慶應SDMの五百木誠准教授とは ― 人工衛星から社会システムまで、システムズエンジニアリングで"デザイン"を科学する

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今回のテーマは「慶應SDMの五百木誠准教授とは ― 人工衛星から社会システムまで、システムズエンジニアリングで"デザイン"を科学する」です。

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、いわゆる慶應SDMへの出願を考える際は、各教員の研究内容や考え方を理解し、自分の問題意識との接点を探すことが大切です。今回は、システムズエンジニアリングを軸に、人工衛星システム、高信頼度システム、社会システムなどを研究する五百木誠准教授について紹介します。これまでの実務経験と研究領域を整理しながら、研究テーマや事前コンタクトを考える際のポイントまで見ていきます。


宇宙分野での実務経験を持つ五百木誠准教授

五百木誠准教授は、三菱電機株式会社、一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構を経て、現在の研究活動につながるキャリアを築いてきました。企業や宇宙分野での実務経験を持つことは、五百木准教授の研究を理解するうえで重要なポイントです。

専門の中心にあるのはシステムズエンジニアリングです。具体的な研究対象としては、人工衛星システム、高信頼度システム、社会システムなどが挙げられ、さらにイノベーティブデザインも専門領域の一つとなっています。

人工衛星は、一度宇宙へ送り出すと地上の製品のように簡単に修理や交換を行うことができません。そのため、開発の段階からさまざまなリスクを想定し、必要な機能や条件を整理し、問題なく目的を果たせるかを繰り返し確認することが求められます。こうした宇宙分野で培われてきた考え方が、五百木准教授の研究の重要な土台になっています。

システムズエンジニアリングで高い信頼性を考える

システムズエンジニアリングという言葉から、機械や情報技術を扱う工学分野をイメージする方も多いかもしれません。しかし、五百木准教授の研究を考える際は、個々の技術だけではなく、複数の要素が関係するシステム全体を捉える視点に注目すると分かりやすくなります。

特に重要なのが、高い信頼性を求められるシステムをどのように実現するかという問題です。人工衛星に限らず、医療機器やインフラ、金融システムなど、社会には停止や不具合が大きな影響につながる仕組みが数多く存在します。こうした分野では、必要とされる条件を明確にすること、起こり得るリスクを評価すること、完成したものが求められた役割を果たせるか確認することなど、一連の過程を体系的に考える必要があります。

実務の中で品質保証やリスク管理に携わってきた方にとっては、自分が経験的に行ってきた業務を、システムズエンジニアリングという視点から改めて整理することが、研究テーマを考えるきっかけになるでしょう。

人工衛星から社会システムへ広がる研究領域

五百木准教授の研究対象は、人工衛星のような一つのシステムだけに限られているわけではありません。複数のシステムや組織が関係する社会システムも対象となっています。

現代社会では、一つの企業や一つの製品だけで完結するサービスは多くありません。交通、通信、エネルギー、金融などでは、多数の事業者や設備、情報システムが相互につながっています。そのため、一部分で発生した問題が別の部分へ影響し、最終的には社会全体に広がる可能性もあります。

このような複雑な状況を個別の問題として見るのではなく、一つの大きなシステムとして捉えることが、システムズエンジニアリングの視点につながります。自分の仕事で経験したトラブルについても、担当部署だけの問題ではなく、組織、業務手順、利用者、外部企業などとの関係まで広げて考えてみると、新しい研究課題が見えてくるかもしれません。

白坂成功教授との違いから自分との相性を考える

同じく宇宙分野での経験を持つ教員として、白坂成功教授と研究内容を比較してみることも、指導を希望する教員を検討する際の参考になります。両者には近い研究領域がありますが、研究の重心には違いがあります。

白坂教授は、宇宙開発を背景としながら、イノベーションやコンセプト工学、新しい価値を生み出す方法などへ幅広く研究を展開しています。一方、五百木准教授はシステムズエンジニアリングという工学的な枠組みを軸として、人工衛星、高信頼度システム、社会システムなどへ研究を広げている点が特徴です。

例えば、システム開発や品質保証、リスク管理などの経験を持ち、その経験を理論的に整理して研究につなげたい方は、五百木准教授の研究内容との接点を見つけやすいでしょう。一方、新規事業やイノベーション創出、コンセプトづくりなどへの関心が強い場合は、白坂教授の研究にも目を通して比較すると、自分が取り組みたい方向性を整理しやすくなります。

研究計画と事前コンタクトで意識したいこと

五百木准教授への事前コンタクトを考えている場合は、研究分野の名称だけで判断せず、公開されている研究内容や論文、教員紹介、動画などを確認することが大切です。そのうえで、自分がこれまで経験してきた課題を、五百木准教授の研究領域とどのように結びつけられるのかを考えてみましょう。

例えば、開発現場で品質上のトラブルを経験したのであれば、単に品質管理を研究したいと伝えるだけでは十分とはいえません。なぜその問題が起きたのか、技術だけでなく組織や業務の進め方などに原因はなかったのか、どのような観点から研究したいのかまで整理すると、研究の方向性が具体的になります。

また、宇宙分野で重視される検証や妥当性確認の考え方は、他の業界では品質保証やリスクマネジメントといった形で扱われている場合があります。自分の実務経験をそのまま説明するだけでなく、システムズエンジニアリングの考え方を使って捉え直してみることが、研究計画を深める手がかりになります。

事前コンタクトでも、自分の経歴を長く紹介することより、どのような問題意識を持ち、何を研究したいのか、そのテーマが五百木准教授の研究とどこでつながると考えているのかを明確にすることが重要です。この整理は、その後の出願書類や面接の準備にもつながります。

まとめ

五百木誠准教授は、三菱電機株式会社や宇宙システム開発利用推進機構での経験を背景に、システムズエンジニアリングを軸として、人工衛星システム、高信頼度システム、社会システム、イノベーティブデザインなどを研究しています。

宇宙分野に直接関わった経験がなくても、システム開発、品質保証、リスク管理、インフラ、複数組織が関係する業務などに携わってきた方であれば、自分の経験との接点を見つけられる可能性があります。慶應SDMへの出願を検討する際は、公開されている研究情報を確認したうえで、自分が経験してきた問題をシステム全体の視点から捉え直してみてください。それが研究テーマを具体化し、事前コンタクトや研究計画、面接へつなげていく第一歩になります。


※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員情報などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および対象研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。

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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。