KMDに向いている人・向いていない人の特徴|受験前に確認したいポイント

院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「KMDに向いている人・向いていない人の特徴|受験前に確認したいポイント」です。

ここまでの記事では、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科、通称KMDが掲げる理念や、多分野を横断して学ぶことの重要性などについて解説してきました。

KMDに魅力を感じる一方で、「自分はKMDに向いているのだろうか」「エンジニアやデザイナーではないけれど大丈夫?」「一般的な大学院とはかなり違うのでは?」と気になっている方もいるでしょう。

KMDは、専門分野を深く研究するだけではなく、異なる専門性を持つ人と協働しながら、アイデアを実際に形にしていくことを重視する大学院です。そのため、大学名や研究テーマだけではなく、自分自身の学び方とKMDの環境が合っているかを考えることも大切です。

今回は、KMDの教育や研究の特徴を踏まえながら、どのような人がKMDに向いているのか、反対にどのような人は入学後に戸惑いやすいのかを整理していきます。


正解のない問いを楽しめる人

KMDに向いている人の特徴として、まず挙げられるのが「正解のない問い」に向き合うことを楽しめる人です。

学校の試験では、問題に対して正しい答えが用意されていることが一般的です。しかし、社会に存在する課題には、ひとつの正解があるとは限りません。新しいサービスや体験を生み出そうとすれば、「そもそも何が問題なのか」というところから自分で考える必要があります。

KMDでは、リアルプロジェクトなどを通じて、実社会と関わりながら研究や実践を進めていきます。その中では、最初に考えたアイデアがうまくいかなかったり、調査を進めるうちに当初とは違う課題が見えてきたりすることもあるでしょう。

そのような変化を失敗と捉えるのではなく、「では次に何を試そうか」と考えられる人は、KMDの学びと相性が良いと考えられます。


まず行動して試してみることができる人

KMDでは、頭の中で考えることと同時に、実際に行動して確かめる姿勢も重要になります。

完璧な企画を完成させてから動き出すのではなく、まず試作品をつくってみる、利用者に話を聞いてみる、現場へ足を運んでみる。その結果から新しい課題を発見し、改善していくという進め方です。

「まだ準備が十分ではないから動けない」と考えるよりも、「まず小さく試して、そこから考えよう」と行動できる人は、実践を重視するKMDの環境を活かしやすいでしょう。

もちろん、考えずに行動すればよいという意味ではありません。仮説を持って行動し、結果を振り返り、次の行動につなげることが大切です。


異なる専門性を持つ人との対話を楽しめる人

KMDには、テクノロジー、デザイン、ビジネス、社会など、さまざまな領域に関心を持つ人が集まります。国籍や文化的背景についても、多様な学生と関わる機会があります。

そのため、「自分と考え方が違う人と話すのが面白い」と感じられる人は、KMDの環境を活かしやすいでしょう。

たとえば、エンジニアが技術的には最適だと考えた方法について、デザインの視点から別の意見が出ることがあります。ビジネスとして成立すると考えたアイデアに対して、利用者や社会の視点から問題を指摘されることもあるでしょう。

そこで「自分の意見を否定された」と考えるのではなく、「自分にはなかった視点が見つかった」と捉えられる柔軟性が、多分野横断の学びでは重要になります。


自分の専門性を持ちながら他分野にも興味を持てる人

KMDでは、ひとつの専門性を持っていることが問題になるわけではありません。むしろ、自分がこれまで積み上げてきた知識や経験は、新しいものを生み出すための重要な土台になります。

ただし、「自分はエンジニアだから技術以外は関係ない」「デザインが専門だからビジネスについて考える必要はない」というように、自分の専門領域だけに閉じてしまうと、KMDの環境を十分に活かせない可能性があります。

