日米中を股にかけ、3つの博士号を持つ!劉慶紅教授が説く「戦略的利他主義」と統合戦略の真髄

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今回のテーマは「日米中を股にかけ、3つの博士号を持つ!劉慶紅教授が説く『戦略的利他主義』と統合戦略の真髄」です。

慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)への進学を目指す皆さんを応援する教員紹介シリーズ。今回は、経営戦略論、統合戦略、経営哲学、企業倫理を専門とする劉慶紅教授をご紹介します。

ビジネスの世界では、利益を出すことが重要です。企業が存続し、雇用を守り、新しい価値を生み出していくためには、収益を上げる力が欠かせません。

一方で、利益だけを追い求める経営は、社会からの信頼を失う危険もあります。企業倫理、社会的責任、ステークホルダーとの関係を無視した経営は、長期的には企業価値を損なうことがあります。

では、企業は利益追求と倫理をどのように両立させればよいのでしょうか。

劉教授の研究は、この難しい問いに、経営戦略、哲学、企業倫理を横断しながら向き合うものです。

日米中を横断する圧倒的なキャリア

劉慶紅教授は、中国の大連理工大学を卒業後、アメリカのコロンビア大学で修士号を取得されています。

さらに、早稲田大学で公共経営学、北京大学で教育学、清華大学で哲学を学び、3つの博士号を取得されています。

経営学だけでなく、教育学や哲学にも深く通じている点が、劉教授の大きな特徴です。

また、大学教員になる前には、日本電気株式会社や新日鉄ソリューションズ株式会社、現在の日鉄ソリューションズ株式会社で勤務し、海外事業推進を担当されました。

海外現地法人の上級管理職としての経験もあり、グローバルビジネスの実務を肌で知る研究者です。

その後、立命館大学で教授を務め、スタンフォード大学アジア太平洋研究センターでの客員研究員や、中国の大学での客員教授なども歴任されています。

日米中の学術と実務を横断してきた経験は、KBSで学ぶ学生にとって非常に大きな刺激になるはずです。

統合戦略とは何か

劉教授の専門である統合戦略とは、市場で競争に勝つための戦略と、企業倫理や社会的責任といった非市場の戦略を結びつけて考えるものです。

企業は、商品やサービスを提供し、競合と戦い、顧客から選ばれる必要があります。

これが市場戦略です。

しかし、企業は市場の中だけで生きているわけではありません。

行政、地域社会、従業員、取引先、株主、環境、国際社会など、多くのステークホルダーと関わりながら存在しています。

企業倫理、社会的責任、組織の公正さ、社会からの信頼といった要素も、経営に大きな影響を与えます。

これが非市場戦略の領域です。

劉教授の研究は、この市場戦略と非市場戦略を切り離さず、統合して考えることの重要性を示しています。

企業倫理は「きれいごと」ではない

企業倫理という言葉を聞くと、理想論や道徳の話だと感じる方もいるかもしれません。

しかし、現代の企業経営において、倫理は決してきれいごとではありません。

不祥事やハラスメント、情報漏えい、環境破壊、人権問題などが起これば、企業は一瞬で社会からの信頼を失います。

逆に、倫理的な風土を持ち、社会から信頼される企業は、従業員のコミットメントや顧客からの支持を得やすくなります。

劉教授は、組織の倫理的風土が、社員の組織コミットメントや職務成果にどのような影響を与えるのかについても研究されています。

つまり、倫理は単なる理念ではなく、組織のパフォーマンスや企業価値に関わる経営上の重要な要素なのです。

稲盛和夫氏の経営哲学と戦略的利他主義

劉教授の研究で特に特徴的なのが、稲盛和夫氏の経営哲学に注目している点です。

稲盛氏は、京セラやKDDIの創業者として知られ、「利他の心」を重視した経営哲学を説いてきました。

利他とは、自分だけの利益を追うのではなく、他者や社会のためを考える姿勢です。

一見すると、ビジネスにおける競争や利益追求とは相反するように見えるかもしれません。

しかし、劉教授は、この利他の考え方を単なる精神論としてではなく、経営倫理や統合戦略の重要な基盤として研究されています。

他者を尊重し、社会に貢献する姿勢が、長期的には企業の信頼や持続的成長につながる。

この考え方を、劉教授は戦略的利他主義として体系的に捉えようとしています。

哲学と経営を結びつける意義

経営の意思決定では、数字だけでは答えが出ない場面が多くあります。

短期的な利益を取るのか、長期的な信頼を取るのか。

自社の利益を優先するのか、取引先や社会全体への影響も考えるのか。

効率を追求するのか、人の尊厳や働きがいを守るのか。

こうした問いに向き合う時、必要になるのが経営者自身の哲学です。

劉教授は、経営戦略論だけでなく、哲学や企業倫理の視点から、経営者がどのような価値観を持つべきかを考えています。

これは、将来経営トップやリーダーを目指す人にとって非常に重要な学びです。

優れた管理者になるだけでなく、社会から信頼されるリーダーになるためには、自分なりの経営哲学を持つ必要があります。

KBSで学ぶ実務と哲学の融合

KBSでは、劉教授が「総合経営」や「戦略コンサルティング」などを担当されています。

これらの科目では、企業の戦略を考えるだけでなく、その戦略が社会や組織、人間にどのような影響を与えるのかまで深く考えることができます。

MBAやEMBAで学ぶ学生は、将来、複雑で正解のない意思決定に向き合うことになります。

その時に必要なのは、分析力だけではありません。

何を大切にし、どのような価値を社会に提供するのかを考える力です。

劉教授の授業では、実務経験に基づくリアルな経営感覚と、哲学・倫理に基づく深い思考を結びつけながら学ぶことができます。

これは、KBSでしか得られない貴重な学びの一つと言えるでしょう。

グローバルリーダーに必要な統合的視点

グローバルに事業を展開する企業では、国や地域によって価値観、制度、文化、倫理観が異なります。

ある国では当然とされる商習慣が、別の国では受け入れられないこともあります。

そのため、グローバルリーダーには、単に海外市場で競争する力だけでなく、多様な文化や倫理観を理解し、調整する力が求められます。

劉教授のように、日米中を横断し、実務と学術の両面で経験を積んできた教員から学ぶことは、グローバルな視座を養ううえで大きな意味があります。

市場で勝つ力と、社会から信頼される力。

この両方を統合して考えることが、これからのグローバル経営には欠かせません。

まとめ

今回は、経営戦略論、統合戦略、経営哲学、企業倫理を専門とする劉慶紅教授をご紹介しました。

劉教授は、日米中を横断する学術・実務経験と、3つの博士号に裏付けられた深い知見をもとに、市場戦略と非市場戦略を統合する経営のあり方を探求されています。

稲盛和夫氏の経営哲学や戦略的利他主義への研究は、利益追求と社会的責任をどのように両立させるかを考えるうえで、大きな示唆を与えてくれます。

これからのリーダーには、数字を読む力だけでなく、倫理や哲学を持って意思決定する力が求められます。

KBSには、そのような深い経営観を磨ける環境があります。

将来、グローバル企業の経営、戦略コンサルティング、企業倫理、サステナビリティ経営に関わりたい方は、ぜひ劉教授の研究や授業にも注目してみてください。


※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。教員の役職、研究内容、担当科目、カリキュラム等は変更される場合があります。最新情報については、必ず慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)公式サイトをご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。