院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。

今回のテーマは「森田香菜子教授(環境ガバナンス・ファイナンス)の研究室と「地球環境を救う社会システムをデザインする力」」です。


慶應義塾大学大学院への進学を目指している皆さん。

気候変動や地球温暖化が深刻な問題であることは、今や多くの人が知っています。しかし、問題の重要性が明らかであるにもかかわらず、国際社会の対策はなかなか進んでいません。

なぜ世界は、環境問題に対して十分に動けないのでしょうか。

この問いに対して、環境ガバナンスやファイナンスの視点から取り組んでいるのが、慶應義塾大学経済学部・大学院経済学研究科の森田香菜子教授です。

森田教授は、環境問題を単なる技術や意識の問題としてではなく、社会の仕組み、国際協調、資金の流れの問題として捉えています。

本記事では、森田教授の研究内容や研究室の特徴、大学院受験生が研究計画書を作成する際のポイントについて解説します。


環境ガバナンスとファイナンスを専門とする研究者

森田教授の専門分野は、環境ガバナンス、ファイナンス、国際開発学です。

環境ガバナンスとは、気候変動や生物多様性の問題に対して、国、自治体、企業、国際機関、市民など、さまざまな主体がどのように協力し、問題解決に向かうのかを考える分野です。

環境問題は、一つの国や一つの企業だけで解決できるものではありません。

多くの主体が関わり、それぞれ異なる利害や事情を持っているからこそ、社会全体を動かす仕組みが必要になります。

森田教授は、その仕組みをどう作るかという大きな問いに取り組んでいます。


環境問題を動かす鍵としてのファイナンス

森田教授の研究で重要なキーワードの一つが、ファイナンスです。

環境問題を解決するためには、理念や正論だけでは足りません。

再生可能エネルギーへの投資、気候変動対策、自然資本の保全、途上国支援などには、莫大な資金が必要になります。

公的資金だけでは限界があるため、民間資金をどのように持続可能な方向へ動かすかが重要になります。

森田教授は、環境問題と資金の流れを結びつけ、社会システムそのものを変えていくための研究を行っています。

これは、サステナブルファイナンスやESG投資に関心がある受験生にとっても非常に重要な視点です。


ツバルでの経験から始まった問題意識

森田教授の研究の原点には、南太平洋の島国ツバルでの経験があります。

ツバルは、海面上昇の影響を強く受ける国として知られています。

森田教授は、現地で気候変動の影響や、先進国からの支援が地域社会に与える影響を目の当たりにしました。

そこで感じたのは、環境問題は単なる自然科学の問題ではなく、人々の暮らしや文化、国際関係、資金の流れと深く結びついているということです。

現場を見ることの重要性と、ファイナンスが環境問題の解決に果たす役割を実感したことが、その後の研究につながっています。


国際的な環境政策にも関わる研究者

森田教授は、国際的な環境政策の議論にも深く関わっています。

国連の気候変動枠組条約に関する国際交渉や、IPCC、IPBESといった国際的な評価報告書にも関わり、投資やファイナンスに関する議論を担ってきました。

IPCCは、気候変動に関する科学的知見を整理し、世界各国の政策に大きな影響を与える国際的な組織です。

そのような場で研究成果を発信していることは、森田教授が学術研究と政策実務の橋渡しをしていることを示しています。

大学院で環境政策や国際協調を研究したい人にとって、非常に刺激的な環境と言えるでしょう。


超学際的な視点が求められる分野

森田教授の研究では、超学際的な視点が重視されます。

環境問題を考えるには、経済学だけでは不十分です。

国際関係、法制度、政治、金融、自然科学、企業経営、市民社会など、多くの分野を横断して考える必要があります。

例えば、脱炭素を進めるには、技術開発だけでなく、企業の投資行動、政府の制度設計、国際的な合意形成、市民の行動変容がすべて関わります。

森田教授の研究室では、こうした複雑な社会システム全体を見渡す力が求められるでしょう。


大学院で求められる力

森田教授の研究室を目指す場合、環境問題への強い関心はもちろん、社会の仕組みを広い視野で捉える力が必要です。

また、国際的な文献や報告書を読む力も重要になります。

環境ガバナンスやサステナブルファイナンスの分野では、英語で発信される資料や国際機関のレポートも多く扱われます。

さらに、具体的な制度や政策を考える力も求められます。

「環境を守るべきだ」という一般論だけではなく、誰が、どのような仕組みで、どのような資金を使って、どう行動を変えるのかまで考える必要があります。


研究計画書で意識したいポイント

森田教授を志望する場合、研究計画書では環境問題を社会システムの問題として捉えることが重要です。

例えば、以下のようなテーマが考えられます。

  • 気候変動対策における民間資金の役割
  • サステナブルファイナンスと企業行動
  • ESG投資が環境政策に与える影響
  • 国際環境ガバナンスの課題
  • 途上国における気候変動適応と資金調達
  • 自治体や企業の脱炭素政策
  • 生物多様性保全とファイナンスの関係

研究計画書では、単に「環境問題に関心がある」と書くだけでは弱くなります。

どのアクターに注目するのか、どの制度や資金の流れを分析するのか、どのような社会システムの変化を目指すのかを具体的に示すことが大切です。


個別技術ではなく社会の仕組みを考える

環境問題の解決には、省エネ技術や再生可能エネルギーの導入も重要です。

しかし、それだけでは社会全体を大きく変えることはできません。

森田教授の研究が重視しているのは、個別の技術だけではなく、社会全体の仕組みをどう変えるかという視点です。

企業や投資家が環境に配慮した行動を取りやすくする制度、国際的な協力を進める枠組み、途上国に必要な資金を届ける仕組みなど、考えるべきことは多岐にわたります。

地球環境を守るためには、環境問題を経済や社会の仕組みと切り離さずに考える必要があります。


まとめ

森田香菜子教授は、環境ガバナンス、ファイナンス、国際開発学を専門とし、気候変動や環境問題を社会システムの視点から研究している研究者です。

国際機関や政策の現場とも関わりながら、環境問題を解決するためのガバナンスや資金の流れについて研究しています。

環境問題を単なる技術論ではなく、社会全体の仕組みとして考えたい方にとって、森田教授の研究室は非常に魅力的な環境と言えるでしょう。

サステナブルファイナンス、国際環境政策、気候変動対策、開発と環境の関係に関心がある方は、ぜひ森田教授の研究内容や関連する国際レポートに触れ、自分自身の研究テーマとの接点を探してみてください。


※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。研究内容や担当科目、入試制度等は変更される可能性があります。出願を検討される際は、必ず慶應義塾大学大学院の公式サイトをご確認ください。

志樹舎 では、大学院入試の各種対策に特化した専門性の高いサポートを行っています。
院試受験でお困りの方は、 無料相談 にお気軽にお申し込みください。


※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。