
【教員紹介】Mauricio Sousa准教授|MetaでのAR/VR研究を経てKMDでテレプレゼンスを追求
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今回のテーマは「【教員紹介】Mauricio Sousa准教授|MetaでのAR/VR研究を経てKMDでテレプレゼンスを追求」です。
KMD(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)教員紹介シリーズの第5回では、テレプレゼンスや空間コンピューティングを専門とするMauricio Sousa准教授を紹介します。Sousa准教授は、大学での研究だけでなく、Meta社のReality Labs Researchで研究に携わった経験を持つ研究者です。
ARやVRという言葉は広く知られるようになりましたが、Sousa准教授が研究しているのは、単に仮想空間を表示する技術だけではありません。離れた場所にいる人同士がどのように同じ空間を共有し、自然に協力できるのかという、人と人とのコミュニケーションそのものに関わる研究です。今回は、これまでの経歴や研究テーマ、KMDで参加しているプロジェクトを通して、受験生が研究との接点をどのように考えられるのかを見ていきます。
Mauricio Sousa准教授はどのような研究者なのか

Mauricio Sousa准教授の専門分野は、ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)、空間コンピューティング、テレプレゼンス、未来のインターフェース技術などです。人とコンピュータの関係を研究しながら、物理的な空間とデジタルな空間をどのようにつなぐことができるのかを探究しています。
ポルトガルのリスボン大学Técnico Lisboaで学士、修士、博士の学位を取得した後、カナダのトロント大学でポスドク研究員として研究活動を行いました。その後、Meta社のReality Labs Researchに移り、シニアリサーチサイエンティストとしてARやVRを含む先端的なインタラクション技術の研究に携わっています。
その後アカデミアに戻り、現在はKMDで研究・教育に取り組んでいます。ヨーロッパ、北米、企業研究所、大学という異なる研究環境を経験してきた点は、Sousa准教授の経歴の大きな特徴です。
大学での基礎的な研究と、世界的なテクノロジー企業での研究開発の双方を経験しているため、研究成果をどのように実際の技術へつなげるかという視点も持っていることが分かります。
遠隔地の人をつなぐテレプレゼンスの研究
Sousa准教授の研究では、センシング技術、コンピュータビジョン、AIなどを組み合わせながら、ウェアラブルインターフェースや空間インターフェースの可能性を探っています。
特に重要なテーマのひとつがテレプレゼンスです。テレプレゼンスとは、離れた場所にいる人が、あたかも同じ場所に存在しているかのように感じながらコミュニケーションや共同作業を行うための技術です。
オンライン会議では、画面越しに相手の顔を見ることはできます。しかし、同じ机を囲みながら資料を指したり、相手が何を見ているのかを理解したりするような、実際の対面環境で自然に行われているコミュニケーションを再現することは簡単ではありません。
Sousa准教授は、3D空間を利用した遠隔協働や、遠隔地にいる人物を立体的に表現するボリュメトリック・テレプレゼンスなどを研究してきました。現実空間と仮想空間の境界を越えながら、人同士がどのように自然に関わることができるのかを考えている点が特徴です。
CHIで評価された遠隔協働の研究

