慶應SDMの玉城絵美教授とは ― BodySharing®で人とコンピュータをつなぐ、起業家研究者

院試専門オンライン予備校「志樹舎」が運営する「慶應義塾大学大学院の院試対策ガイド」をご覧いただき、ありがとうございます。

今回のテーマは「慶應SDMの玉城絵美教授とは ― BodySharing®で人とコンピュータをつなぐ、起業家研究者」です。

慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、いわゆる慶應SDMには、研究成果を社会でどのように活用するかまで考えながら活動する教員が所属しています。その中でも玉城絵美教授は、研究者であると同時に、自ら会社を立ち上げて事業化にも取り組んできた特徴的な経歴を持つ教員です。今回は、玉城教授が研究するBodySharing®の考え方や研究・事業活動を整理し、どのような受験生が研究テーマとの接点を見つけられるのかを紹介します。


研究と起業の両方に取り組んできた玉城絵美教授

玉城絵美教授は、人間とコンピュータの間で身体感覚を伝え、体験を共有するBodySharing®の研究と事業開発に取り組んできました。2012年にはH2L, Inc.を創業し、研究成果を論文として発表するだけでなく、実際に社会で使われる技術やサービスへつなげる活動を続けています。

これまでには、PossessedHand、UnlimitedHand、FirstVR、CapsuleInterfaceなど、BodySharing®の考え方につながるさまざまなインタフェースを発表してきました。2020年には国際会議AugmentedHumanで研究論文が表彰されるなど、学術面でも研究成果が評価されています。

また、研究や企業活動だけではなく、内閣府の次期SIPにおけるバーチャルエコノミー関連の活動や、経済産業省の産業構造審議会GIプロジェクト部会委員なども務めてきました。Generative AI Japanの有識者理事も務めており、身体性を扱う研究から、生成AIを含む新しい技術と社会の関係へと活動の範囲を広げています。

BodySharing®とは何を目指す研究なのか

玉城教授の研究を理解するうえで中心となるのがBodySharing®です。簡単に捉えると、人の身体の動きや感覚を他者やコンピュータと共有し、体験そのものを伝えていこうとする考え方です。

一般的なVRやARでは、映像や音を通して別の空間を体験することが中心になります。それに対してBodySharing®では、視覚や聴覚だけではなく、身体の動きや感覚まで共有することを目指しています。見る、聞くという情報伝達から一歩進み、身体を通じて経験を伝えることに特徴があります。

この考え方には、ゲームやエンターテインメントだけでなく、リハビリテーション、遠隔作業の支援、スポーツにおける技能の共有など、さまざまな応用可能性があります。例えば、熟練者がどのように身体を動かしているのかを他者へ伝えられるようになれば、言葉や映像だけでは伝えにくい技能を共有する方法にもつながります。

研究成果を社会に届けるところまで考える

玉城教授の特徴の一つは、研究成果を学術論文としてまとめるだけでなく、自ら起業し、製品化や事業化まで取り組んできた点です。研究で生まれた技術が、実際にどのような場面で使われるのか、誰に必要とされるのかまで考えて活動してきました。

そのため、HCIやVR、ARといった技術そのものに関心のある方だけでなく、研究成果を事業につなげたい方にも接点があります。すでに起業を考えている方、自社で新規事業を担当している方、先端技術を使った新しいサービスを検討している方などは、自分の問題意識と玉城教授の活動を比較してみるとよいでしょう。

重要なのは、新しい技術を作ること自体を目的にしないことです。その技術によって誰のどのような課題を解決したいのか、実際に使われるためには何が必要なのかまで考えることで、研究テーマはより具体的になります。研究と事業の両方を視野に入れている点は、慶應SDMで研究する意味を考えるうえでも参考になります。

技術系以外の受験生にも研究との接点はある

BodySharing®という言葉を聞くと、情報工学やエンジニアリングを学んできた人でなければ研究できないように感じるかもしれません。しかし、研究テーマの出発点は必ずしも技術そのものである必要はありません。

例えば、医療や介護の現場で身体動作を伝える難しさを感じた経験、スポーツ指導で熟練者の感覚を言葉だけでは説明しきれなかった経験、遠隔作業で現場の感覚を共有できず困った経験なども、研究につながる問題意識になり得ます。自分の業界でどのような体験共有の課題があるのかを整理することで、玉城教授の研究との接点を探すことができます。

また、玉城教授はバーチャルエコノミーや生成AIなどにも関わっています。身体感覚を共有する技術が普及したとき、働き方や教育、サービス、経済活動がどう変わるのかという視点も考えられます。技術そのものだけでなく、その技術が社会に入ったときに生まれる変化まで研究対象として捉えることができます。

事前コンタクトではアイデアを具体的な研究課題にする

玉城教授への事前コンタクトを検討する場合は、新しい技術に興味があります、VRに関心がありますと伝えるだけでは、自分が何を研究したいのかが十分に伝わらない可能性があります。まずは、自分がどのような身体感覚や体験共有の課題に関心を持っているのかを具体的に整理しておきましょう。

例えば、スポーツで技能を共有したいのであれば、誰から誰へ、どのような身体情報を、どの場面で伝えたいのかまで考えます。遠隔作業であれば、現在どのような情報が不足し、それによって何が難しくなっているのかを整理します。研究テーマを具体化することで、BodySharing®との関係も説明しやすくなります。

さらに、研究成果を社会で活用したい場合は、アイデアだけでなく、どのように検証し、誰に使ってもらい、どのような価値を生み出したいのかまで考えておくとよいでしょう。玉城教授自身が研究と起業の両方に取り組んできたからこそ、技術的な新しさだけでなく、社会でどのように役立つのかという視点も重要になります。

公開されている研究成果やプロジェクト、教員紹介などにも目を通し、自分が特にどの部分に関心を持ったのかを整理してから事前コンタクトに臨むことが大切です。この準備は、その後の研究計画や志望理由、面接でも、自分の考えを具体的に説明するための土台になります。

まとめ

玉城絵美教授は、BodySharing®を中心に、人とコンピュータの間で身体感覚や体験を共有する研究に取り組みながら、H2L, Inc.の創業を通じて事業化にも携わってきた研究者です。さらに、バーチャルエコノミーや生成AIなど、技術が社会や経済に与える影響にも活動の範囲を広げています。

HCI、VR、ARなどの技術に関心がある方だけでなく、医療、スポーツ、教育、遠隔作業、新規事業などの現場で体験共有に関する課題を感じてきた方も、自分の経験との接点を探してみるとよいでしょう。研究計画では、使いたい技術から考えるだけでなく、誰のどのような課題を解決したいのか、その成果を社会でどのように活用したいのかまで具体化することが重要です。


※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員情報などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および対象研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。

志樹舎 では、大学院入試の各種対策に特化した専門性の高いサポートを行っています。
院試受験でお困りの方は、 無料相談 にお気軽にお申し込みください。


※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

小杉樹彦(志樹舎 創業者)

小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。 代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。 早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。 現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。 ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。