英語が苦手でもKMD受験は可能?英語化で求められる力と対策

院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「英語が苦手でもKMD受験は可能?英語化で求められる力と対策」です。

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科、通称KMDの受験を考えている方の中には、「英語が苦手だから、自分には難しいのではないか」と不安を感じている方もいるでしょう。特に2026年度から、KMDでは4月入学・9月入学ともに英語による入試が実施され、授業についても英語での開講が原則となりました。英語に自信のない受験生にとっては、かなり大きな変化に感じられるかもしれません。

ただし、「ネイティブのように流暢な英語を話せなければ受験できない」という意味ではありません。一方で、「英語が苦手でもまったく問題ない」と考えるのも危険です。KMDが公式に求めている英語力を正しく理解し、自分の研究や志望理由を英語で伝えられる状態を目指して準備することが大切です。


KMDでは2026年度から入試・授業が英語化

KMDは2026年度から、4月入学と9月入学の使用言語を英語に一本化しています。入試についても英語で実施され、授業は英語での開講を原則としています。また、英語運用能力についてはCEFR B2レベルが求められています。

つまり、以前のように「英語に不安があるから日本語中心の入学時期を選ぶ」という考え方はできなくなっています。2027年度入学を目指すのであれば、英語を避けて受験するのではなく、英語を使うことを前提として準備を始める必要があります。

ただし、研究活動や学位論文の執筆については、日本語で行うことも可能とされています。入試から修了まで何もかも英語のみというわけではない点も、正しく理解しておきましょう。


英語力だけで合否が決まるわけではない

KMDの募集要項を見ると、選考では英語コミュニケーション力も評価対象となっています。その一方で、研究への意欲、研究能力、論理的・批判的に考える力、知的好奇心、多様性を尊重して他者と協働する力、自分自身を表現する力など、さまざまな観点から総合的に評価されます。

そのため、英語だけが突出して上手であれば合格できるという入試ではありません。反対に、研究テーマや志望理由が十分に整理されていなければ、英語を流暢に話せても自分の魅力を十分に伝えることは難しいでしょう。

KMD受験で大切なのは、「英語を上手に見せること」ではなく、自分が何を問題だと考え、なぜその研究をしたいのか、そしてなぜKMDで取り組みたいのかを、英語でも相手に伝えられるようにすることです。


英語試験には出願最低点が設定されていない

KMDへの出願では、指定された英語能力試験のスコア提出が求められます。公式FAQでは、TOEFL、IELTS Academic、PTE Academicが対象とされており、TOEICは認められていません。

注目したいのは、KMDが出願にあたって英語試験の最低スコアを設定していないことです。

もちろん、これは「英語力が低くても大丈夫」という意味ではありません。KMDはCEFR B2レベルの英語運用能力を求めており、二次選考の口頭試問も英語で行われます。英語コミュニケーション力も総合評価の対象です。

一方で、英語試験の数字だけで受験資格が一律に切られる制度ではないことは、英語に苦手意識を持つ受験生にとって知っておきたいポイントでしょう。


難しい英語より「自分の研究を説明できる英語」

英語が苦手な方ほど、面接対策を始めると難しい単語や長い英文を覚えようとしてしまうことがあります。しかし、実際の面接では暗記した文章を発表するだけではなく、面接官から質問を受け、その場で答える必要があります。

そのため、最初から高度な表現を目指すよりも、まずは簡単な英語で自分の考えを説明できるようにするほうが実践的です。

たとえば、「なぜこの研究テーマに興味を持ったのか」「現在どのような問題があると考えているのか」「KMDで何をしたいのか」「研究によって誰にどのような価値を届けたいのか」といった基本的な内容を、自分の言葉で説明できる状態を目指しましょう。

難しい表現を使って途中で言葉に詰まるよりも、シンプルな文章を組み合わせながら論理的に説明できるほうが、相手にも内容が伝わりやすくなります。


聞き返す練習も面接対策のひとつ

英語面接で意外と重要なのが、質問を聞き取れなかったときの対応です。

本番では緊張もありますし、面接官によって話す速度やアクセントも異なります。一度で質問を完全に理解できないこともあるでしょう。そのときに、分からないまま推測して回答してしまうと、質問と回答がかみ合わなくなる可能性があります。

そのため、聞き取れなかった場合にもう一度質問してもらう表現や、質問の意味を確認する表現についても練習しておくと安心です。

面接練習では、自分が用意した回答を暗唱するだけではなく、予想していなかった質問に対して短時間で考え、英語で返答する練習を取り入れることが大切です。


英語より先に日本語で研究内容を整理する

英語が苦手な受験生に特におすすめしたいのが、いきなり英語で回答をつくろうとしないことです。

まず日本語で、「自分は何を研究したいのか」「なぜそれが問題なのか」「なぜKMDなのか」を整理します。日本語でもうまく説明できない内容を、英語にした途端に分かりやすく説明できるようになることはありません。

日本語で研究内容を短く分かりやすく説明できるようになったら、それを簡単な英語に置き換えます。そのうえで、実際に声に出して何度も練習し、回答を少しずつ自分の言葉にしていきましょう。

志樹舎で面接対策を行う際にも、単純な英訳だけではなく、「質問に対して答えになっているか」「研究の魅力が伝わっているか」「なぜKMDなのかが明確か」という内容面まで含めて確認することが重要です。


英語が苦手だからといって早い段階で諦めない

KMDが英語化されたことで、英語に苦手意識を持つ方にとって受験準備の負担が増えたことは確かです。しかし、「英語が苦手だからKMDは受験できない」と、研究内容を検討する前から諦めてしまう必要はありません。

大切なのは、自分の現在の英語力を客観的に把握し、必要な準備期間を確保することです。英語試験への対策と面接対策は別物として考え、自分の研究テーマについて話すために必要な語彙や表現を少しずつ増やしていきましょう。

特に社会人受験生の場合、仕事で専門的な経験を積んでいても、それを英語で説明した経験がほとんどないことがあります。早い段階から英語で話す練習を始めておけば、本番までに大きく改善できる可能性があります。


まとめ

KMDでは2026年度から、4月入学・9月入学ともに英語による入試が実施され、授業についても英語での開講が原則となっています。そのため、2027年度入学を目指す受験生に英語対策は欠かせません。

一方で、KMDの選考は英語力だけで決まるものではありません。研究への意欲や論理的思考、知的好奇心、他者と協働する力、志望理由、リアルプロジェクトへの貢献可能性なども含めて総合的に評価されます。

英語が苦手な方は、ネイティブのような表現を目指すことから始めるのではなく、「自分の研究テーマとKMDを志望する理由を、シンプルな英語で相手に伝える」というところから準備してみてください。研究内容を磨き、その内容を英語でも説明できるよう練習を積み重ねることが、KMDの英語面接対策の第一歩です。


※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。KMDの使用言語、必要とされる英語力、提出可能な英語能力試験、選考方法、評価基準、募集要項などは年度や入試期によって変更される場合があります。受験を検討される際は、必ず慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイトおよび最新の募集要項をご確認ください。

志樹舎 では、大学院入試の各種対策に特化した専門性の高いサポートを行っています。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。