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今回のテーマは「鎌田由美子教授の研究室と美術史学」です。


慶應義塾大学経済学部や大学院への進学を目指す皆さん。「経済学」と聞くと、統計データや数式を用いた分析を思い浮かべる方も多いかもしれません。

しかし、社会や人々の営みを本当に深く理解するためには、数字だけでは見えない「文化」や「歴史」の視点が欠かせません。

本連載で扱ってきた「領域Ⅱ:学史・思想史、経済史」の延長線上には、非常にユニークな研究を行う教授陣がいます。その一人が、経済学部に所属しながら美術史学を専門とする鎌田由美子教授です。

本記事では、イスラーム圏の美術を通じて歴史や文化、そして人々の交流を読み解く鎌田教授の研究と、研究室で求められる視点について整理していきます。


イスラーム圏の美術から世界史を読み解く

鎌田教授の専門分野は、美術史学、特にイスラーム圏の美術です。

「美術史」と聞くと、美しい作品を鑑賞する学問というイメージを持つかもしれません。しかし実際には、美術品はその時代の社会や経済、宗教、技術などを映し出す重要な歴史資料でもあります。

特にイスラーム圏は、古くから東西交易の中心地として栄えてきました。シルクロードや海上交易を通じて、多くの文化や技術、人々が行き交っていた地域です。

そのため、美術品のデザインや素材、流通経路を調べることで、当時の社会構造や国際交流の実態を知ることができます。

つまり、鎌田教授の研究は「美術を通じたグローバルヒストリー」とも言えるものです。


「流通」と「受容」を重視する視点

鎌田教授の研究で特に重要なのが、「流通」と「受容」という考え方です。

美術品は作られた場所だけで意味を持つわけではありません。どこへ運ばれ、誰に受け入れられ、どのような価値を持ったのかまで含めて考える必要があります。

例えば、ある地域で作られた陶器や織物が、遠く離れた国へ運ばれ、その土地の権力者や富裕層に愛用されることがあります。

その背景には、交易ネットワークや文化交流、政治的な関係など、さまざまな要素が存在しています。

鎌田教授は、この「モノの移動」と「価値の変化」を追うことで、世界の歴史や文化のつながりを立体的に描き出しています。


知的好奇心を出発点にする研究姿勢

鎌田教授が学生に対して重視しているのは、「自分自身の知的好奇心」です。

大学や大学院では、与えられた知識を覚えるだけではなく、自分で問いを立て、その問いを深めていくことが求められます。

例えば、「なぜこの模様は遠い地域でも人気だったのか」「なぜこの美術品は特定の時代に大量に流通したのか」といった疑問から研究は始まります。

そして、その問いに対して文献や史料を調査し、自分なりの分析を加え、論文や発表として形にしていきます。

知的好奇心を持ち続け、それを調査・分析へとつなげる姿勢が、鎌田教授の研究室では特に重視されています。


求められるのは幅広い視野

鎌田教授の研究室を目指す場合、美術への関心だけでは十分ではありません。

歴史、宗教、文化、交易、社会制度など、多様な分野への興味を持つことが重要です。

また、海外の文献や史料に触れる機会も多いため、外国語への抵抗感が少ないことも大切になります。

さらに、美術品を単なる芸術作品としてではなく、「社会の中でどのような役割を果たしていたのか」という視点で考える力も求められます。

文化と経済、歴史と社会を横断して考える柔軟な姿勢が必要です。


研究計画書で意識したいポイント

鎌田教授の研究室を志望する場合、研究計画書では「文化や歴史をどのような視点で分析したいのか」を明確にすることが重要です。

まず、自分が関心を持つ地域や時代、対象となる美術品や文化を具体的に示しましょう。

その上で、「流通」や「受容」という観点から、どのような問いを立てるのかを整理します。

例えば、「ある工芸品がどのように他地域へ広がったのか」「異文化の中でどのように意味づけが変化したのか」といったテーマが考えられます。

また、自分の知的好奇心をどのように研究として形にしたいのかを具体的に書くことで、研究への熱意が伝わりやすくなります。


まとめ:モノの歴史から世界を見つめる

鎌田教授の研究は、美術品を通じて世界の歴史や文化、人々の交流を読み解くものです。

一つのモノの背景を辿ることで、そこには交易、宗教、政治、社会など、多くの要素がつながっていることが見えてきます。

数字だけでは捉えきれない人々の営みや文化の交差に関心がある方にとって、非常に魅力的な研究分野と言えるでしょう。

まずは興味のある地域や美術品について調べ、自分自身がどのような問いを持つのかを考えてみてください。


※本記事の内容は執筆時点の情報をもとに整理しています。最新の募集要項や研究内容については、必ず公式サイトをご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。