KMDのStatement of Purpose(SoP/志望理由書)を英語で書くには?基本構成と作成のコツ

院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「KMDのStatement of Purpose(SoP/志望理由書)を英語で書くには?基本構成と作成のコツ」です。

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科、通称KMDへの出願を考える際、特に時間をかけて準備したい書類のひとつがStatement of Purpose、いわゆるSoPです。

英語で文章を書くことに慣れていない方にとっては、「英語力が高くないと評価されないのではないか」「難しい英単語を使ったほうがよいのではないか」と不安になるかもしれません。

しかし、SoPで大切なのは、英語を難しく見せることではありません。なぜKMDを志望するのか、これまで何をしてきたのか、KMDで何に取り組みたいのかという内容を、読み手が理解できる形で論理的に伝えることが重要です。

今回は、KMDを志望する方に向けて、英語でSoPを作成する際の基本的な考え方と、文章をまとめるためのポイントを解説します。


Statement of Purposeとは何を書く書類なのか

Statement of Purposeを直訳すると「目的についての声明」となりますが、大学院入試では、志願者がなぜその大学院で学びたいのかを説明する重要な出願書類です。

単なる自己紹介や経歴紹介ではありません。「私は大学で○○を学びました」「現在は○○という仕事をしています」という情報だけを並べても、なぜKMDへ進学する必要があるのかは伝わりません。

これまでの経験を通してどのような問題意識を持つようになったのか、その問題についてKMDで何を学び、どのような研究や活動に取り組みたいのか、さらにその先にどのような将来像を描いているのかまで、一貫した流れで説明することが重要です。

つまりSoPでは、「過去」「現在」「KMD」「未来」を一本の線でつなぐことを意識すると、内容を整理しやすくなります。


最初に「なぜこのテーマなのか」を明確にする

SoPを書き始める前に整理したいのが、自分の問題意識です。

なぜその研究テーマや社会課題に関心を持つようになったのでしょうか。大学で学んだことがきっかけなのか、仕事で経験した課題なのか、自分自身の生活の中で感じた疑問なのか。出発点となる経験を具体的に振り返ってみましょう。

たとえば、「教育に興味があります」と書くだけでは、なぜその人が教育を研究したいのかが分かりません。一方で、「企業で新人教育を担当する中で、同じ研修を受けても理解度に大きな差が生じることに疑問を持った」と書けば、問題意識が生まれた背景が見えてきます。

特別に華やかな経験である必要はありません。重要なのは、自分の経験からどのような問いを持つようになったのかを説明できることです。


これまでの経験は「実績」だけを書かない

次に、自分の学業や仕事、プロジェクトなどの経験を整理します。

ここで注意したいのは、履歴書のように経歴を並べるだけにならないことです。SoPで読み手が知りたいのは、どこに所属していたかだけではなく、その経験を通じて何を考えるようになったのかという部分です。

たとえば、企業で新規サービスの立ち上げを経験したのであれば、「新規サービスを立ち上げました」で終わらせるのではなく、その過程でどのような課題を発見したのか、自分がどのような役割を担当したのか、何がうまくいかなかったのかまで振り返ります。

成功体験だけを書く必要もありません。むしろ、うまくいかなかった経験から問題意識が生まれ、それがKMDで取り組みたいテーマにつながっているのであれば、十分に意味のある材料になります。


「なぜKMDなのか」を具体的に書く

SoPの中でも特に重要なのが、「なぜ他の大学院ではなくKMDなのか」という部分です。

「慶應義塾大学だから」「有名な大学院だから」「幅広い分野を学べるから」といった理由だけでは、KMDを選ぶ必然性は十分に伝わりません。

KMDが掲げるメディア・イノベータという考え方や、多様な専門性を横断する教育環境、リアルプロジェクトなどについて調べ、自分の研究テーマや将来像とどこでつながるのかを考えてみましょう。

さらに、自分の関心に近い教員の研究分野やプロジェクトについて調べることも有効です。ただし、教員名やプロジェクト名を並べるだけでは意味がありません。「この研究が行われているから、自分の問題意識をこのような方向へ発展させたい」というところまで説明することが大切です。


