心理学で組織と人間を科学する!林洋一郎教授が解き明かす「モチベーションとダイバーシティ」の真髄
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今回のテーマは「【特別編⑭】心理学で組織と人間を科学する!林洋一郎教授が解き明かす『モチベーションとダイバーシティ』の真髄」です。
慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)への進学を目指す皆さんを応援する教員紹介シリーズ。今回は、産業・組織心理学、組織行動、社会心理学を専門とする林洋一郎教授をご紹介します。
経営を考えるうえで、戦略や財務、マーケティング、データ分析はもちろん重要です。しかし、最終的に組織を動かすのは人です。
どれほど優れた制度を作っても、働く人が納得していなければ機能しません。どれほど立派な戦略を掲げても、社員の意欲が伴わなければ実行にはつながりません。
林教授の研究は、こうした人間の心と行動を、心理学の方法で科学的に解き明かそうとするものです。
心理学から経営を見つめる研究者
林洋一郎教授は、慶應義塾大学文学部人間関係学科人間科学専攻を卒業後、東北大学大学院文学研究科で心理学を中心に研究を深められました。
その後、博士(文学)の学位を取得し、名古屋商科大学や法政大学で教育・研究に携わった後、KBSに着任されています。
経営学や経済学ではなく、心理学を基盤として組織や人間行動を研究している点が、林教授の大きな特徴です。
企業経営では、数字や制度だけでは説明できないことが数多く起こります。
なぜ人は不公平感を持つのか。
なぜ同じ制度でも、受け止め方が人によって違うのか。
なぜ多様な人材が集まると、創造性が高まる一方で対立も生まれるのか。
こうした問いに対して、心理学は非常に有効な視点を与えてくれます。
産業・組織心理学とは何か
林教授の専門である産業・組織心理学は、働く人の心理や行動を研究する分野です。
職場におけるモチベーション、リーダーシップ、人事評価、組織文化、チームワーク、ストレス、キャリア形成など、企業活動に直結するテーマを扱います。
例えば、社員が仕事に意欲を持つには何が必要なのか。
上司のフィードバックは、どのような伝え方なら前向きに受け止められるのか。
組織内の公正感は、社員の行動にどのような影響を与えるのか。
こうしたテーマは、経営者やマネージャーにとって非常に実践的です。
林教授は、実験や調査などの心理学的な方法を用いて、これらの問題を実証的に研究しています。
感覚や経験だけではなく、データと理論に基づいて人間行動を理解しようとする点が大きな魅力です。
ダイバーシティの光と影を見つめる
近年、多くの企業でダイバーシティ&インクルージョンが重視されています。
性別、年齢、国籍、価値観、働き方など、多様な人材が活躍できる組織を作ることは、現代の経営において重要な課題です。
ただし、ダイバーシティは良いことばかりではありません。
多様な人材が集まることで新しい発想が生まれる一方、価値観の違いやコミュニケーションのずれによって対立が起きることもあります。
組織内に見えない分断が生まれる場合もあります。
林教授は、組織の公正、フォールトライン、インクルージョンといった観点から、ダイバーシティ・マネジメントの二面性に取り組んでいます。
理想論として多様性を語るのではなく、実際の組織で何が起きるのかを冷静に分析する姿勢は、リーダーにとって非常に重要です。
モチベーションを生み出す「フィット」と「公正」
林教授が取り組むもう一つの重要なテーマが、モチベーションのメカニズムです。
人はどのような時にやる気を感じるのでしょうか。
報酬を上げれば必ず意欲が高まるのでしょうか。
評価制度を整えれば、すべての人が納得して働けるのでしょうか。
実際には、モチベーションはそれほど単純ではありません。
同じ報酬や評価でも、人によって受け止め方は異なります。
林教授は、ディスクレパンシー、つまり理想と現実のずれや、フィット、つまり人と環境の適合といった概念に注目しながら、働く人の意欲を研究しています。
また、公正感も重要なテーマです。
人は、報酬の金額だけでなく、その決まり方や評価の過程が公正かどうかを重視します。
組織への信頼やモチベーションを高めるためには、制度の内容だけでなく、本人がそれをどう受け止めるかまで考える必要があります。
伝え方が人の行動を変える
林教授の研究には、メッセージ・フレーミングや制御適合といったテーマもあります。
これは、同じ内容でも伝え方によって人の受け止め方や行動が変わるという考え方です。
例えば、「失敗しないためにこの行動をしよう」と伝える場合と、「成長するためにこの行動をしよう」と伝える場合では、相手の反応が変わることがあります。
また、人によって、リスクを避けたいタイプもいれば、成果を追求したいタイプもいます。
相手の心理状態や価値観に合った伝え方をすることで、メッセージの効果は大きく変わります。
これは、リーダーシップや組織内コミュニケーションに直結する知見です。
人を動かすためには、正しいことを言うだけでは不十分です。
相手がどう受け止めるかを理解したうえで伝える力が求められます。
KBSで学ぶ人間理解に基づくマネジメント
KBSでは、林教授が「組織と人間行動」や「人材・プログラムアセスメント」などを担当されています。
これらの授業では、組織の中で人がどのように考え、感じ、行動するのかを学ぶことができます。
MBAやEMBAで学ぶ学生にとって、人間理解は非常に重要です。
将来、経営者やマネージャーとして組織を率いる立場になれば、多様な価値観を持つ人々と向き合うことになります。
その時に、制度やルールだけで人を動かそうとしても限界があります。
人が何に納得し、何に不満を持ち、どのような時に力を発揮するのかを理解することが、リーダーには欠かせません。
林教授の授業は、そのための心理学的な視点を与えてくれます。
まとめ
今回は、産業・組織心理学を専門とする林洋一郎教授をご紹介しました。
林教授の研究は、働く人のモチベーション、ダイバーシティ、組織の公正、メッセージの伝え方など、現代の経営に欠かせないテーマを扱っています。
どれほど優れた戦略や制度も、人の心を無視しては機能しません。
組織を動かすためには、人間の感情や行動の仕組みを理解することが必要です。
KBSには、こうした人間理解に基づくマネジメントを学べる環境があります。
将来、多様な人材を率いるリーダーを目指す方は、ぜひ林教授の研究や授業にも注目してみてください。
※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。教員の役職、研究内容、担当科目、カリキュラム等は変更される場合があります。最新情報については、必ず慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)公式サイトをご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。

