
KMD「Creative Challenge」の書き方|独創的なアイデアを英語で伝える方法
院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「KMD『Creative Challenge』の書き方|独創的なアイデアを英語で伝える方法」です。
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科、通称KMDの出願書類の中でも、多くの受験生が難しいと感じやすいのが「Creative Challenge」です。
Statement of Purposeでは、これまでの経験やKMDを志望する理由、今後取り組みたい研究などを論理的に伝えることが中心になります。一方、Creative Challengeでは、それとは少し異なる角度から、自分自身の発想力や創造性をどのように表現するかが重要になります。
「誰も考えたことがないようなアイデアを出さなければならないのではないか」「英語で創造性を表現するのは難しそう」と不安になる方もいるでしょう。しかし、最初から奇抜さだけを追い求める必要はありません。今回は、Creative Challengeに取り組む際の考え方と、アイデアを英語で分かりやすく伝えるためのポイントを解説します。
Creative Challengeで大切なのは「自分なりの視点」
Creative Challengeを考える際にまず意識したいのは、「目立つアイデアを出すこと」と「独自性のあるアイデアを出すこと」は同じではないということです。
奇抜なテーマや最新技術を取り上げれば、それだけで創造的になるわけではありません。むしろ、自分自身がどのような問題に気づき、それをどのような視点で捉え直したのかという部分が重要です。
たとえば、日常生活の中で感じている小さな不便でも構いません。仕事の現場で「なぜこの作業は今でもこの方法なのだろう」と疑問を持った経験や、学校生活で「もっとこうなればよいのに」と感じたことなど、自分自身の実感から出発すると、他の人には書きにくい内容になります。
創造性というとゼロから何かを生み出すイメージがありますが、既存のものを別の視点から捉え直すことも、十分に創造的な行為です。
まずは身近な「違和感」を集める
アイデアがなかなか浮かばない場合は、いきなり解決策を考えるのではなく、自分が日頃感じている違和感を書き出してみましょう。
仕事、大学、趣味、家族との生活、移動、買い物、医療、教育、エンターテインメントなど、領域は問いません。「面倒だと感じていること」「もっと良くできそうなこと」「今の仕組みに疑問を感じること」を集めていきます。
その中から特に自分が強く関心を持てるテーマを選び、「なぜそれが問題なのか」「誰が困っているのか」「現在はどのような方法で対応されているのか」を考えてみてください。
問題を丁寧に観察できれば、そこから自然に新しいアイデアが生まれることがあります。最初からアイデアをひねり出すのではなく、まず問いを深くすることがCreative Challengeの第一歩です。
異なる分野を掛け合わせて考えてみる
KMDは、多分野を横断しながら新しい価値を生み出すことを重視しています。Creative Challengeを考える際にも、自分の専門分野だけで完結させず、別の分野との組み合わせを試してみると発想を広げやすくなります。
たとえば、教育とAI、医療とゲーム、地域課題とデザイン、スポーツとデータ分析など、異なる領域を掛け合わせることで、新しい体験や仕組みを考えることができます。
ただし、「AIを使えば新しい」「VRを使えばKMDらしい」と考えるのは避けたいところです。技術は目的ではなく、あくまで問題を解決するための手段です。
なぜその技術や方法が必要なのかまで説明できるかを確認しましょう。別の方法でも解決できるのであれば、その中でなぜ自分のアイデアを選ぶのかという理由も考える必要があります。
誰にどのような価値を届けたいのかを明確にする
アイデアを考えるときは、「何をつくるか」だけではなく、「誰のためにつくるのか」を具体的にすることも大切です。
対象を「人々」「社会」「高齢者」のように大きく設定すると、アイデアが抽象的になりやすくなります。たとえば高齢者を対象にするのであれば、どのような生活をしている人なのか、どの場面で困っているのかまで考えてみましょう。
対象となる人が具体的になると、必要な機能や体験も考えやすくなります。また、「このアイデアによって、その人の生活がどう変わるのか」まで説明できると、社会的な価値も伝わりやすくなります。
新しいものをつくること自体をゴールにせず、その結果として誰にどのような変化が生まれるのかを意識しましょう。
英語では難しい表現より構造を明確にする
Creative Challengeを英語でまとめる際、難しい単語や複雑な構文を使う必要はありません。むしろ、アイデア自体が新しいほど、説明する英語はシンプルにしたほうが伝わりやすくなります。