自分の専門性を大切にしながら、「この問題を解決するためには別の分野についても知る必要がある」と考えられる人は、KMDで学びを広げやすいでしょう。


明確な正解や指示を求めすぎる人は戸惑う可能性も

反対に、KMDでの学びに戸惑いやすいのは、常に明確な正解や細かな指示を求める人です。

「先生に言われたことを正確にこなせばよい」「課題の正解を教えてほしい」という学び方に慣れている場合、自分で問いを考え、試行錯誤する環境を負担に感じる可能性があります。

研究では、「この方法で本当に良いのか」「そもそも研究テーマ自体を見直したほうが良いのではないか」と迷うことも珍しくありません。そこで答えが与えられるまで待つのではなく、自分なりに考えて次の一歩を決める姿勢が必要です。


一人だけで完結したい人も注意が必要

一人で集中して考えたり作業したりすること自体は、決して悪いことではありません。大学院では個人の研究に向き合う時間も必要です。

ただし、KMDではリアルプロジェクトをはじめ、他者と協働しながら進める活動も重要な位置を占めています。そのため、「できるだけ人と関わらず、自分一人で研究だけを進めたい」という希望が強い場合には、自分が求める大学院生活とKMDの環境が合っているかを慎重に確認したほうがよいでしょう。

特にチーム活動では、自分とは異なる意見を持つ人との調整や、スケジュール管理、役割分担なども必要になります。研究内容だけではなく、こうした協働の過程そのものも学びの一部と考えることが大切です。


自分がKMDに向いているか確認する方法

KMDへの適性を考えるときは、「自分は創造的な人間か」と漠然と考えるよりも、これまでの経験を具体的に振り返ってみることをおすすめします。

たとえば、答えが決まっていない課題に取り組んだ経験はあるか、自分から新しい提案をしたことはあるか、異なる立場の人と一緒に何かをつくった経験はあるか、失敗したときに方法を変えてもう一度挑戦したことはあるか、といった視点で考えてみましょう。

仕事だけでなく、大学での研究、サークル、アルバイト、インターンシップ、趣味なども振り返って構いません。自分がどのような場面を楽しいと感じ、反対にどのような環境を苦手としてきたのかを整理すると、KMDとの相性も見えてきます。


今できなくても「これから伸ばしたい」なら問題ない

ここまで紹介した特徴を読んで、「自分には当てはまらない部分がある」と不安になった方もいるかもしれません。しかし、すべての特徴を最初から備えている必要があるわけではありません。

むしろ重要なのは、自分の現在地を理解していることです。「技術力には自信があるが、異なる分野の人と協働した経験が少ない」「企画を考えることは好きだが、実際に形にする経験が不足している」と整理できれば、それ自体がKMDで学びたい理由につながります。

志望理由書や面接でも、自分を必要以上に万能な人物として見せようとするより、これまで培ってきた強みと、KMDで新たに身につけたい力を具体的に説明できるほうが、自分らしい志望理由をつくりやすくなります。


まとめ

KMDに向いているのは、正解のない問いを楽しみ、考えるだけではなく行動し、異なる専門性や価値観を持つ人との対話から新しいものを生み出そうとする人です。また、自分の専門性を大切にしながら、必要に応じて他分野へ学びを広げられる柔軟性も重要になります。

一方で、常に明確な正解や指示を求めたい人、一人だけで研究を完結させたい人、自分の専門分野以外にはあまり関心を持てない人は、KMDの学習環境に戸惑う可能性があります。

ただし、「向いている・向いていない」を単純に二つに分ける必要はありません。大切なのは、自分の強みと課題を理解したうえで、「なぜKMDという環境で学びたいのか」を考えることです。これまでの経験を丁寧に振り返ることが、KMDとの相性を確認すると同時に、志望理由書や面接で自分らしさを伝えるための第一歩になります。


※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。KMDの教育方針、カリキュラム、リアルプロジェクト、入試制度、募集要項などは年度によって変更される場合があります。受験を検討される際は、必ず慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイトおよび最新の募集要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。