KMDで何をしたいのかを具体化する

志望理由を説明したら、次は入学後に取り組みたい内容を具体的にしていきます。

ここでは、壮大な夢だけを書くのではなく、「何を対象として」「どのような問題を明らかにし」「どのような方法で取り組みたいのか」を整理してみましょう。

KMDでは、テクノロジー、デザイン、ビジネス、社会など、複数の視点を組み合わせながら新しい価値を生み出していくことが重視されています。そのため、自分がこれまで持ってきた専門性だけで完結させるのではなく、KMDの環境でどのような視点を取り入れたいのかまで考えられると、志望理由とのつながりが明確になります。

また、「KMDで勉強したい」だけでは受け身の印象になります。自分がこれまで培ってきた経験や専門性を、KMDのコミュニティにどう持ち込みたいのかという視点も意識してみてください。


修了後のビジョンまでつなげる

SoPの最後では、KMDでの学びを修了後にどう活かしていきたいのかを示します。

将来の職業を完全に決めておく必要はありません。ただし、「KMDで学ぶこと」が最終目的になってしまうと、志望理由としては弱くなります。

研究成果を事業につなげたいのか、現在働いている業界の課題解決に活かしたいのか、新しいサービスを生み出したいのか、研究をさらに発展させたいのか。自分なりの方向性を示しましょう。

過去の経験から生まれた問題意識があり、その問題をKMDで研究し、修了後に社会へ還元する。この流れが自然につながれば、SoP全体に一貫性が生まれます。


英語は難しく書くより「伝わること」を優先する

英語でSoPを書く際、難しい単語や長い文章を使ったほうが評価されると考えてしまう方がいます。しかし、無理に複雑な表現を使うと、かえって言いたいことが分かりにくくなることがあります。

まず日本語で自分の考えを十分に整理し、その内容をシンプルで正確な英語へ落とし込んでいく方法も有効です。

一文を必要以上に長くせず、「誰が」「何をしたのか」「なぜそう考えたのか」が分かる文章を意識しましょう。また、「I am passionate about...」といった抽象的な表現だけに頼るのではなく、その熱意を裏付ける具体的な経験を書くことが重要です。

英語表現の華やかさより、読み手が内容を迷わず理解できることを優先してください。


SoP全体を一本のストーリーにする

SoPを書き終えたら、各段落を個別に添削するだけでなく、最初から最後まで通して読み返してみましょう。

「これまでの経験」「問題意識」「KMDを選ぶ理由」「KMDで取り組みたいこと」「修了後のビジョン」が自然につながっているかを確認します。

よくあるのが、それぞれの段落はきれいに書けているものの、研究テーマと過去の経験がつながっていないケースです。また、KMDへの志望理由だけが突然登場し、なぜKMDである必要があるのか分からないこともあります。

第三者に読んでもらい、「この人がなぜKMDを受験するのか理解できたか」を確認してもらうことも有効です。自分では当たり前だと思って省略している情報が、読み手にとっては重要な場合があります。


まとめ

KMDのStatement of Purposeを作成する際に重要なのは、難しい英語を書くことではなく、自分の経験と問題意識、KMDで取り組みたいこと、修了後のビジョンを一貫した流れで伝えることです。

まず「なぜこのテーマに関心を持ったのか」を自分の経験から掘り下げ、その問題に取り組むためになぜKMDが必要なのかを考えてみましょう。そして、KMDでの学びが自分の将来にどうつながっていくのかまで整理します。

SoPは、一度書いて完成する書類ではありません。内容を何度も読み直し、不要な部分を削り、足りない説明を補いながら少しずつ完成度を高めていくことが大切です。英語表現だけを整えるのではなく、まずは「自分がKMDで何を実現したいのか」を自分自身の言葉で明確にするところから始めてみてください。


※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。KMDのStatement of Purposeを含む出願書類の名称、提出方法、記載内容、文字数・語数などの指定は年度や入試期によって変更される場合があります。出願の際は、必ず慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイトおよび最新の募集要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。