基本的には、「What is the problem?」「Who has this problem?」「What is your idea?」「How does it work?」「Why is it meaningful?」という順番で整理すると、読み手が理解しやすくなります。
たとえば最初に課題を示し、次に対象となる人を説明します。そのうえで自分のアイデアを提示し、どのように機能するのか、既存の方法と何が違うのか、どのような価値が生まれるのかを順番に書いていきます。
一文を長くしすぎず、主語と動詞が明確な英文を意識しましょう。英語として格好よく見せることより、読み手が一度読んで理解できることのほうが重要です。
図やスケッチが使える場合は視覚的に伝える
アイデアによっては、文章だけよりも図やスケッチを用いたほうが分かりやすい場合があります。
サービスの利用の流れ、プロダクトの形、ユーザーとシステムの関係などを簡単な図にすると、一目で理解してもらえることがあります。デザインが得意でなくても、情報の関係性が伝わるシンプルな図で十分です。
ただし、提出形式については必ずその年度の募集要項やTAO上の指示を確認してください。使用できるファイル形式や容量、ページ数などに指定がある場合は、そのルールを優先する必要があります。
アイデアの完成度だけにこだわらない
Creative Challengeでは、完成された事業計画や、すぐに製品化できるほど成熟したアイデアを出さなければならないと考える必要はありません。
それよりも、「なぜこの問題に注目したのか」「どのような考えからこのアイデアにたどり着いたのか」が伝わることが重要です。
最初に考えたアイデアから途中で方向転換した場合も、その変化には理由があります。利用者について調べた結果、当初想定していた問題とは別の課題が見えてきたのであれば、それ自体が重要な気づきです。
自分の思考がどう変化したのかを整理することで、単なる思いつきではなく、問題を考え続けた結果として生まれたアイデアであることが伝わりやすくなります。
Statement of Purposeとのつながりも確認する
Creative Challengeは独立した課題ですが、Statement of Purposeとまったく別人格のような内容になると、出願書類全体として一貫性が弱くなることがあります。
必ず同じテーマにする必要はありませんが、自分が普段どのような問題に関心を持ち、どのような考え方をする人なのかという部分には、ある程度共通性があると自然です。
たとえばSoPでは教育格差に関心があると書いているのに、Creative Challengeでは理由もなく突然まったく無関係なテーマを扱うと、「なぜこのテーマを選んだのだろう」と読み手が疑問を持つ可能性があります。
提出前にはSoPとCreative Challengeを並べて読み、「この二つから自分がどのような人物に見えるか」を確認してみることをおすすめします。
第三者に「説明なし」で見てもらう
Creative Challengeを書き終えたら、自分のアイデアを知らない第三者に読んでもらうことも効果的です。
その際、自分から補足説明をせず、「これを読んで何をするアイデアだと思ったか」「誰のためのものだと感じたか」を聞いてみましょう。
自分では分かりやすく説明しているつもりでも、前提知識を省略していたり、専門用語を使いすぎていたりすることがあります。説明しなくても内容が伝わる状態まで整理することで、提出物としての完成度も高まります。
まとめ
KMDのCreative Challengeに取り組む際は、奇抜なアイデアを無理に考えるのではなく、自分自身の経験や身近な違和感から問いを見つけることが重要です。
そこから異なる分野の知識や技術を組み合わせ、「誰のどのような問題を、どう変えたいのか」を具体的に考えていきましょう。
英語でまとめる際には、難しい表現よりも、問題、対象者、アイデア、仕組み、価値という流れが明確に伝わることを優先してください。また、可能な提出形式であれば、図やスケッチなどを使って視覚的に伝える方法もあります。
Creative Challengeは、自分のアイデアそのものだけではなく、自分がどのように社会や問題を見て、どのように新しい可能性を考える人なのかを伝える機会でもあります。時間をかけて何度も考え直し、自分らしい視点が伝わる内容へ仕上げていきましょう。
※本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。KMDのCreative Challengeの名称、課題内容、提出形式、使用言語、ページ数、ファイル形式、評価方法などは年度や入試期によって変更される場合があります。出願の際は、必ず慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイトおよび最新の募集要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


