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今回のテーマは「尾崎裕之教授の研究室と数理経済学」です。


慶應義塾大学大学院への進学を目指す皆さん。現代の経済社会は、パンデミックや金融危機のように、事前に予測することが難しい出来事に常に直面しています。こうした不確実な現象を、感覚的にではなく理論として理解したいと考えたことはないでしょうか。

「領域Ⅰ:経済理論、計量・統計」の中でも、特に理論の深い部分を担っているのが数理経済学です。その最前線で研究を行っているのが、経済学部および経済学研究科で教授を務める尾崎裕之教授です。

本記事では、不確実性を数学で扱うという独自のアプローチを展開する尾崎教授の研究内容と、研究室が求める力について整理していきます。


不確実性を数学で扱うという発想

尾崎教授の専門分野は、不確実性の経済学とそのマクロ経済学への応用です。

経済学では「リスク」と「不確実性」は区別されます。リスクは確率で表せるものですが、不確実性はその確率すら分からない状況を指します。こうした概念は、従来の経済モデルでは十分に扱いきれない領域でした。

尾崎教授は、この不確実性を数学的に捉えることで、新たな理論を構築しています。人間の意思決定における曖昧さや偏りを、厳密な数式として表現し、従来の理論では説明できなかった現象を説明することを目指しています。

研究には高度な数学が不可欠であり、解析学や動的計画法などの知識が前提となります。経済現象を理解するために数学を使うのではなく、数学そのものが経済学の本質であるという考え方が特徴です。


数学を軸にした理論構築の世界

尾崎教授の研究は、データ分析よりも理論構築に重きを置いています。経済現象を観察するのではなく、その背後にある構造を数式として定義することに価値があります。

例えば、不確実な状況における意思決定をモデル化する際には、従来の確率論だけでは不十分です。そのため、新しい数学的枠組みを導入し、人間の行動や市場の動きを説明できる理論を作り上げていきます。

このような研究は一見すると抽象的に感じられるかもしれませんが、長期的には金融政策やマクロ経済の理解にもつながります。理論の精度が高まることで、現実の分析の土台が強化されるからです。


求められるのは圧倒的な基礎力

尾崎教授の研究室を志望する場合、求められる水準は非常に高いと言えます。

大学院ではミクロ経済学や数理経済学の高度な科目が中心となり、理論を厳密に理解する力が求められます。そのため、学部レベルのミクロ・マクロ経済学に加えて、数学の基礎をしっかりと固めておく必要があります。

重要なのは、表面的な理解ではなく、定義や前提を一つひとつ丁寧に追えるかどうかです。数式の意味を理解し、自分で再現できるレベルまで落とし込むことが求められます。

また、専門分野を深く掘り下げる一方で、幅広い知識も必要になります。自分の専門に軸を持ちながら、周辺分野にも関心を広げていく姿勢が重要です。


研究計画書で意識すべきポイント

尾崎教授の研究室を目指す場合、研究計画書では理論志向であることを明確に示す必要があります。

まず、自分の研究テーマが経済理論に属していることをはっきりさせます。データ分析や実証研究ではなく、理論的な問題意識を出発点にすることが重要です。

次に、その問題をどのような数学的手法で扱うのかを具体的に説明します。どのようなモデルを構築し、どのような仮定を置くのかを論理的に記述することが求められます。

さらに、既存研究のどこに限界があり、自分の研究がどのような新しさを持つのかを示す必要があります。単なる興味ではなく、学術的な価値を意識した内容にすることが重要です。

理論の精緻さと論理の一貫性が、そのまま評価につながります。


まとめ:数学で世界を捉えるという選択

尾崎教授の研究は、不確実な世界を数学という共通言語で理解しようとする試みです。

簡単な道ではありませんが、理論を深く追求したい人にとっては非常に魅力的な環境です。表面的な理解ではなく、本質に踏み込みたい人に向いている分野と言えます。

もしあなたが、経済現象を数式で説明したいと考えているなら、一度関連する論文に触れてみてください。その中で生まれた疑問が、研究の出発点になります。


※本記事の内容は執筆時点の情報をもとに整理しています。最新の募集要項や研究内容については、必ず公式サイトをご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。