年目の前半
  • 必修科目が一気に増える時期
  • 成績評価が見えてきた段階

このとき、

  • 想定以上に勉強量が多い
  • 成績が思うように伸びない
  • モチベーションが維持できない

と感じ、
進路変更を考える人も少なくありません。


6. 制度理解が浅いと起きるミスマッチ

制度を十分に理解しないまま受験すると、

  • 年数だけで既修を選んでしまう
  • 修了後の負荷を想定していない
  • 家計・生活設計が甘い

といったミスマッチが起きやすくなります。

法科大学院受験は、

  • 入試対策
    だけでなく
  • 数年間の生活設計・学修設計を含めた判断

であることを忘れてはいけません。


まとめ|法科大学院制度は「覚悟を前提に設計されている」

法科大学院制度は、

  • 誰でも気軽にチャレンジできる
  • 入学すれば将来が開ける

という仕組みではありません。

それは、

修了・司法試験・法曹キャリアまでを見据え、
覚悟を持った人だけが走り切れるよう設計された制度

です。

この制度の現実を理解したうえで、

  • 既修か未修か
  • どの法科大学院を選ぶか
  • どんな準備をすべきか

を考えることが、
法科大学院受験における最初の重要な判断になります。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。