Sousa准教授の研究には、単に映像を立体化するだけではなく、人の動作そのものを変換することでコミュニケーションを改善しようとする試みもあります。
記事案で紹介されている代表的な研究のひとつが「Warping Deixis」です。この研究では、遠隔協働の場面において、人が何かを指し示すときのジェスチャーを調整することで、離れた相手との意思疎通をより分かりやすくする方法を検討しています。
対面であれば「これ」「ここ」と指をさすだけで簡単に共有できる情報でも、3D空間を介した遠隔コミュニケーションでは、相手に同じ位置として伝わるとは限りません。そこで、人の動作をデジタル技術によって補正することで、遠隔空間でも自然に協働できる方法を探るという発想です。
この研究は、ヒューマンコンピュータインタラクション分野の国際会議CHIにおいて「Best of CHI」のイベントで紹介されています。新しいデバイスを作るだけでなく、人がどのように行動し、どのような場面でコミュニケーションにつまずくのかを観察しながら技術を考えていることが分かります。
Embodied MediaとCybernetic Beingでの研究活動
KMDでは、Sousa准教授は南澤孝太教授が主宰するEmbodied Media Projectに参加しています。さらに、科学技術振興機構(JST)のムーンショット型研究開発事業であるCybernetic Being Projectにも関わっています。
これらのプロジェクトでは、身体や感覚をテクノロジーによって拡張し、物理世界と仮想世界を行き来しながら新しい体験やコミュニケーションを生み出すことが研究されています。テレプレゼンスや空間コンピューティングを研究するSousa准教授の専門分野とも深くつながっています。
また、2026年のSIGGRAPH Emerging Technologiesで発表された「Experience Sharing Studio」にも、研究チームのメンバーとして名を連ねています。身体を通して経験した多感覚的な記憶を記録し、再び体験することを目指す没入型プラットフォームに関する取り組みです。
遠隔地の人を単に画面に映すのではなく、その人が感じている空間や身体的な経験まで共有できるようになれば、遠隔コミュニケーションのあり方も大きく変わる可能性があります。Sousa准教授の研究は、そのような未来のコミュニケーションを技術面と人間の体験の両方から考えるものといえます。
企業研究と大学研究の両方を知る強み

Sousa准教授の経歴で受験生が注目したいのが、Meta社での研究経験です。大学の研究では、新しい知識や理論を生み出すことが重視される一方、企業では技術を実際の製品やサービスへどのようにつなげるかという視点も重要になります。
Sousa准教授は、その両方の環境を経験しています。KMDが重視する社会との接点を考える上でも、研究として面白い技術と、実際に人が利用できる技術の間に何が必要なのかを考える際の参考になるでしょう。
ARやVR、テレプレゼンスに関心のある受験生は、単に最新技術を研究したいという理由だけでなく、それによってどのような人の課題を解決したいのかを考えることが重要です。遠隔教育、仕事、コミュニケーション、共同制作など、自分自身が経験した具体的な場面から研究課題を探す方法もあります。
また、Sousa准教授のように国際的な環境で研究を続ける教員に関心がある場合は、英語で研究内容を読み、自分の考えを伝える準備も進めておきたいところです。出願書類や面接でも、自分の経験と研究テーマとの接点を具体的に説明できるよう整理しておくとよいでしょう。
まとめ
Mauricio Sousa准教授は、リスボン大学、トロント大学、Meta社のReality Labs Researchなどで研究経験を積み、現在はKMDでテレプレゼンス、空間コンピューティング、未来のインターフェース技術などを研究しています。
その研究では、ARやVRそのものだけではなく、遠隔地にいる人同士がどのように空間を共有し、自然に協働できるのかという人間の体験が重視されています。Embodied Media ProjectやCybernetic Being Projectへの参加からも、物理世界と仮想世界をつなぎ、人間の知覚や行動を拡張するという研究の方向性が見えてきます。
KMDへの出願を考えている方は、ARやVRに興味があるというところで終わらせず、その技術によって誰と誰をつなぎ、どのような体験や課題を変えたいのかまで考えてみてください。自分の経験から具体的な問題意識を見つけることが、研究計画や志望理由、面接準備を深めることにもつながります。
※本記事は記事作成時点の情報をもとに作成しています。入試制度、出願資格、提出書類、カリキュラム、教員の所属・役職・研究内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず慶應義塾大学および慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の公式サイト、最新の入学試験要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
小杉 樹彦(こすぎ・たつひこ)
志樹舎 創業者/博士(学術)
慶應義塾大学院修了後、2015年1月に院試専門オンライン予備校「志樹舎」を設立。
代表講師として10〜60代まで延べ5,000人以上の受験生を指導。
早慶・国公立をはじめとする難関大学院で合格率9割超の実績を持つ。
現在は大学院入試対策の専門家として、テレビ・新聞・雑誌など幅広いメディアで活動中。
ロングセラー『減点されない!勝論文』(エール出版社)ほか著書・論文多数。


